プロが教えるわが家の防犯対策術!

鉄鋼材料についていくつか質問です。
○×問題で答えはわかるのですが、理由がわからないものがあったので、わかるものだけでも教えてほしいです!

(1)
炭素鋼がオーステナイトからマルテンサイトに変態しても、炭素量は変化しませんよね?

(2)
「焼入れの冷却速度が速いほど、相変態のとき炭素原子の拡散が速くなる」
という文は×だったのですが、正しくは拡散の速さは「変わらない」のですか?それとも「遅くなる」のですか?


(3)
オーステナイトの結晶粒径が大きいほど焼き入れ性が上がるのはなぜですか?

A 回答 (2件)

(1)炭素鋼がオーステナイトからマルテンサイトに変態しても、炭素量は変化しませんよね?



マルテンサイト変態は無拡散変態ですから元素の拡散移動は無いです炭素量は変化しません。

(2)「焼入れの冷却速度が速いほど、相変態のとき炭素原子の拡散が速くなる」
という文は×だったのですが、正しくは拡散の速さは「変わらない」のですか?それとも「遅くなる」のですか?

冷却速度が速くマルテンサイト変態が起こった場合、上記のようにマルテンサイト変態は無拡散変態ですから拡散の速さは0です。
しかし、オーステナイトからフェライトやパーライト等に変態した場合拡散現象を伴う相変態になるので炭素原子の移動を伴います。
冷却速度と組織(無拡散変態するか拡散変態するか)の関係は、合金元素などによっても当然変化してくるので、炭素の拡散速度は一概に"速くなる”と言えないと考えます。

(3)オーステナイトの結晶粒径が大きいほど焼き入れ性が上がるのはなぜですか?

一般論としてオーステナイト結晶粒度と焼入れ性の相関は古くから認められているのですが、決定的な理由は私には判りません。
適当なキーワードでネット検索してみましたが、最近21世紀になってからの論文もありました、まだまだ研究途上のようです。
オーステナイト粒度だけではなくオーステナイト化する前の熱処理や加工処理条件、合金元素の拡散や粒界への固着等も絡んでくるようです。

また、合金元素でもBの微少量の添加で焼入れ性増大効果があるのですが、Bを過剰添加すると焼入れ性を逆に阻害する効果もあります。
(Bの過剰添加の阻害効果は実験した記憶があります。)
    • good
    • 1
この回答へのお礼

こちらも回答していただきありがとうございます。

一つだけ質問したいことがありまして、むらはめさんは、(2)で一概には速くなるとは言えないとおっしゃっていたのですが、ということは基本的には速くはなるのですか?

冷却速度が速いとなぜ拡散が速くなるのかがイメージで結びつかなくて………

もしわかればでいいので、教えていただけると幸いです。

お礼日時:2017/07/17 23:07

(2)について拡散速度が速くなるとは言えないです。



拡散速度だけを考えると原子の拡散は一般にフィックの法則に従い、金属材料では拡散係数が金属便覧などに出ています。
記憶が頼りなのですが温度の上昇とともに拡散係数が大きくなるので、鋼材の冷却速度が速いと原子の拡散の程度も小さくなります。
鉄鋼材料は冷却時にfcc→bccの相変態を起こすのですが、fccは最密充填構造ですから拡散係数は小さいです。
一方、bccはfccと比較すると結晶構造に空間的な余裕があり拡散係数が大きいです。
拡散現象の面から考えると、冷却速度が速いと最初fccの領域では拡散があまり進行せず、bccの領域の低温で拡散が進行しますが温度低下が速いとやはり拡散は進行しません。

また、鋼種により合金成分が違いますからbccが出来やすい、マルテンサイト変態を起こしやすい等 特性も変わってきます。

fcc→マルテンサイト変態で fcc→bcc→マルテンサイト変態は起こりませんから、
炭素の拡散を考えると(2)の文章は間違いです。
    • good
    • 1

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!