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乱立する退職代行サービス、弁護士に頼むのとなにが違うのか?

乱立する退職代行サービス、弁護士に頼むのとどう違うのか?以前に「教えて!gooウォッチ」では、会社に退職を申し出たさいに「後任が見つかるまで退職は認めない!」と言われた場合の対処方法について紹介したが、現在は「退職代行サービス」がブームだ。しかもその「退職代行サービス」の種類も様々で、女性に特化した退職代行サービスやアルバイト・パート専門の退職代行サービス、中には全額返金の退職代行サービスなどなど、ニーズに応じて実に多様だ。

「退職代行サービス」ができる以前は、退職トラブルを含む労働相談をいえば弁護士だったが、ここまでブームとなると円満な退職を願う退職希望者は、一体どこに選ぶべきか悩みそうだ。そこで今回は「弁護士に退職の代行を頼む場合」と「退職代行サービス」との違いを富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に伺った。

■弁護士に退職代行を依頼する場合の費用は?


「1件5万円程度から受任する弁護士もいるようです。ただ、弁護士が労働者を代理して会社に対して退職の意思表示をするだけで問題が解決するとは限りません。業務の引継ぎ、有給消化の取り扱い、会社に対する金銭請求、会社からの損害賠償請求への対応等の問題について会社と交渉が必要となり、場合によっては裁判に発展することもあろうかと思います。そうした付随する問題を含めた包括的な事件処理の受任となると、5万円では困難であり、弁護士費用についてはケースバイケースと言わざるを得ません。」(井上義之弁護士)

井上弁護士の言うように、退職に付随する問題は多そうだ。しっかりとした説明もせずにただただリーズナブルであることをアピールする弁護士には気をつけたほうが良いかもしれない。

■依頼してから退職までにかかる期間は?


一部のケースを除いて、退職は意思表示をした後、2週間後にその効果を発揮する。では弁護士に依頼した場合、その意思表示をするまでにどれくらいの期間がかかるのだろうか。

「まずは弁護士との面談や打ち合わせです。次に委任契約締結と着手金の支払いです。そしてその後に退職の意思表示となります。ここから先は退職に付随する問題を会社と交渉していくことになります。退職の意思表示までであれば1週間もかからないと思われます」(井上義之弁護士)

意思表示まで1週間で、意思表示後2週間必要ということは、実際の退職までに3週間前後ということになる。しかし、井上義之弁護士はここで釘を刺す。

「退職は人生に大きな影響を与える決定であり慎重な考慮が求められます。事案によっては会社から損害賠償請求される恐れもあり、時間をかけて判断すべき場合もあろうかと思います。また、退職に付随する問題についても解決までに数か月以上の時間を要する場合もあります」(井上義之弁護士)

■退職代行と弁護士の違いは?


さて本題の退職代行と弁護士の違いだが、それ以前に井上義之弁護士が指摘したのは、その違法性だ。

「民間による退職代行サービスは、弁護士又は弁護士法人でないものが報酬を得る目的で『その他の法律事務』を行うことを禁じる弁護士法72条に抵触する恐れがあります」(井上義之弁護士)

過払い金返還訴訟がブームになったときと同じだ。当時もそのブームに乗ろうとして、弁護士法72条に違反してまで、荒稼ぎしようとした人達がいた。この点からも、弁護士以外に頼むのはリスクが有ると言わざるを得ないだろう。ではそのリスクを敢えて無視した場合の退職代行と弁護士の違いはなんだろうか。

「多くの退職代行サービスは退職に付随する問題について会社との交渉はしないという建前のようですが、労働者が第三者に間に入ってもらわないと退職の意思表示を出来ないという状況においては退職の意思表示だけでは片付かない問題があることが通常と思われます。例えば、残業代未払がある場合や上司や同僚からパワハラを受けて精神的疾患を患った場合などです。そうした問題に対する助言や解決の支援の観点からも退職代行は弁護士に対応を依頼すべきだと思います」(井上義之弁護士)

純粋に退職だけしたいのか、あるいは退職に付随する問題も含めて解決したいのか、これによって自ずと選択肢は限られるようだ。ちなみに退職に付随する問題の中には残業代請求も含まれる。未払いとなっている残業代も請求したいなら、当然弁護士に依頼するのが正しい判断だが、そういった事情を知らずに退職代行サービスを民間に依頼しようとする場合、そのあたりのデメリットも含めて説明してくれるのかどうかはわからない。

■退職代行は弁護士に依頼するのが良いが


違法性リスクが存在し、退職以外の問題に対する解決能力を持ちえない退職代行サービス。一方、その二つをクリアしている弁護士。どちらを選ぶべきかはもう明らかではないだろうか。ブームになっているため、弁護士も含めてこの手のサービスに進出してくる人は増えるだろう。中には悪徳弁護士もいるだろう。優良な民間退職代行サービスもあるだろう。どこに依頼するべきか悩む人も増えるだろうが、その分トラブルも増えるかもしれない。退職代行の契約を破棄する代行サービスなんてものが生まれないことだけは願いたい。

専門家プロフィール:弁護士 井上義之 公式 ブログ
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