
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問で心配されているのは,美術品や資料に関する他人の権利と,それをご自身が許可(許諾と言います)無しに使用したり利用することができるかということですね.
まず著作権法では著作者の権利(著作権)を守りながらも,一方では,他の人々の利用を認めるための決まりを定めています.著作物を人類共有の資産と見なしているからです.例えば,著作権を制限するという考え方です.
まず,同法第51条で著作権は永久に存続するのでなく,著作者の死後50年で保護期間が満了すると決めています.それ以前でも,著作権を放棄したりすることができるし,相続人がいない場合には権利は消滅すると考えられています.
ご質問の例で,「近代作品」,「中世の作品」とか「歴史的資料」にもこの考え方は適用されます.また,「現代作品」といえども,著作権が存在しないこともあるわけです.
他人の権利としては他にもあります.それは所有権や管理権です.こちらは著作権法ではなく憲法の財産権や民法の領域です.例えば,民法206条 で「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」とされ,その所有物による利益を得ることが認められています.つまり,ある著作物(例えば美術品)の所有者はそれによる収益を手にすることができます.例えば,美術館は,その所有物(借りて展示していることもある)である美術品を有料で鑑賞させたり,美術全集を発行して収益を得たりできます.美術館を維持するにも費用が掛かります.
さて,著作権法第30条で(私的使用のための複製) が認められ,「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。 」とあります.著作権の制限の一つです.これによると,著作権が存続している著作物であっても,私的使用目的であれば許諾無しに複製ができることになります.一般の人々がすでに入手しているとか友人から借りたとかの場合に複製が可能です.
私的使用の範囲は限られているので,ブログなどにアップロードすると権利侵害となります.また,複製権の侵害は利益を得ているかどうかに無関係なので,無償でも権利侵害に変わりありません.
美術館の中でも私的使用はあり得ます.しかし,美術館の中では,著作権よりも,入場にかかわる契約(美術品その他の所有権)が優先しますので,撮影(複製の一種ではなく複製そのものです)禁止とあればそれに従うことになります.
ヨーロッパの古い美術館では撮影可と表示していることもあります.
この回答へのお礼
お礼日時:2015/06/15 16:35
さらに分かりやすい回答ありがとうございました。いつも疑問に思っていたことがすべて理解できたような気持ちです。貴重なお時間を割いていただき、再度お礼申し上げます。
No.4
- 回答日時:
私的使用なら何でも許諾無しにできるということでもないので補足しておきます。
私的使用というのは著作権という権利(の主張)を制限する働きをしています。その一方で、その私的使用にも制限があり、著作権者の利益を不当に害しない範囲とされていたり、また、テレビでは私的な録画の際に自動的に補償金を支払う仕組みがあったり、ある場合の私的なダウンロード(複製)が違法(刑事罰)だったりもします。
No.2
- 回答日時:
まず美術作品の撮影に関する著作権の考え方について。
その行為自体は「複製」の一種であると考えられています。
それ故に、撮影許可があれば、それは私的利用のための複製という範囲で認められることになります。
(厳密には写り込みの程度によっては複製ではないという判断もあり得るのですが、それは個別事例になりますので割愛します)
要はブログとかはダメよ、という話ですね。
では、著作権の切れた作品はどうなるのか?
著作権法的な判断で言えば、「著作権の侵害ではない」とされています。
一方で、それによって利益を上げている場合、その所有者(今回のケースではほとんど美術館でしょう)は、所有権に従い、その利用料を請求することが出来ると考えられています。
つまり、特に利益を求めずにブログに掲載する程度であれば、著作権の切れた美術品は掲載して構わない、という事になります。
一応付け加えておくと、写真そのものには撮影者の著作権が発生します。
上記はあくまで自分で撮影し、自分のブログに載せる事を前提とした話ですので、くれぐれも他人のブログやサイトに載っている写真を無断転載とかしないようにしましょうね。
この回答へのお礼
お礼日時:2015/06/15 16:32
大変分かりやすい文章でお書き頂き、ありがとうございました。日本では美術館・博物館の写真撮影はほぼ禁止のようですが、海外だとフラッシュを使わないという前提で許可されていることが多いです。写真を撮るたびにいつも考えていた問題なので、今回ほぼ理解できたように思います。
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