しかしここで一つ疑問が残る。それはお盆の翌月九月のお彼岸でもご先祖様を供養するのだが、八月に供養したばかりなのに、どうして二ヶ月連続で行われるのだろうかという点だ。煩わしいということではなく、純粋に疑問に感じる。偶然連続なのか、あるいは理由があるのか、これについて話を伺ったのは全国で家族葬を展開しているという心に残る家族葬の葬儀アドバイザーだ。
■お盆とお彼岸、それぞれの意味とは
まずはお盆とお彼岸のそれぞれの意味を尋ねた。
「お盆はご先祖様があの世から帰ってきて、一緒に過ごす期間とされています。ご先祖様が迷うことなく帰ってこれるように迎え火を焚き、送り火であの世に無事に見送ります」(葬儀アドバイザー)
送り火・迎え火以外に、お盆では送り団子・迎え団子でご先祖様をもてなす風習がある。幼い頃、このお団子を目当てにお盆を心待ちにしていた人もいるだろう。
「お彼岸はお盆とは違って、ご先祖様が帰ってくるという捉え方ではありません。お墓参りを通してご先祖様との距離を身近に感じつつ、いつも見守ってくれていることに感謝を表すのがお彼岸です」(葬儀アドバイザー)
お盆は送り団子と迎え団子だったが、お彼岸もお餅との縁が強い。ちなみに牡丹が咲く春のお彼岸に食べるのが牡丹餅(ぼたもち)で、萩が咲く秋の彼岸に食べるのがおはぎだ。
■連続の理由とは
では本題の二ヶ月連続である理由を尋ねた。
「先程述べたようにお盆とお彼岸では意味も目的も全てが異なります。これがもしも全く同じ意味合いでしたら、確かに二ヶ月連続であることに疑問を持つことも自然かもしれませんが、意味が全く違いますので、それぞれ個別に考えるべきだとおもいます」(葬儀アドバイザー)
なるほど。確かに言われてみればそうかもしれない。
「ちなみにお盆と違って、お彼岸の法要にはこれといった目立った形式はありません。これの理由は諸説ありますが、仏教との関係が強いお盆とは違い、お彼岸は神道と密接な関係があるためというのが一説だとされています」(葬儀アドバイザー)
仏教との関係が強いお盆とそうでない神道のお彼岸。出処が違うということであれば、二ヶ月連続に特別な理由がないということへの納得感も増すだろう。
■コロナ禍でのお盆とお彼岸のお墓参りはどうなるか
さてコロナ禍の現在では、帰省を伴うお墓参りは現実的に難しい。これは帰りたくても帰れないということだけでなく、帰ってきてほしくないという帰省先の意向も含まれている。現時点の代替案としては墓参り代行やオンライン墓参りなどがあげられる。
しかし墓参り代行やオンライン墓参りと、「供養」という言葉の相性は良くない。中にはけしからんという人もいるかもしれない。しかしコロナの終息時期は全くの不透明である。となれば他のなにかで置き換えなければならない。でないといつまでたってもお墓参りは実現しない。ご先祖様の供養にもwithコロナが求められているということなのかもしれない。
●専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー
火葬料も含まれた追加費用のかからない格安な家族葬を税込み14万3000円から全国で執り行っている。24時間365日受け付けており、寺院の手配や葬儀後の各種手続きなどのアフタフォローにも対応。
o4o7