アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

歌メロ等の旋律に対してハモりをつける際に、①主旋律+②ハモりの2声の場合、②のパートは限定進行音の処理は通常行われるのでしょうか?

A 回答 (1件)

このまま回答がつかなそうなので、御参考まで。



御承知のように、私はもともとポピュラーが専門ではありません。
ごく基礎的な部分の考え方はもちろん共通ですが、
実践面ではやはりジャンルによりスタイルの違いがあります。

ポピュラーで「ハモリ」ということを言う場合、
3度、もしくは6度音程の並進行がその大部分を占めると思います。
これは、クラシック、ポピュラーを問わず、
3度の積み重ねで和音を考える西洋式の音楽ならごく自然なことです。
6度は3度の転回音程なので、これも同様です。
(歴史的に正確にとらえるなら、三和音はそもそも
「3度の積み重ね」で考案されたものではないのですが、
これは本題からはずれるので省略します。)

楽曲がシンプルなトライアドのコードを中心に構成されている場合、
これらの3度、もしくは6度の並進行中に「限定進行音」に引っかかることはないでしょう。

ところで、「限定進行音」というのはどういうケースを想定されているでしょうか。
代表的な例は、属七の和音から主和音へ進行するときの第3音と第7音です。
第3音(導音)は2度上行、第7音は2度下行するのは御存じのとおりです。
これは、さすがにポピュラーの音楽理論にも書かれています。
しかし、クラシックの古典的な理論和声は、三和音を基礎としているので、
属七以外の7の和音などの四和音、もしくは9の和音などの五和音における第7音、第9音は、
不協和音程としてその前の和音中にすでに鳴っていてそれが保持されることが必要で、
そのあと2度下行解決することになっています。
ただしこれは、あくまでも厳格な学習様式であり、クラシックでも、
近代以降の音楽の実践的な作曲では、必ずしもこの規則に縛られるものではありません。

一方、ポピュラーやジャズの理論を記述するときは、クラシックと違い、
コードの基本の形はむしろセブンスのコードで、トライアドではありません。
そして、7の和音や9の和音の第7音、第9音に関しては、
進行が限定されるという考え方は基本的に無いでしょう。
そのことを考えると、属七、属九はともかく、
それ以外のコードに関しては、その構成音中から任意の2音を取り出して3度、6度のハモリを書く場合、
どの方向へ進行するかはほぼ自由だといえます。
属七、属九の場合の限定進行音の扱いは、ケース・バイ・ケースでしょう。
たとえば、Cメジャーの曲で属七からトニックへ進行する際、
メロディーが「レ→ミ」という動きをする場合で、ハモリの音が6度下、または3度上にあり、
そのハモリの並進行をそのまま継続したいとなれば、
ハモリの声部は「ファ→ソ」と上行するのはごく自然な動きです。(①)
この場合、ハモリの声部を「ファ→ミ」と下げるとむしろ無理が出るでしょう。
属和音の第3音、つまり導音の扱いもケース・バイ・ケースです。
属七上で「シ+レ」の2声のハモリが鳴り、それにトニックが後続する場合、
両方が「ド」へ進行してユニゾンになることもできます。
この場合は、導音は定石通りの進行です。(②)
しかし、トニックに入ったところで2声のハモリを保持したい場合、
あるいは、そこで終わりではなく、ハモリの絡みがさらに続く場合など、
「シ」を「ソ」に下げて4度のハモリに持っていくこともできます。(③)

ハモリは常に並進行というわけではないので、クラシックと同じ定石通りのハモリももちろんあります。(④)

定石通りにできる個所でも、何らかの理由でほかの音程のハモリを使う方が流れとして効果がある場合は、
限定進行音の処理とは違う方法を取ることもできます。
BeatlesのI Want To Hold Your Handのハモリでは、
属七の第3音と第7音が、第7音の上行に伴ってそのまま4度音程のまま上行していますが、
ここは、一度せりあがって下りてくるメロディーの頂点の個所なので、
第7音を2度下行させて6度のハモリに落ち着かせるよりも、
メロディーと一緒に上行させた方が流れがよく、
また、ちょっと硬質の4度を当てることでアクセントになっています。(⑤)
音源(開始から22秒の個所)


また、メロディーに大きな音程の跳躍がある場合なども、
ハモリを保持するためにはメロディーについて動く必要があるため、
限定進行よりもそちらを優先することになります。
例として、planet3「I Don’t Want To Say Goodbye」という曲を挙げます。(⑥)
(選曲に特に意味はありません。偶然見つけただけです。)
音源(開始から1分55秒の個所)
https://www.youtube.com/watch?v=spUoOLVvnHo

上のA#dim(addA)のコードの個所のハモリのAは、
古典的な和声の限定進行を守るならA→G→F#と下行するのが定石です(A→F#も可)。(⑦)
しかし、上の楽曲ではメロディーの跳躍とともにDへ進行しています。
そうしないと、ハモリを継続できません。

ちなみに、属七からIへの進行において、第3音(導音)を2度上行させずに3度下げて、
後続のIを完全和音(第5音を省略しない)に保つという書法はバッハの合唱曲などにもあります。

とりあえず、いくつか例を挙げてみましたが、
4度音程や5度音程の並進行によるハモリもありますし、
並進行ではなく、ある程度対位法的に絡むような場合もあります。
これらの処理は、個々の楽曲のスタイルによっても決まりますし、
作曲家、アレンジャー自身のスタイルもあると思います。
フレーズの途中にあるか終わりにあるかなどによっても処理の方法は変わるかと思います。
クラシカルな曲調では、伝統的な和声の進行に一致する場合もあるかもしれません。
これは、できるだけ多くの曲を見て考察すべきで、
すべての場合に共通する規則の守り方、破り方を定義するのは無理でしょう。
「旋律に従属的なハーモニーをつける際の限定」の回答画像1
    • good
    • 0
この回答へのお礼

お礼遅くなって申し訳ございません!
いつもいつも貴重なお時間を割いていただいて大変わかりやすい回答をありがとうございます!
Tastenkastenさんのおかげで心折れずに頑張れてます!
今回もありがとうございました!

お礼日時:2017/08/01 07:58

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!