■グラニュー糖と上白糖、それぞれに適した料理は?
味や触感に違いがあることから、どの料理に適切な砂糖なのか、きっと違いがあるのではないだろうか。
「グラニュー糖は、クセのない淡白な甘さが特徴ですので、素材の味を活かした料理や、コーヒーや紅茶などの飲料に適していると考えられます。また、上白糖に比べて焦げつきにくいため、ビスケットやスポンジケーキなど、軽く仕上げたいレシピに適しています」(水野さん)
コーヒー用のスティックシュガーの袋をよく見てみたら、確かにグラニュー糖と書いてあった。
「上白糖は基本的にどんな料理にも合いますが、グラニュー糖と比較し淡泊すぎないしっかりとした甘味があるので、和食の甘辛い味付けにも適しています。またパンケーキなど、しっとり仕上げたいときにも適しているのではないかと思います」(水野さん)
なるほど。料理に甘味をつけるときは、上白糖をつかったほうが無難ということだ。
「なお上白糖はグラニュー糖と比較して、メイラード反応(糖とアミノ酸が反応して褐色物質を作る反応)が生じやすいことが特徴です。メイラード反応は、還元性のある糖とアミノ酸の反応です。転化糖は還元性がありますが、ショ糖は還元性がないので、転化糖を含む上白糖はメイラード反応が生じやすい、言い換えると焦げつきやすいのです」(水野さん)
メイラードとは、その現象を発見したフランスの生化学者の名とのこと。
■グラニュー糖と上白糖はそれぞれ代用できる?
グラニュー糖と上白糖では、それぞれに適した料理があることがわかったが、片方を切らしてしまうという場合もある。互いに代用しても、味や仕上がりなどに問題は出ないのだろうか。
「グラニュー糖と上白糖は、どちらもほぼショ糖であり大きな違いはないため、お互いに代用可能であると考えます。注意点としては、上白糖はグラニュー糖より甘味を感じやすい(グラニュー糖は淡白な味になる)ので、甘さの違いに気をつけることです」(水野さん)
基本的に代用しても問題はないが、分量は加減したい。
「また上白糖はグラニュー糖と比較して焦げやすいため、焼き菓子などでは同じ火加減でも焦げ色が変わるので注意しましょう」(水野さん)
先ほど出て来たメイラード反応がここでも登場した。焦げ目が肝心な料理の場合は注意したい。
「また、グラニュー糖と上白糖は比容積が異なり、グラニュー糖は大さじ1が約12gに対して、上白糖は大さじ1が約9gです。計量する際に間違えないよう気をつけましょう」(水野さん)
大さじ5杯分の場合、グラニュー糖と上白糖では約15gも違ってきてしまう。これは大いに気をつけたい点だ。
今までグラニュー糖と上白糖の違いに気をつかっていなかった人も、料理の過程などで違いがあることがわかったのではないだろうか。グラニュー糖と上白糖は、適した料理もそれぞれ違い、互いに代用する場合も気をつけたほうがよい点がある。今回の記事を参考に、それぞれの特徴を活かし砂糖と上手に付きあっていってほしい。
●専門家プロフィール:水野考貴
一般社団法人日本味覚協会 代表。味覚の良し悪しをチェックできるイベントやセミナーを数多く実施。また「味覚検定チョコ」を開発・販売。ウェブサイト「味覚ステーション~世界一面白く食品・栄養・味覚を学べるサイト」を運営。