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弦楽四重奏団にはクラシック大作曲家の名前をつけている弦楽四重奏団があります。

例えば、

アルバンベルク弦楽四重奏団
スメタナ弦楽四重奏団
バルトーク弦楽四重奏団
ヤナーチェク弦楽四重奏団

といった団体がありますが、弦楽四重奏団では何故大作曲家の名前を付けるのでしょうか?
また、名前を使用する許可はどのように取っているのでしょうか?

A 回答 (2件)

弦楽四重奏団だけでなくピアノ三重奏団などもそうですが、室内楽のアンサンブルには時々作曲家の名前を冠したものがあります。

弦楽四重奏団の場合、リーダーとなる人(第1ヴァイオリン奏者など)の名前を付けるのが一番多そうで、あとは楽団が拠点とする都市の名前や、芸術に関係するギリシャ語などがあります。数としては、作曲家の名前を冠した楽団が特別に多いというわけではありません。
作曲家の名前を使う場合も、誰でもよいというわけではなくて、結成する音楽家たちの母国の大作曲家で、なおかつそのジャンルに重要な作品を残している人の名前を選ぶのが普通です。自国が誇る作曲家の名前にあやかるという意味もあろうかとは思いますが、やはりその作曲家に敬意を示し、その作曲家の弦楽四重奏曲を主要なレパートリーにするという方針が結成時からあります。また、大作曲家の名前を戴くことによって、その名前に恥じない楽団として活動を続けていくという決意のようなものでもあるでしょう。あと音楽の場合、いろいろな場面で有名作曲家の名前を冠する習慣はあります。演奏会のホールなども、その国の作曲家の名前を付けたものは多いです。また、そもそもヨーロッパでは、街の通りの多くにも著名人の名前を付ける文化があるので、そういう意味では、作曲家の名前を楽団名にするのもごく自然な発想なのかもしれません。
古い時代の作曲家の名前なら、使用許可などはいらないと思いますが、亡くなって間もない現代の作曲家のような場合はやはり許可が要ります。方法はケース・バイ・ケースです。たとえば、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の場合は、命名前のプライヴェートなコンサートにベルクの未亡人、ヘレーネ・ベルクが聞きに来て、祝福の念とともにベルクの名前を使うことを許可したという経緯があります。ベルクは、弦楽四重奏曲は少ししか残していませんが、「抒情組曲」という作品が弦楽四重奏曲の作曲史の中では重要な作品です。作品3の弦楽四重奏曲もよく演奏されます。これらはもちろん、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の重要なレパートリーです。
スメタナ弦楽四重奏団も、もちろんチェコの音楽家による団体で、最初のレコーディングでスメタナの弦楽四重奏曲を取り上げました。ヤナーチェク弦楽四重奏団も、作曲家が学び、生活の拠点としたブルノの音楽院の学生が結成した楽団で、当初はJAMU弦楽四重奏団という名前でしたが、ヤナーチェクの作品を主要なレパートリーにしていたため、のちにヤナーチェク弦楽四重奏団と改名しました。この二人の作曲家も、ベルク同様、弦楽四重奏曲は2曲しか残していませんが、どれも弦楽四重奏の作品群の中にあって重要なレパートリーです。
チェコには、マルティヌーという20世紀の作曲家の名前を付けた弦楽四重奏団もあります。まだ知らない人もいるかもしれませんが、弦楽四重奏曲は6曲あり、作曲家自身弦楽器奏者だったこともあって、演奏効果の高い、このジャンルの中ではよく取り上げられる作品です。プラハ音楽院の学生が結成したのがこの楽団の始まりで、命名に当たっては、マルティヌー財団から承認を受けています。
コダーイ弦楽四重奏団というのもありますが、やはり作曲家と同じハンガリーの楽団です。コダーイの作品は、それほどたくさんは知られていないと思いますが、音楽教育に功績があった人で、ハンガリーでは多くの人に慕われた重要な人です。弦楽四重奏曲はやはり2曲しかないのですが、もちろんこの楽団の主要なレパートリーです。コダーイの名前の使用については、ハンガリーの文化教育省から許可を得たそうです。
バルトーク弦楽四重奏団の場合の命名の経緯についてはわかりませんが、やはりハンガリーの弦楽四重奏団で、主要なレパートリーとしたバルトークの6曲の弦楽四重奏曲は、このジャンルの代表的名曲です。
コダーイ弦楽四重奏団もバルトーク弦楽四重奏団も、メンバーはブダペストのフランツ・リスト音楽院の出身です。
もちろん例外もあります。むかし、ベートーヴェン弦楽四重奏団という団体がありましたが、これは旧ソ連で結成されたものです。当初は国立モスクワ音楽院弦楽四重奏団という名称でしたが、音楽院の改組により改名する必要が生じました。当時は政治的理由で過去の作曲家が批判されていて、作曲家名は使いにくく、例外としてムソルグスキーとベートーヴェンの名前が候補にあったそうですが、ムソルグスキーは弦楽四重奏曲を書いていないのでベートーヴェンになったということのようです。したがって、必ずしも当初からベートーヴェンを重点的に演奏したわけではないようで、ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の録音は結成後だいぶ経ってからのことです。むしろ、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲などを演奏した団体として記憶に残っています。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。作曲家の名前を付けるのは、弦楽四重奏だけではないということで理解しました。やはりその作曲家のレパートリーを得意とするということで、自負を持っているということでしょうね。
マルティヌーやコダーイの名前の弦楽四重奏団があるのは知りませんでした。

私にとって弦楽四重奏曲は未開の地なので、これから回答頂いた事を参考にしながら開拓して行きたいと思います。

お礼日時:2015/10/18 18:42

アマデウス弦楽四重奏団やウェールズ弦楽四重奏団という名前もあるので、弦楽四重奏団にクラシック大作曲家の名前をつけるのが、慣例やルールになっているわけではないとわかります。


リンツ・ブルックナー管弦楽団のように弦楽四重奏団以外でも作曲家の名前をつけていますし、日本の音楽協会もそうです。人の名前の財団や人名空港や車のメーカーなど、人名を使うのは一般的に見えます。
だから、アルバンベルク、スメタナ、バルトーク、ヤナーチェクの名前がついているのは、ただ個別に決定した結果だと思います。
いずれも1867年~1918年にあったオーストリア=ハンガリー帝国に属していたことのある作曲家で、チェコなどの名前をつけると重複するのでそうしたのかもしれません。

他人の名前を団体名使って罰せられるかどうかは、法律の専門家に聞いた方が正確にわかると思いますが、各国の法律によって違うと思います。ずっと昔に死んだ著名人の名前なら特に問題ないのではないでしょうか(遺族がいたら配慮する必要があるかも)。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。アマデウスはモーツアルトを連想させるので関係があるのかなと思いました。地名や人名(団員の)様々あるようで、丁寧なご説明感謝しています。
質問で挙げた作曲家は、
>オーストリア=ハンガリー帝国に属していたことのある作曲家
ということで、なるほどと思いました。

一応、名前の使用は何らかの手続きを経ているのだろうなと想像しますが、やはり名前を使うのは演奏にも自負を抱いているのだろうなと思いました。

お礼日時:2015/10/18 18:32

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