■忍者といえば手裏剣だけど……
忍者の武器といえば、真っ先に手裏剣をイメージする人も多いのではないか。しかしこの手裏剣、博物館などの実物を見ると、とても重そうな印象を受ける。忍者は本当に手裏剣を使っていたのだろうか?
「一般的に、忍者の主要武器と言えば手裏剣ですよね。本当に忍者はこの手裏剣を使っていたのかというと、実は使っていなかったのではないかという説もあり、真相ははっきりしません。ただ、使っていたとしても、重量を考えると、数個程度しか持ち歩けなかったというのが実情でしょう」(日本忍者協議会)
映画やアニメでは、連続でいくつもの手裏剣を敵に投げているが、現実はどうも違うようだ。
「手裏剣自体が小さいので、急所に当たらない限り、致命傷になりません。さらに手裏剣が威力を発揮できる距離は6~7メートル以内だと言われています」(日本忍者協議会)
これが手裏剣の現実……。攻撃力が高い武器のイメージが崩れ落ちる。だが、日本忍者協議会によると、「手裏剣にトリカブトなどの毒を塗って使ったとも伝えられています」とのこと。毒を矢尻に塗った弓矢は知っていたが、毒を塗った手裏剣とは……! これはそれなりに武器として活用できていたのでは!?
「ちなみに手裏剣は忍者の武器というイメージが強いですが、忍者特有の武器ではないんですね。もともと武士が使っていた投擲(とうてき)武器が発達し、今に伝わるような形状の手裏剣が誕生したと言われています」(日本忍者協議会)
■甲賀は「こうが」ではなく「こうか」が正しい!?
引き続き日本忍者協議会に、忍者にまつわる「えっ、そうだったの!?」という情報を得ることができたので紹介しよう。たとえば忍者の忍び装束といえば、黒色のイメージだが、実際はどうも違うようである。
「漫画などに登場する忍者が着る『忍び装束』の色は『黒』が多いです。しかし、実際の忍び装束の色は、柿渋色や紺色のようなくすんだ色でした。夜といっても月明かりもあり、黒だと輪郭が浮き出てしまうので、くすんだ色のほうが闇に溶け込みやすいのです」(日本忍者協議会)
さらには忍者と言えば伊賀と甲賀を浮かべる人もいると思うが、甲賀の読み仮名についても驚き情報が。
「伊賀と並ぶ忍者の地『甲賀』を、『こうが』と読んでいる人は多いのではないでしょうか。実は『こうか』という読み方が正しいのです。証拠に、甲賀駅の看板には『こうか Koka』と記されていますし、甲賀市のホームページにも『Koka-City』と記されています。『伊賀』は『いが』ですが、『甲賀』は『こうか』なんです」(日本忍者協議会)
■現代にも忍者は存在する!?
忍者の実情を知ったところで、ずばり、現代にも忍者はいるのだろうか?
「残念ながら戦国時代に暗躍したような本来の『忍びの者』は、現在には存在しません。忍術の伝承をしている方々はいらっしゃいますけどね」(日本忍者協議会)
なるほど、やはりそうだったか。
「ただ、『忍者』をどのような職種として捉えるかにもよると思います。忍者は戦闘だけはなく様々な仕事をしていましたから。例えば、『情報収集』が忍者の仕事だと捉えれば、『忍者っぽい仕事』をしている人たちはたくさんいますよね」(日本忍者協議会)
確かにそうかもしれない。戦闘という側面だけでなく、忍者がこなしたであろう様々な業務から考えれば、あなたも私も忍者っぽい仕事をしている一人なのかもしれない。
なお、「教えて!gooウォッチ」では「サラ忍マン 良太郎」という、現代に生きる忍の末裔のサラリーマンを描いた4コマ漫画も連載している。こちらもぜひチェックしてみてほしい。
【取材協力】
・日本忍者協議会