空気が冬に続き乾燥している春は注意が特に必要とのことで、スマホに限らず、パソコンやタブレット、ゲームなどの使用でも同様のリスクがありそうだ。では、なぜそれらが口臭の要因になるのか、予防や改善する方法はあるのか、口臭治療が専門の中城歯科医院の医院長、中城基雄さんに、再度話を聞いてみた。
■スマホで口臭が発生する原因
下を向き続けることで首の骨が変形してしまう「ストレートネック」は問題視されているが、その“うつむきの体勢”は、口臭にも悪影響を及ぼすようだ。
「うつむきの体勢になると、顎の下あたりにある唾液腺が圧迫され、唾液の分泌が妨げられます。また長時間、同じ体勢で画面に集中することが背中を通っている自律神経に影響を与え、交感神経が優位な状況を招きます。唾液は副交感神経が優位になる“リラックスタイム”に多く分泌されるので、“緊張状態”も唾液の分泌に悪影響を与えます。他の電子機器を使っているときも同様です」(中城さん)
中城さんは「画面に集中するあまり“誰とも話さない状態”になり、咀嚼筋(そしゃくきん)がこわばること」も唾液の減少に繋がるとも教えてくれた。では、なぜ唾液の減少が口臭を発生させるのだろうか。
「口臭の大きな要因の一つは、舌の菌の塊『舌苔(ぜったい)』です。舌苔とは、舌を『べーっ』と出したとき、舌の中心からやや奥の方に付いている白っぽいものです。本来、唾液が十分に出ていれば舌苔は洗い流されるものですが、唾液の分泌が減少すると舌苔が増殖し、口臭の原因になるのです」(中城さん)
スマホだけでなく、さまざまな電子機器を公私ともに使用する現代人は、常に口臭発生リスクにさらされているといえそうだ。
■乾燥している日は更に危険!?その理由とは
恐ろしいことに、乾燥はさらに口臭リスクを高めるという。
「湿度の低下やエアコンなどの使用により、肌や毛髪などと同様に、口腔内の粘膜も乾燥しやすく唾液が減少します。さらに、屋外と屋内の寒暖差ストレスが交感神経を優位にするため、他の季節に比べて唾液の分泌が減少しがちです。そのため、口臭も発生しやすくなるのです」(中城さん)
口の中まで乾燥する天気のよい日は、特に注意が必要だ。
■予防法や改善法
では、口臭を予防する方法はあるだろうか。
「スマホなどの電子機器を使用する際は、15~20分、長くても30分に1回を目安に休憩を挟むようにしましょう。マスクを付けて口の中の乾燥を防ぐとともに、体に潤いを与えてくれるプルーンやドライいちじくなどをおやつに摂り入れるとよいですよ」(中城さん)
休憩時間にプルーンなどを食べ、お茶などを飲んで口の中の乾燥を防ごう。では、発生してしまった口臭を改善する方法はあるのだろうか。
「泡タイプの歯磨きを使うことをおすすめします。泡を舌の上に乗せ、口の中全体に行き渡らせた後、普段通りの歯磨きをするという簡単なケアですが、泡が舌苔に密着し舌磨きの効果があります」(中城さん)
歯ブラシで舌を強くこする人がいるが、舌に傷がつく恐れがあるので、やらないほうがよいとのこと。
舌苔が蓄積しないようにすることが大切ということが分かった。メールやゲーム、アプリを使用した後には口臭ケアをすることを、習慣づけてみてはいかがだろう。
●専門家プロフィール:中城 基雄
口臭専門クリニック 中城歯科医院 医院長。歯学博士。鍼灸師。