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No.1
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OP = オープンキャンパスで合っているでしょうか?
オープンキャンパスで合っているのでしたら、大抵の場合は
化学に詳しくない人にもわかりやすく解説してくれるはずなので
特に予習はしなくても大丈夫でしょう。
以下の説明は長文ですが化学科で勉強することとその補足になります。
化学科で勉強する内容は、基本は量子力学・熱力学・有機化学・無機化学です。
以下の説明はあくまで『化学科の大学生が学ぶ内容』なので、
オープンキャンパスでは特に必要ないでしょう。
●量子力学
原子や分子は原子核と電子から出来ていますが、化学では多くの場合原子核よりも
電子の方に着目することが多くなります。化学反応は原子核を雲のように覆っている電子
の状態が変化することで起こりますからね。そして極めて小さな粒子である電子は
量子力学を基本とした法則に従って振舞います。そのため、分子の性質をしっかり
理解するためには量子力学の知識が重要になります。なお、内容はほぼ物理学です。
●熱力学
化学反応には向きがあります。例えばプロパンガスと酸素を混ぜて火をつけると燃焼して
水と二酸化炭素が出来ますが、水蒸気と二酸化炭素を混ぜて火をつけても火が消えるだけで
プロパンガスと酸素に戻ったりはしません。このような向きがなぜ生じるのかを理解するには
エントロピーとエンタルピーというものをわかっておく必要があります。この2つの概念は
化学の非常に多くの分野で重要になります。これも内容はほぼ物理学です。
●有機化学
身の回りにはプラスチックや医薬品等の人工的な有機化合物(炭素と水素を含む物質)が
あふれていますが、このような物質を狙って作れるようになったのは実はほんのここ数十年の
ことです。その背景には有機分子の構造や反応性をうまく考えるやり方が定着した、
というものがあります。有機化学ではこの考え方ができるように勉強します。これを学ぶと、
有機化合物の反応がどのようなメカニズムで起こっているのか、自分が作りたい物質を
どういった手順で作ると無駄が少なくて簡単な方法で出来るかというようなことが
わかるようになります。量子力学と熱力学の知識がそこそこ必要になります。
●無機化学
有機化合物以外の物質に関する性質について学びます。大学に入ってすぐの無機化学の講義では
周期表の大半をしめる金属イオンの化合物(錯体:高校では錯イオンと呼ばれます)について
学ぶ場合が多いでしょう。例えば硫酸銅の水和物は青いのに、加熱して水を飛ばすと
白くなります。硫酸銅の水溶液にアンモニアを加えると、元の硫酸銅水溶液よりも
深い青色になります。このような変化は銅イオンの電子雲がどんな形をしているか、どのように
振舞うかを考えることで説明できるようになります。無機化学は非常に分野が広く、
有機化学とほぼかぶっている分野まであります。分野が広すぎて『無機化学とはこれだ!』
見たいな説明は出来ませんが、やはり量子力学と熱力学の知識がそこそこ必要になります。
詳細は省きますが、上の学年になるとこれらの応用分野として
構造化学・分析化学・固体化学・天然物化学・高分子化学・工業化学・生命化学…
といった様々な講義も出てきます。これらは大学によりけりです。
また、机に張り付いて勉強する座学だけではなく、薬品を扱う学生実験や実習もあります。
●有機分子を反応させて目的の物質を作る有機化学実験
●反応熱や反応速度を測定する物理化学実験
●サンプルにどんな物質がどれくらい含まれているかを調べる分析化学実験
といったものは大体どこの大学の化学科でもやる実験でしょう。
4年生になると研究室に配属されて実際の研究が始まります。
とはいっても、はっきり言って4年生は研究室ではまだまだヒヨっこです。
研究室によってはある講義で習ってきた内容をほとんど使わなかったりすることもありますが、
別のある講義で習った内容はさらにとことんまで突き詰めて勉強することになります。
ここまで来るともはや教科書など無く、他の研究者が出した論文を読んで勉強する必要があります。
さらに研究者の道を目指すならば、大学院まで行くのがいいでしょう。
化学に興味がおありのようですので、大学に入るまでにどういった勉強をしていくのがいいかを
ぶっちゃけて言いますと、重要なのは数学・国語と英語です。
先ほどの量子化学と熱力学の説明の中で、『内容はほぼ物理』と述べましたが、
これは化学という学問が物理学を基礎にしているからです。
化学というと『薬品を混ぜて何かを作る』というイメージを持たれることが多いのですが、
『なぜその薬品を混ぜると目的の物質が出来るのか』
→反応のメカニズムを理解するには電子の振る舞い=量子化学の知識が必要
『反応温度は何度がいいのか』
→目的じゃない反応が進まない条件を考えるのに熱力学の知識が必要
『出来た物質が本当に目的の物質なのかどうやって調べるか』
→様々な分析装置で調べるけれど、どの分析装置も測定原理は物理現象を利用している
→測定原理をきちんと理解していないと違う物質を目的の物質だと誤認してしまう
→そういえばTIC10とかいう薬害一歩手前の事件がありましたね(詳細はぐぐってください)
等々、大学以降で化学を勉強したり研究するには、基礎的な物理学が必要になります。
ではなぜ物理ではなくて数学なのか、と思われるかもしれませんが、
それは起こるor起こるかもしれない現象を、物理学では厳密な表現のできる数式で記述するためです。
図書館か大きめの書店に行って物理学の専門書をチラ見してみるとわかると思いますが、
数式が大量に並んでいます。高校数学で習う微積分・三角関数・指数対数関数・確率・
場合の数・統計・ベクトル・虚数・行列…等は、ほぼ全て物理や化学で頻繁に使われます。
数学が苦手なまま理系に進学してしまうと、物理でつまずいて化学も共倒れになります。
ですので数学は手を抜かないように。
また、化学に限らず学問では『論理的な思考』を求められます。
(いわゆるロジックツリーのようなテクニックではなく、もっと根本的な思考力です)
数学と国語は物事を正しく把握し、漏れがないように考え、適切に表現するのに必要です。
英語に関しては研究室に入ってからの勉強に必要です。最先端の研究には
教科書など無い(あっても英語)場合が多く、普通は英語で書かれた論文を読んで勉強します。
また、研究者を目指すのならば英語で論文を書く必要があります。
日本で評価される研究者というのは、例外なく海外で評価された研究者です。
海外で評価されるためには研究だけでなく、英語で論文を書いたり国際学会で発表したり
する必要があります。英語は研究室に入ってから、というような短期間では伸ばせないため、
大学に入る前から地道にやっておく必要があります。
ついでに数学・国語・英語を勉強しておくと、大学入試の配点が高いというおまけもあります。
また大学までの化学の勉強ですが、中3とのことなのでまずは高校向けの化学の資料集を軸に
勉強するのがいいでしょう。カラー印刷で見やすい上に値段が非常に安いので。
わからないことがあったら化学の教科書を読んだり先生に質問するのがいいでしょう。
高校の化学をほぼ理解したなら高校のうちに大学1~2年生向けの教科書を読んでもいいかも
しれません。高いですが鉄板はアトキンス物理化学やジョーンズ有機化学あたりでしょうか。
アトキンス物理化学は上巻に熱力学と量子化学がまとめられていますが、高3~大学で習うような
数式が大量に出てくるので数学の実力がかなりついてからじゃないと挫折します。
ジョーンズ等の有機化学の教科書は数式があまりないため、比較的お勧めです。
でもやはりまずは高校の勉強をきちんと修める方が先ですね。
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