■夏場の大福はどのように保存する?
気温が高い環境下にさらされると、大福はどのような状態になるのだろうか。
「基本的に砂糖を含む食品は、腐敗菌が増殖しにくく傷みにくいものですが、砂糖の含有量などにより変わります。大福は腐敗するとまわりのお餅にカビが生えたり、あんこが酸っぱくなったり糸を引いたりします。大福に限りませんが、高温多湿な環境は食品が腐敗しやすいです」(秋山さん)
では、どのように保存したらよいだろう。
「夏場はラップでしっかり密封し、冷蔵保存か冷凍保存が安心ですね。冷凍保存したものは自然解凍がおすすめですが、冷凍あるいは冷蔵保存でお餅が固くなった場合は、ふんわりとラップをかけ、500wなら10秒ほど電子レンジで加熱してみてください。それでも固い場合は、5秒単位で追加加熱することをおすすめします」(秋山さん)
食品内部から温めてしまう電子レンジだと、解凍されるだけでなくあんこが温かくなってしまってイヤ……という人は、トースターがおすすめだそうだ。
「大福がトースターの網にくっつかないよう、クッキングシートやアルミホイルなどを敷き、さらに上にも軽く被せて加熱してみてください。加熱前に少し霧吹きなどで湿らせるとお餅がしっとりと解凍されますよ」(秋山さん)
■大福の種類により、保存法は異なる?
豆大福や塩大福、苺大福、プリン大福など、大福の種類によって、日持ちする程度や適した保存法は異なるのだろうか。
「一般的に、砂糖が多く使われ、水分が少ないものの方が保存期間は長いようです。季節に応じて、苺大福をはじめ、栗やオレンジ、メロン、ぶどうなどの果実を使った大福が多く出回りますが、その果実の水分量や加工の仕方により、日持ちの程度も個体差があるでしょう」(秋山さん)
水分が少なく、砂糖たっぷりのあんこを使った大福なら日持ちしそうだが、アレンジされたものはその部分から腐敗が進む可能性があるので、気を付けたい。
■大福のアレンジレシピ
大福に“アレンジレシピ”はあるかも聞いてみた。
「大福と牛乳を耐熱容器に入れて電子レンジで加熱し、『おしるこ風』にすると目先が変わって新鮮な美味しさです。一度溶けたお餅は冷やしてもあまり固くならないため、冷蔵庫で冷やすと、夏にピッタリの『冷やし汁粉風』になります。逆に寒い季節には、大福をトースターでしっかり焼く『焼き大福』がおすすめ。カリッと香ばしく焼かれたお餅の表面をかじると、お餅内部やあんこがトロッと柔らかく溶け合って絶妙です」(秋山さん)
変わり種が楽しめるのであれば、迷わず冷凍してしまってもよいかもしれない。すぐ食べるつもりでも不安なら、直射日光の当たる場所や、高温多湿になるキッチンなどを避け、その日のうちに食べ切るのが最も安心だろう。その際、どうしても不安な人は「パックの上に保冷剤を乗せておくと安心でしょう」と秋山さんは教えてくれた。猛暑の日本列島の夏は、大福だけでなく、あらゆる食品の保存法に留意したいものだ。
●専門家プロフィール:秋山 景子
Dish-art Styring主宰。フードスタイリスト。食生活アドバイザー。主に、書籍や雑誌、WEB広告、CM、映画などの撮影にて、料理やテーブルセッティングを手がける。飲食店や食品会社のメニュー開発や盛り付けのアドバイスにも携わる。