■九州地方の納豆のタレは甘い?
九州ではパッケージに付属のタレが甘いと聞くが本当なのだろうか。
「九州地方では、甘味料が添加されている甘口醤油の食文化があります。そのため、納豆についているタレ自体が甘く作られている商品が東日本よりも多いです」(石垣さん)
そもそも九州では、醤油が甘いのだ。それは、なぜだろう。
「九州地方で甘口醤油の食文化があるのは、新鮮な魚を食べることに由来します。魚は熟成が進むことで旨味が増えます。新鮮な魚を食べる際にそれを補う、甘味が強い甘口醤油が根付いたのです」(石垣さん)
納豆のタレは全国共通ではなく、九州地方では甘いという発見があった。他にはどんな味のタレがあるのだろうか。
「変わったタレでいうと、 カレー味、チーズ味、ナンプラー入りのタレ付きの商品もあるそうです」(石垣さん)
和食の域を超えた、実に個性的な味も存在するようだ。
■ひきわり納豆と粒納豆ってどう違うの?
納豆を選ぶときの決め手の一つに、ひきわりか粒かどちらにするかというものがある。
「ひきわり納豆は、大豆を石臼(または装置)で挽き割った大豆を原料にして作る納豆のことで、外皮が取り除かれています」(石垣さん)
言われてみれば確かに、ひきわり納豆には皮が無い。
「粒納豆(糸引き納豆)はひきわり納豆に比べて皮が取り除かれていない分、食物繊維が多いです」(石垣さん)
食物繊維を多く取りたいという場合は、粒納豆を選べばよさそうだ。他にも違いがあるという。
「ひきわり納豆は粒納豆に比べて、カルシウムを効率的に吸収する役割のビタミンKが多くなっています。外皮がないので、粒納豆(糸引き納豆)よりもなめらかで食べやすいのも特徴です。消化にもよいので、ご高齢の方やお子様が食べやすいです」(石垣さん)
消化のよさや食べやすさを考えたら、ひきわり納豆に軍配が上がるようだ。
■ひきわり納豆と粒納豆の調理の仕方
納豆巻きはひきわり納豆を使うことが多いが、粒納豆を使用することはあるのだろうか。
「もちろん、納豆巻きに粒納豆が使われることはあります。ただ、長細い納豆巻きを小さく切った時に、ひきわり納豆のほうが美しい弾面になりますし食べやすいです。よって納豆巻きには、ひきわり納豆が多く用いられています」(石垣さん)
確かに、見た目も大事な要素だ。ひきわり納豆と粒納豆、それぞれどのような調理法があるか聞いてみた。
「ひきわり納豆は、砕いてあるので山芋やほうれん草などの和え物が食材と絡みやすくておすすめです。粒納豆は、和風パスタ、オムレツ、チーズ焼き、トーストがおすすめです」(石垣さん)
粒納豆は、より触感を楽しむ調理法がよいのだろう。
和食、イタリアンなど、実にバラエティ豊かに使える納豆。地域による違いや料理法など、まだまだ新しい発見がありそうだ。
●専門家プロフィール:石垣桃子
株式会社ソフィアプロモーション 食めぐ編集部 管理栄養士。「食めぐ」は管理栄養士9名が運営する「食による健康」をテーマにした食のWEBメディア。