「民法」に次のようにあります。
第140条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
第143条第2項 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
これによれば、例えば2016年7月2日午後2時に契約して(ただし、契約書には契約した時刻は書いてないとします)「契約の日から1年間」とした場合は、上記条文中の次の文言は次の意味なのでしょうか。
(a)「その起算日」とは、2016年7月3日のことである。
(b)「その起算日に応当する日」とは、2017年7月3日のことである。
(c)「その起算日に応当する日の前日」とは、2017年7月2日のことである。
(d)「その起算日に応当する日の前日に満了する」とは、2017年7月2日の24時0分0秒に満了するということである。
すみませんが、法律は初心者なので、(a)~(d)のそれぞれにyes、noの御回答を頂けないでしょうか。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
答えは一応全部Yesですが、それだけでいいんですか?理屈抜きじゃあ応用が利きませんよ。
変なこと言ってるのがいるから少し細かく説明。
>「契約の日から1年間」
これは、
【一般論として、民法140条本文を適用しないという意味に解釈はできません。】
よって、
【他に特段の事情がない限り、140条本文(*)の原則通り初日「不」算入】
です。
(*)本「文」です。本「則」ではありません。本則とは、付則に対する概念です。要するに法律の本体部分のことです。条文内でただし書に対するのは本文です。法律では基本的な用語ですから憶えておきましょう。この程度も知らねぇで出○目回答かw
そもそも「初日」不算入、「初日」算入という言い方をすることからも判る通り、期間計算において算入するか否かと関係なく「初日」は「初日」です。そこで「契約の日から」という言い方は、「契約の日」が「初日」であると言っているのですが、それ以上でもそれ以下でもありません。その「初日」を期間計算において算入するかどうか、つまり、「初日」を「起算日」とするかどうかは別の問題です(この区別の付いていない人は結構います。時々、初日不算入=初日には契約の効力が生じないと思っている人がいますが間違いです。初日も契約は既に効力を生じています。ただ、期間に算入しないだけです)。
というわけで「契約の日から」という表現は、期間計算における初日の扱いは一切問題にしておらず、他に特段の事情がない限り、原則通り初日不算入です。
逆に考えればすぐ判りますが、もし仮にこの表現が初日算入を意味するだとしたら、では、初日「不」算入の原則通りの場合はどう書くというのでしょう?どうしたって【契約の日が初日である以上は】「契約の日から」としか書きようがないでしょう?だから、「契約の日から」という表現は単に「契約の日が初日である」と言っているだけなんです。期間計算の起算日がいつになるかは書いていないのです。書いていないのだから原則通りです。
因みに、「契約の翌日から」と書いた場合には、「初日」は「契約の翌日」です。そして、140条ただし書によって期間が0時から始まるから「初日」である「契約の翌日」を期間計算の起算日として算入しますが、それだけの話であって決して「契約の日」が「初日」でそれを不算入にするということではありません。結果は同じですけどね。こういう間違いを犯すのは理屈を理解していないからです(単に国語的常識がないだけかもしれませんが)。そこで、理屈を理解することをお勧めします。良い反面教師ですね。
――――――――――――
以下、理屈。お勧めはしますが興味ないなら読まなくてもいいです。
・元々、民法140条本文が典型的に想定しているのは期間が始まるのが「原因の生じたその日」の場合なんです。簡単に言っちゃうと、例えば契約した「その日」からって場合なんです(極端な例で言えば「今日」です)。例えば取得時効なら占有を開始した「その日」からって場合であり、例えば民事訴訟の控訴期間なら判決書等の送達を受けた「その日」からってことです。
契約したり、占有を開始したり、判決書の送達を受けたりした時が「その日」の午前0時ってことは実際あり得ないでしょう?一定の事実が期間の開始原因となっている場合、その事実が午前0時に起こるってことは事実上ほぼないです。時刻が書いてなかったとしても常識的に0時きっかりに契約していることは事実上ありません。狙ってやる?それな最初から契約書に0時からと書きますよ。
そうすると初日が1日に満たないことになるわけですよ。そこで初日は不算入にするというのを原則にしているのです。
・これに対して将来の日付、つまり、「原因の生じたその日の翌日以降」を定めた場合を想定しているのがただし書なんです。例えば、契約した日は7月2日だが、効力が発生する日を7月10日と定めた、とかそういう場合なんです。これは将来の日付を定めているので午前0時から期間を開始させることが全く問題なくできます。そこで丸々一日不算入にするのは不合理なので0時から始まる場合には初日を算入するんです。
ということで、即日、つまり、原因が生じた「その日から」直ちに期間が始まるのであれば本文が適用されますし、「翌日以降に」期間が始まるのであれば、それはその「翌日以降」の日の0時からと考えるのが合理的なので、ただし書によって「0時から始まる=その日を含む」となるんです。
例えば7/2に契約を締結し、その契約は条件付きで効力を生じる内容で「契約が効力を生じた日から1年」となっていたとしましょう。7/20に条件が成就して効力を生じたとします。さて、どうなるか?もちろん原則通り「初日不算入」です。7/21から期間を起算します。ただし、もし仮に条件成就が7/20の午前0時であったとすればもちろん、ただし書によって初日算入となります。
無論、当事者間でこれと異なる合意をすることは可能です。
――――――――――――
以下、余談。興味ないならますます読まなくていいです。
ところで、2/29などの場合には法律的には以下のようになります。世の中、訳の分かんないこと言ってるのもいるみたいですけど。
民法143条1項
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
同条2項
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。【ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。】
【ただし書】に注目。仮に2/29から1年であれば、143条1項により暦に従って計算すると翌年の2/29が応当日になりますが、うるう年の翌年には2/29はないので、「応当日がないとき」に該当して民法143条2項【ただし書】によって満了日は【その月の末日】=2/28となります。
143条2項本文では【ありません】。つまり、
【応当日の前日ではありません。】
あくまでも【その月の末日】です。だって条文にそう書いてあるのですから。どっちでも同じじゃないかって?いいえ、違います。以下に説明します。
仮に1/31から1ヶ月と定めたとすると、応当日である2/31はないので、【その月の末日】ならば、うるう年は2/29、平年は2/28になります。しかし、これを応当日の前日としてしまうと、論理的に2/30にしかなりません(※)。ところが、2/30もありません。さあどうしましょう?
だから
【応当日の前日というのは間違い】
なのです。法律って結構細かいところまで気にして作ってあるんですよ。このサイトのあ○回答者どもの思考回路と違ってね。作ってんのは一流大学出のバリバリの秀才だらけだからw
1/30から1ヶ月であってももちろん同じ。2/30はないので143条2項【ただし書】によって、【その月の末日】、うるう年なら2/29、平年なら2/28になります。これも間違った解釈では、応当日2/30の前日=2/29に「常に」なってしまいます(※)。うるう年以外では、2/29はありません。さあどうしましょう?困ってしまいますね。
なお、応当日がないのは2/29に限りませんから143条2項ただし書きの適用に関しては2/29を特別視する意味は実際にはありません。例えば1/31から3ヶ月と定めた場合も同じです。応当日は4/31になるがそれは無いので、143条2項【ただし書】によって【その月の末日】の4/30になります。まあこの場合は、応当日の前日でも同じですけどね(※)。現在の暦では違いが出るのは2月しかないというのは確かです。でも、一つでもおかしなことになるのはやはり間違いです。
(※)……と言っておきながらなんですが、実はこの説明も便宜的なものでして、厳密に言えば論理的には間違いです。真の正解は、
【そもそも応当日自体が存在しない以上、存在しない日の前日など論理的には観念できない】
つまり、
【応当日が存在しない以上その前日も存在しない】
です。
因みに、1/29から1ヶ月だと、うるう年なら応当日があるので143条2項本文によって前日の2/28、平年なら応当日がないので143条2項【ただし書】によって末日の2/28になります。結果は同じでも法律上の根拠は変わることになります。
オオーーっ!!
ナントー!!
分かりやすくて、詳しくて、漏れがなくて、聞きたかったこと以上に教えていただいて。
神様、仏様(合掌)。
何度も何度も読み返しました。
有り難うございました。
No.2
- 回答日時:
> 「契約の日から1年間」とした場合は
初日算入という意味ですので、140条本則を適用しない契約です。
ですのでそれぞれ
a:2016/7/2
b:2017/7/2
c:2017/7/1
d:2017/7/1 24:00:00
です。
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