電磁波についての質問です。
電磁波は時間変化する電荷,電流から放射されるという事実があります。これは電荷,電流が存在する場合のマクスウェル方程式から導かれます。
しかし一方で、電磁波の存在は、電荷と電流が存在しない場合のマクスウェル方程式から導くことができます。
前者の説明(電荷,電流あり)に従えば、そもそも電荷,電流がなければ電場も磁場も存在せず、電磁波も存在できないと思うのですが、どういうことなのでしょうか?
それとも、後者の説明(電荷,電流なし)は、「電場と磁場というものは、電磁気学を記述する上で便宜上導入した方便ではなく、物理的に本質的な実体である」ことを示唆しているということでしょうか?
A 回答 (6件)
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No.6
- 回答日時:
>電場と磁場が何処から生じるかは棚に上げて、とりあえず電場と磁場の存在を、
>電荷や電流などの源とは独立に仮定している、ということでしょうか?
棚に上げるという意味が分かりませんが、電場も磁場も電荷も電流もいずれも測定可能な物理量。
それらの関係はマックスウェルの方程式に従うことを我々は「知って」います。
それが全てで、何に「実在」というレッテルを付けるのかは哲学者の不毛な仕事でしょう。
No.5
- 回答日時:
「電荷・電流なしの電場・磁場の存在は、電場と磁場というものは、電磁気学を記述する上で便宜上導入した方便ではなく、物理的に本質的な実体である」ことを示唆しているという理解は概ね正しいと思われます。
電荷・電流は電場・磁場を作る要因ですが、電荷・電流の存在を前提にせずに、電場・磁場が存在すると考えた方が説明は容易です。
その意味では、「便宜上導入した方便」と「物理的に本質的な実体」との区別はありません。
質量も、加速度も、物質の動きを記述するために、「便宜上導入した方便」ではありますが、物理学的にはすでに「物理的に本質的な実体」です。
天動説も単にその方が計算が楽だという「便宜上導入した方便」として始まったわけですが、いつしか「物理的に本質的な実体」のように扱われています。
ちなみに、全く同様の議論で、重力波は、質量を前提としない重力場の存在を示唆することになりますが、残念ながら重力波の存在の確認はできていないようです。
No.3
- 回答日時:
「電場と磁場というものは、電磁気学を記述する上で便宜上導入した方便ではなく、物理的に本質的な実体である」
その通りです。電磁波(光子)や電子を始めとして、我々が物質として認識しているものや、力として認識しているものは、すべて、空間の本質的実態と考えられる、場から導かれる・・・とされているのが、いまわかっている基本的な考えです。標準モデルや、場の量子論を調べてみてください。考えていることへの、答えが見つかると思います。
マクスウェルの方程式も、電荷や電流を起点とする場の考えも、古典論です。現象を説明するには、現役バリバリで利用できますが、質問のような根源的問題には、答えられません。
No.2
- 回答日時:
これは、物理学の問題というより、認識の問題です。
何を実体として認識出来るかを考えてみると良いでしょう。
実際に触ったりしなければ、実体として認識出来ないのであれば、電流自体は感電する事で認識出来るかもしれません。
ただ、電荷自体は流れの実体を電荷と認識出来無ければ、認識は不可能でしょう。
測定を考えてみると、電流にしても、電磁現象により間接的に測定する事しか出来ません。
電荷も、その定義から、電流値により存在する事を推定する事になります。
ですから、電荷も電流も実体として認識出来るならば、電場と磁場も、それが間接的でも測定出来るのであれば、実体として認識する事は可能でしょう。
実際問題、理論に応じた電界強度や磁界強度は、間接的に測定出来るわけです。(これは場がその性質を持つと考えれば、それを実体と見なしても、問題は無い事になります)
電磁波は、放射された後は、電荷や電流無しに、電場・磁場の変動として伝搬していきます。(これが、電荷・電流が無い状態のマックスウェル方程式です)
この場合は、電場・磁場が存在していないと、電磁波は伝搬出来ないと解釈する事も出来るし、空間がそのような性質を持っていると考える事も出来ます。(空間の性質そのものが、電場・磁場を含むと考えれば、同じ事ですね)
一見奇妙に感じますが、多くの人が実体として認識する重力にしても、落下速度やばねなどの変位などから、間接的に測定されているわけです。
そういう意味では、質量自体も本質は、概念でしかないわけです。(あくまで、運動に対する応答で間接的に測定できるだけで、静止している物質の質量を触れる事無く測定する事は不可能です)
何故、それを実体として認識できるかと言えば、人間が重力を感じるからでしょう。
物理学自体は、観測対象の実在性に関しては、問題として扱いません。
あくまで、測定可能であれば、それは理論の対象として認識し、実在に関しては問わないと言う事です。
場の理論は、遠隔力などの記述の為に、その途中の空間が遠隔力を伝搬出来るとして記述する為の理論です。(古典場の理論の場合)
電磁力や重力などの場合は、電磁場や重力場が物理量を持てると解釈した方が、計算や解析がしやすくなります。
それを、実体と考えてもいいし、計算上必要なものと考えても、間違いでは無いです。
何故なら、現象の記述としては、同じになるからです。
実を言えば、現在考えられている原子構造にしても、概念的理解しか出来ません。(測定可能なのは、原子の大きさ位で、内部構造を直視する事は不可能だからです)
測定により、陽子・中性子・電子などが存在する事は推定出来ますが、実際にそれらが、どのように原子内で運動しているかはわかりません。(量子力学的には、微小時間では存在していない可能性もあります)
実在に関しては、哲学的議論になるので、自然科学の範囲では、実在の証明は不可能と言うか、それを問う事は出来ないと考えるべきでしょう。
あくまで、観測事実が存在すると解釈するべきです。
ご回答ありがとうございます。
>空間がそのような性質を持っていると考える事も出来ます。(空間の性質そのものが、電場・磁場を含むと考えれば、同じ事ですね)
なるほど。それを認めるならば、例えソースも何も無く電磁気的に完全に静的な空間であっても、値が0というだけで電場と磁場という"パラメーター"自体は確かに厳然と存在することになりますね。
それを踏まえて、
電荷・電流なしのマクスウェル方程式は「電場と磁場は、波として空間中を伝播するようになっている。」という電磁場の波としての性質を
電荷・電流有りのマクスウェル方程式は「もし電荷・電流があるならば、電磁波はそこから放射される」という電磁波の起源を
説明している、ということですね。
納得がいきました。
物理的実体の認識についてのお話もとても興味深く読ませて頂きました。人間が感覚的に「実体がある」と認識できる質量も、問いただせば「概念」に過ぎず、電場と磁場という概念的なものも、計算によって数値を出せるという点で実体と言っても差し支えない、というのは、考えてみれば当たり前のようでいて、不思議な感覚でした。
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なるほど。
電荷・電流なしのマクスウェル方程式から電場と磁場についての波動方程式が現れる。
→電場と磁場の解として、波動関数が"可能である"
→「電場と磁場は、電荷・電流の無い空間を、波(電磁波)として空間を伝わることが"可能である"」
ということですね?
では電荷・電流なしのマクスウェル方程式は、電場と磁場が何処から生じるかは棚に上げて、とりあえず電場と磁場の存在を、電荷や電流などの源とは独立に仮定している、ということでしょうか?