■別のフロアのトイレ、使っても大丈夫?
自社フロアのトイレが混雑していたら、別のフロアのトイレを利用してもいいのか。まずは単刀直入に聞いてみた。
「テナント契約の内容によりますが、フロア貸しの場合、他のフロアのトイレを使用することはよろしくありません。フロア貸しでない場合は、トイレは基本的に共有の場所、強いていえば公道と同じ扱いです」(岩崎さん)
フロア貸しの場合、基本的に他のフロアのトイレの使用はNGだ。では、フロア貸しでない場合は、誰でもそのトイレを利用してもよいのだろうか。
「専有するテナントに立入禁止を宣告されているのであれば、中に入ると不法侵入になってしまいます。しかし共用部は、仮に不審者がいるとしても強制的に排除することはできません。そのようなことからフロア貸しでない場合は、自社のフロアのトイレが混雑しているとき、別のフロアのトイレを利用しても問題ないのです」(岩崎さん)
フロア貸しとそれ以外で、状況が異なるのだ。
■やむを得ない場合の最低限のマナー
やむを得ず別のフロアのトイレを利用するにしてもマナーには配慮したいと岩崎さん。
「大切なことは、別のフロアのトイレを利用する際、周りの人に不快な思いをさせないマナーができているかどうかです。不審者のように思われたらあまりよい気持ちはしませんよね」(岩崎さん)
マナーの基本は、相手の立場になって考えることである。もしどうしても使う場合は、コソコソとしないほうがよいといえる。ということで具体的な心得を次の段落で紹介しよう。
■別のフロアのトイレを利用する際の4つの心得
マナーの観点から、別のフロアのトイレを利用する際、心掛けるべきポイントをまとめてもらった。
1)積極的に挨拶をする
2)状況に応じ必要であれば、トイレを使用したい理由を説明する
3)「どうぞ」と言われたらお礼を伝える
4) 状況に応じ必要であれば、使用後に初めて会った人にも挨拶をし、使用の理由を伝える
大会社では、全員の顔を覚えていないケースもある。ビルの規模や個室の数、社員数などの考慮は当然必要であり、この心得についてもあくまで絶対ではなく、その状況に応じ臨機応変に対応したい。
「別のフロアの人とも普段から積極的に挨拶をし、お互いが気持ちよくトイレを使用できる関係作りをしておくことができるとよりよいですね」(岩崎さん)
別のフロアの人も、同じような境遇になるかもしれない。お互いの日々のコミュニケーションが、緊急事態を救う最良の手段になりそうだ。トイレを借りる際は、迷わず手短に挨拶をすることを忘れず心がけたい。
なお、「教えて!gooウォッチ」では「女性用トイレが大混雑!男性用トイレを使うのはマナー違反?」という記事も公開中。併せてチェックしてみてほしい。
●専門家プロフィール:岩崎智子(いわさきともこ)
NPO法人日本サービスマナー協会 プロフェッショナルマナー講師。全日本空輸株式会社にて客室乗務員として4年間勤務。退職後、イベント、コンサート、展示会、披露宴などの司会者として幅広く活躍。現在は、MC時代に培った「コミュニケーション力」を活かし、接遇・ビジネスマナー・クレーム応対・電話応対などの研修を実施している。