■QRコード決済のリスクは?外国ではどんな事例がある?
QRコード決済にはどのようなリスクがあるのだろうか。外国で発生した事例なども含め教えてもらった。
「QRコード決済は便利な決済方法ですが、注意したいこともいくつかあります。普及している中国を見てみると、本物のQRコードの上に偽物のQRコードを貼るといった方法で、別の送金先に入金させられてしまったという事例が報告されています」(あんびるさん)
こんなことをされては、一般人が防ぐことはできないだろう。
「QRコードは、そこに含まれている情報やURLがどんなものか、私たちが目で見て確認することが難しく、フィッシング詐欺に弱いとされています」(あんびるさん)
フィッシング詐欺とは偽のメールを送りつけて他のサイトに誘導し、クレジットカードなどの個人情報を盗み出す、ネットを使った詐欺行為だ。QRコードが正しいものかどうか消費者が判断するのは、実際のところ難しい。
「店舗がQRコード生成アプリケーションを使って、決済ごとにQRコードを生成して画面に表示する場合も、このアプリケーションを乗っ取られてしまう可能性が否定できません。また、スマートフォンを活用した決済サービスで、クレジットカード情報(カード番号、有効期限、セキュリティコード)が不正利用される事案も発生しています」(あんびるさん)
QRコード決済は便利な反面、リスクが存在するようだ。
■QRコード決済の不正利用を防ぐ対策は取られているの?
では、不正利用を防ぐため、現段階ではどのような対策が取られているのだろうか。
「経済産業省も参画するキャッシュレス推進協議会において、コード決済事業者、クレジットカード事業者等が参加し、セキュリティの水準の検討、ガイドラインを策定したところです」(あんびるさん)
どうやら対策は後手に回っているようだ。現状に対策が追いついていない状態といえる。先日もセブン&アイ・ホールディングスのキャッシュレス決済サービス「7pay」が、不正アクセスによってスタートからわずか4日でサービス停止に追い込まれたばかりだ。
「こうしたシステム上のリスクは、今後、多くの人に利用されていく中で、徐々に整備されていくものだということは、消費者として理解しておく必要があります」(あんびるさん)
QRコード決済にはリスクがつきものということらしい。日本においては、QRコード決済はまだサービスが始まったばかりの新しい決済方法のため、しばらくは試行錯誤の状態が続くだろう。ある程度安全性が確立されるまでは、外国の事例なども参考に情報を積極的に収集するようにして、不正利用されないよう自己防衛していく心構えも必要になってくることだろう。
●専門家プロフィール:あんびる えつこ
生活経済ジャーナリスト。文部科学省消費者教育アドバイザー・「子供のお金教育を考える会」代表等を務める。「カレー作りゲーム」の考案者であり、全国で講演、ワークショップを行う。一男一女の母