■ゲームで新しい友達を作る方法
「オンラインゲーム」とは、ネット上で遊べるゲームのことであるが、SNS上で提供されるゲームは、「ソーシャルゲーム」と呼ぶこともある。これらのゲームを利用して、友達作りをするコツを聞いてみた。
「オンラインゲーム上では、リアル生活と違った自分を演じることが可能です。たとえばオンラインゲーム上でリーダーシップを取りたいと思うなら、自分の得意なジャンル、またはまだプレイヤースキルの差が小さい新作を選ぶとよいでしょう。まずは単独でスキルを磨き、コミュニティ参加するのです。もし頼れるゲーム仲間が欲しい場合は、上手な人に教えてもらいながら、自然と友達になりましょう。ソーシャルゲームの場合は、SNSの機能により友達の友達とも繋がることができるので、ゲームが趣味の人を見つけ、一緒に楽しみながら友人関係を構築していくこともできそうです」(平井さん)
会ったことのない相手とゲームを通じて友達になることは難しくないだろうか。
「対面と異なり、相手の様子や感情を推測できないため、『ネット上でのやりとりなので……』と前置きしながら丁寧に自分の気持ちを伝え、コミュニケーションを取りましょう。気の合う人とは会ってみたくなるものですが、絶対に一人きりで相手と会わないように気をつけてください。会う場合は、必ず事前にご家族と相談したり、オフ会など大勢の集まりに参加するなど、トラブルに巻き込まれないように注意してください」(平井さん)
ネット上では対面の場合と違って、表情や態度などから相手のことを察することが難しい。そのため、相手を理想化してしまうことがあるようだ。相手のことを把握できるまでは細心の注意が必要だろう。
■ゲームを子供の教育に活用する方法
次に、ゲームを教育に活用するにはどうすればよいのか聞いてみた。それには子供のサポーター兼トレーナーとして、大人も一緒に楽しむとよいと平井さんは続けてくれた。
「グロテスクな表現や、暴力的な表現が含まれるものなどに気をつければ、多様なゲームが子供の学習に活用できます。お子さんのどの能力を伸ばしたいのか、どうやって遊べばよいか、どこでどんな声掛けをすれば学びに繋がるかなど、計画を立て取り入れると効果的です。親子だけでなく、兄弟や友人と集団で遊び、コミュニケーションやマナーも学べる機会にするのもよいですね」(平井さん)
「学びを意識して遊ぶ」ことで能力向上が図れるそうだ。
「当研究所での調査で、海外のプレイヤーとオンラインゲームで遊ぶことで英語力が伸びたというコメントをいただいたことがあります。小学生なら、ゲームに表示される文章を音読させ漢字を覚えたり、ゲームに登場するものや生物について図鑑や辞書で調べるなど、知って学ぶ楽しさを感じて欲しいです。謎解きやダンジョンなら推理力や空間認識力を養えますし、Nintendo Switchのリングフィットなどがあれば、身体の動かし方や正しい姿勢を習得できます。また、ゲームをクリアするためのアイデア出しや、ゲーム後の感想を求めれば、考えや気持ちを言語化する力をつけることができます」(平井さん)
ダンジョンとは、迷路のようなロールプレイング型のゲームのこと。
ではゲーム中は、どのようなことに注意をすべきだろう。
「ゲーム依存や悪意あるプレイヤーによる詐欺、誘拐などに十分注意することはいうまでもありません。大人の目の届くところで遊ぶことやプレイ時間など、各家庭で決めた『ルール』を守ることが重要です」(平井さん)
今回の話で、ゲームに対する意識が変わった人も少なくないのではないか。日常に上手にゲームを取り入れながら、楽しく安全に友達作りや教育にも役立てられたらよいだろう。これから発売されるプレイステーション5は、コントローラーや周辺機器も新しくなり、さらにリアルな疑似体験ができるというので楽しみにしたい。
●専門家プロフィール:平井 大祐(オンラインゲーム調査研究所)
臨床心理士、公認心理士、精神保健福祉士、産業カウンセラー、健康経営アドバイザー。オンラインゲームと人の付き合い方を考える研究機関として2003年に活動を開始した「オンラインゲーム調査研究所」代表。オンラインゲームと上手に付き合うための講演などを行っている。