■「ぎっくり腰」は季節の変わり目に注意
一度発症すると、癖になるという。できればお付き合いしたくないものだが、その症状や特徴について聞いてみた。
「急に腰が痛くなり動けなくなり、かつて西洋では『魔女の一撃』といわれていたほどです。狭義の急性腰痛症の場合、ほとんどが原因不明の『椎間関節の亜脱臼(ねん挫)』とされています。発症しやすい季節は決まってはいませんが、寒いと身体が縮こまってしまうことも多いので、比較的気をつけたほうがいいかもしれません。また意外と見落とされがちなのが『季節の変わり目』です。特に寒暖差の大きいときは要注意です」(渡邊さん)
ねん挫の一種とのこと。四季のある日本人にとって、要注意だといえそうだ。
■軽い「ぎっくり腰」ってあるの
「ぎっくり腰になると、歩行困難になるほど大変」というイメージがあるが、人によって程度も違うのだろうか。
「足のねん挫を想像してもらえれば分かりやすいのですが、軽めの人もいれば、動けなくなる人までいますよね。実はぎっくり腰にも軽いものはあるのですが、やはり『動けなくなった』ことにより『ぎっくり腰になった』と気がつく人が多いです。癖になってしまった人の中には、『あ、なりそう』と気付く人も少なくありません」(渡邊さん)
気づかない程のぎっくり腰もあるとのこと。症状が致命的になる前になんとかしたいものだ。
■「ぎっくり腰」になってしまったら!さあ、どうする?
いざ、ぎっくり腰を発症してしまったら、どうすればよいだろう。
「無理な姿勢を取らず、楽にすることも大事です。特に仰向けの態勢は苦しくなりがちです。中には脚を持ち上げた仰向けが楽な人もいますが、それよりも楽な姿勢がある場合はそちらをおすすめします。痛みを感じている部分(またはその周辺部分)が熱を帯びている場合は、炎症を起こしていることが考えられますから、すぐに冷やしましょう」(渡邊さん)
湿布についてよく聞かれるというのでここでも教えてもらった。
「炎症を起こしている場合は患部を冷やし、痛くてつらい場合は痛み止めの薬を飲むことをすすめています。理由は炎症が落ち着いたら、今度はゆっくり温めて欲しいからです。薬局によっては炎症を取り、痛み止め効果のある湿布もあります。ただ痛み止めは、貼るものと飲むものが重ならないように注意しましょう。分からないときは必ず薬局の人に聞いてください」(渡邊さん)
治るまで安静にしたいものだが、仕事などでどうしても動かなくてはならない人はどうすればよいだろう。
「炎症を起こしている場合は、同じように冷やしてコルセットやバンドで固定すれば、多少は動けるようになるはずです。また、薬局で手に入る『キネシオロジーテープ』でテーピングするのもいいと思います。腰に不安があるなら、テーピングはおすすめです。炎症があるうちは『お風呂にゆっくり浸かる』のはNGです。軽めに済ませましょう。炎症が引いたらゆっくり入って温めるのがよいでしょう。気をつけたいのは『症状がやわらがないケース』です。この場合は違う病気の可能性もありますので、必ず病院へ行って下さい」(渡邊さん)
ぎっくり腰になったら、「炎症があるうちは冷やす。それが引いたら温める」のが基本のようだ。「慢性的に腰痛があり、ときどきぎっくり腰になってしまう場合は、普段から温めるほうがよいと渡邊さんは教えてくれた。季節の変わり目や寒い季節には、お風呂などで体を温める習慣をつけておくとよいだろう。
なお、「教えて!goo」では「ぎっくり腰を経験したことはありますか?経験がある方は何がきっかけでぎっくり腰になりましたか?」ということで、みんなの回答を待っている。
●専門家プロフィール:渡邊亜紀子
スポーツトレーナー。自身の闘病体験から、忙しい大人のための継続しやすい簡単かつ効率的に行えるセルフケアを提案。延べ3000人以上の身体のお悩みを解決。身体が硬い・運動が苦手な方でもイキイキと動けるフラットな身体作りを目指す。自由が丘スウェディッシュマッサージ&セラピューティックストレッチサロン「Lycka till(リュッカ ティル)」 主宰。