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最判 昭和38.2.21
Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、A・B間で当該土地賃貸借契約を合意解除したとしても、特段の事情のない限り、Bは、Cに対して建物の明渡しを求めることはできない。
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上記について、以下の整理で間違いないでしょうか・・・。

物権上の権利として

乙建物はABの賃貸借契約中はAが他主占有により、Bが間接占有している。
AB間の賃貸借合意解除後は、Cによって自主占有され、Bは占有を失った状態である。


Cは占有権に基づいて、乙建物の使用権限を有する。

債権上の権利として

Bは不当利得に基づいて、Cに土地建物の使用料を請求することができる。


BC間には契約関係がないので、BからCへ解約の申し入れを行うのもおかしいな・・・と思いつつ、BはCに出て行って貰おうとする場合、どのような方法が取られるのでしょうか・・・。

A 回答 (2件)

これ理論的な説明が難しいんですよね。



まず、用語を正しく理解する必要があります。用語の理解がいい加減だとこのサイトでデタラメな回答を垂れ流している連中と同じく法律は(法律に限った話ではありませんが)正しく理解できません。

>物権上の権利として
物権自体が権利なのですがその上の権利というのは何ですか?
例えば、地上権を目的とする抵当権のように物権の上に存する権利という意味ならばここでは関係がありません。

>乙建物はABの賃貸借契約中はAが他主占有により、Bが間接占有している。
乙建物はAの物でしょう?ならばBは関係ありません。
賃借人Cが直接占有しており、所有者AはCの占有を介して間接占有しているだけです。Bは占有していません。
また、他主占有とは、所有の意思のない占有のことです。ですから賃借人には所有の意思がないので賃借人Cの占有は他主占有ですが、Aは所有者であり、Aの間接占有は自主占有です。
つまり、AB間の賃貸借契約解除前の乙建物の占有については
Aは自主占有かつ間接占有。
Bは占有なし。
Cは他主占有かつ直接占有
です。

>AB間の賃貸借合意解除後は、Cによって自主占有され、Bは占有を失った状態である。
土地の賃貸借契約が解除により消滅したとしてもCに所有の意思があることにはならないのでCの占有は他主占有かつ直接占有のままです。
Bには元々占有がありません。
Aの占有は自主占有かつ間接占有のままです。
つまり、AB間の賃貸借契約の合意解除により、直ちに占有に異動は生じません。
ただし、本件判例の事例においては、解除に際して乙建物をAがBに譲渡しています。従って、所有権がBに移転しているので、その時点でBは自主占有かつ間接占有となり、Aは占有を喪失しています。Cの占有には影響がありません。

>Cは占有権に基づいて、乙建物の使用権限を有する。
占有権は物の使用を正当化する権「原」とはなりません(でなければ、不法占有者に使用する権原があるという矛盾した話になります。)。Cが乙建物を使用することができるのは、建物賃借権があるからです。
本件判例は、土地賃貸借契約の合意解除を建物賃借人に対抗できないとしていますが、これはつまり、建物賃借人の地位に何ら影響がないということを意味します。つまり、建物賃借人の占有の権原は従前と変わらずに建物賃借権であるということです。なお、これは債権であって物権ではありません。

理論的には、賃貸人Aの地位が土地所有者Bに移転したと考えるのが妥当だと思うのですが、詳細な解説をした文献が見つけられず、ちょっと断定はしかねます。また、本件判例では、建物乙の所有権をBに移転しているので賃貸人の地位が移転したと考えてAを蚊帳の外にしてしまってなんら問題はありませんが、仮に建物の所有権を移転していない場合にどうなるのか?
それでも賃貸人の地位は移転して他人物賃貸借ということになるのか?そうするとAB間の法律関係はどうなるのか?解除によりAB間に契約はなく不法占拠であるがBはAに建物収去土地明渡請求はできない。その理屈は?また、Aは自己の建物から利益を得ているBに不当利得返還請求ができる?逆に、賃貸人の地位が移転しないとすれば、やはりAB間は不法占拠になるが、BはCに立ち退きを請求できない以上、こちらもAに建物収去を請求はできないはず。ではその理論構成は?やはり信義則?そして、AはCに賃料を請求できるがBはできないはず。そしてAの土地利用についてBは不当利得返還請求を行うことになる?…とにかく複雑かつ難解。ということで、この点の理論的な考察は、保留します。

>債権上の権利として
こちらも意味不明。債権質のように債権の上に存する権利というなら、本件とは無関係です。

>Bは不当利得に基づいて、Cに土地建物の使用料を請求することができる。
上の通り。
本件判例の場合は、そもそも賃貸人の地位が移転したと考えて賃貸借契約に基づいて賃料請求ができるでいいと思います。
しかし、上に述べた通り、建物所有権を移転していない場合にはどうなるのか?この場合にも賃貸人の地位が移転するならば賃料として請求できることになります。
問題は、AC間の賃貸借契約がそのまま残るのであれば、BはCに何を根拠にどんな請求ができるのか?
Cとの関係ではBは転貸人類似の地位にあるとして613条1項前段類推適用でBはCに直接賃料を請求できる?それともBはCには何も言えず、Aに不当利得返還請求または不法行為に基づく損害賠償請求をできるだけ?これも保留。

>BC間には契約関係がないので、BからCへ解約の申し入れを行うのもおかしいな・・・と思いつつ、BはCに出て行って貰おうとする場合、どのような方法が取られるのでしょうか・・・。
これも同じ。
AC間の建物賃貸借契約の賃貸人の地位がBに移転したと考えれば、普通の賃貸借契約と同じ処理をすればいいだけです。
では、そうでない場合には?ただ、この場合には、賃貸借契約がある場合と同じ程度に立退き請求ができないのは確実。だってこの判例はそもそもそれを否定したものなんですから。問題は、AC間の問題をどう反映させるか。Aに対する賃料不払いがあったとしてAが解除しない場合にBが立退き請求ができるのか?できるとしてその理論構成は?またBがCに対して賃料を直接請求できるならば、それに対して賃料不払いになれば立ち退き請求はできるとして、その理論構成は?本件判例の逆ということでできる?…ということでこれも保留します。

以上
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この回答へのお礼

ありがとうございます!
言葉の使い方含め、かなり理解が深まったように思います。
特に言葉の使い方については、自身があいまいであることを認識しつつも、どのように表現すべきかが分からずおりました。

ご回答を参考にさせていただき、正確な知識の獲得に励みます!

理解を深めたポイントとして。

■この事案の占有権について
>Aは自主占有かつ間接占有。
>Bは占有なし。
>Cは他主占有かつ直接占有。

■地位の移転があったとするか、なかったとするか
>AC間の建物賃貸借契約の賃貸人の地位がBに移転したと考えれば、普通の賃貸借契約と同じ処理をすればいいだけです。

地位の移転という考え方を持てておりませんでした。
地位の移転があったと考えるか、そうでないかで処理方法が異なるが、文献に乏しく正確な理論婚制が困難であると理解しました。


頂いたご回答をベースに理解を深めます。
ありがとうございました。

お礼日時:2015/05/21 09:45

BC間には契約ない場合



AがCへ請求出来ます。
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この回答へのお礼

ありがとうございます!
回答No2の方からのお話と併せ、もう少し理解を深めて参ります。

お礼日時:2015/05/21 09:06

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