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最後の狂気で踊り狂い死ぬElektraのシーンについて質問です。

母親と義理の父を殺害した後、Oresteは宮殿の扉を閉めて、Chrisothemisの叫びにも答えず幕は降りますが、これはどういった意味なのでしょうか。狂気で死んでいくElektraもその妹のChrisothemisのことも見捨てるということなのでしょうか。

ElektraとOresteの再会のシーンが印象的でElektraのことが血の繋がった姉として好きだったように思えるので、最後のシーンの意味がいまいち分からないのです。

台本にはありませんが、その後、Chrisothemisには扉を開いてElektraの亡骸もちゃんと埋葬するとか、またはOresteは王となり姉妹を見捨てると言う設定になっているのか。この先どうなるか、どなたかご存知の方いらっしゃいますか?

A 回答 (3件)

再びこんにちは。


どうやら,「釈迦に説法」だったようで,お恥ずかしい限りです(笑)
しかも,ご質問の趣旨と回答の方向が少々違ったようで,申し訳ありませんでした。

オレストのその後については,#1での回答で申し上げた通りです。
(エレクトラのその後は,少々調べたのですが,よく分かりませんでした)

幕切れについてですが,私の主観にすぎませんが,ホフマンスタールの場合は,普通は脇役のエレクトラの狂気に焦点を絞りきった台本で,オレストは復讐を実行する小道具にすぎないくらいの扱いであり,復讐の達成=エレクトラの最期こそがドラマの終焉であり,その後のドラマ展開は何も必要ない,という感じかもしれませんね。
そうなると,クリソテミスの叫びもなくてもよいような気がしてしまいますが,正気で生き残ったクリソテミスの叫びが,いっそうエレクトラの狂気の死を印象づける,というような感じでしょうか・・・?
または,あまり勘繰りすぎず,おっしゃるように,余韻として受け取ればよいのかもしれませんね。

<余談その1>
記憶は定かではありませんが,エウリピデスにも同じテーマによる戯曲もあって,そこでは,エレクトラの復讐心をやわらげるために,半ば無理矢理結婚させた,というような感じではなかったかな,と思います。

<余談その2>
去年某所にて実演を観ましたが,その時のエレクトラは,Gabriele Schnautという歌手でした。当時,私はお名前は存じ上げず,難役中の難役をよく表現していたと思い後で調べたら,ドラマティックソプラノとしては大変に著名で,エレクトラを得意とされている方だったようで・・・。
自分の不勉強に呆れている次第です。
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この回答へのお礼

感謝感激です。あなたの様な方から2回もこんなに素晴らしいご回答が頂けるなんて、うれしいばかりです。

Gabriele SchnautさんのElektraを観られたとは、なんとも羨ましい限り。写真からすると見た目もはまり役なのではと思える顔立ちですね(このコメントに本人はどう思うか。。)
http://www.schnaut.com/html/d/frameset_d.html

Euripides!そう、彼はいろんな戯曲を残しましたが、よく違った物語に作り上げているので、Elektraの結婚も彼の作品の中に収められているのでしょう。調べてみます。オレステを保護していたStrophius王の息子のPyladesと結婚したとか、ThaumasとかZeusとか、それぞれから子供も授かっているとかあって、とても複雑ですね。ZeusはHeraとの間にVulcanをもうけていて、私の前に書いた話につながりますね(そこがおもしろい!)。

最近の映画やTVドラマではヒドイ家族関係のことばかりですが、神話ほど複雑で刺激的な話はありませんね。

本題に戻って、やはりHofmannsthalのエンディングは、勘繰りすぎず余韻として受け取ることにしましょうか。

どうもありがとうございました。

お礼日時:2005/11/18 03:52

エレクトラは観たことも聴いたこともありませんが(サロメは結構あるのですが)、ひとつ情報を。



雑誌「レコード芸術」に喜多尾道冬さんが連載している「ムーサの贈り物~聖女・悪女伝説」という記事があります。芸術の題材となっているさまざまな女性がテーマになっている絵画・美術、戯曲、音楽を総合的に論じているものです。この中に、エレクトラを扱ったものがあります(2003年9、10月号)。公立図書館などでバックナンバーが読めると思います。

ギリシャ時代の戯曲では復讐劇がテーマで、主役はオレステス、エレクトラはほんの脇役に過ぎないそうです。そこでは、物語の続きは母殺しの罪で裁判にかけられる、、、という方向に進むようです。

シュトラウス/ホフマンスタールがオペラにしたときに、時代の風を受けて(その辺は、記事を見てください)、エレクトラを主役にすえました。喜多尾氏の説によると、オペラの結末の思想は、「サロメ」と根は同じで、思いを貫きそれを遂げたヒロインは喜びのあとにバタッ死んでおしまいということ、、らしいです。

拙文ではわけわからないですね。もし、ご興味がわきましたら、ぜひレコ芸の記事を見てみてください。
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この回答へのお礼

HoffmansthalのElektraが最後に狂い死にするのには賛成(!)なのですが、それに対するOrestの態度があやふやで質問したのです。

Salomeはメロディーがキレイで良いですよね。好きな作品の一つです。Elektraは物凄い迫力ですよ。主人公は最初から最後まで殆ど歌いっぱなしで、おまけに超高音で叫ぶような箇所が至る所にあって、並大抵のソプラノは全幕歌えないという(歌ったら二度と声が出なくなるかも!)。
Salomeを知っているのでしたら、Elektraを試してみては?Straussの最高傑作と言われている作品ですよ。

お礼日時:2005/11/17 23:17

こんにちは。


オペラ同様,回答もややこしくなりそうですが(笑),ご了承ください。

オペラの台本の元になっているのはソポクレス(ソフォクレス)によるギリシア悲劇「エレクトラ」で,この戯曲はオペラと同じ場面で終わっています。

ただし,この話には前ふりの部分と後日談もあって,それはアイスキュロス「オレステイア(オレステス三部作)」として語られています。

アイスキュロス「オレステイア」は,
・アガメムノン(エレクトラの実の父親が殺される話)
・供養する女たち(オペラ「エレクトラ」に相当する部分)
・慈しみの女神たち(母殺しをしたオレステスのその後)
からなります。

これによれば,オレステスは,復讐を遂げた後,今度は自分が復讐を司る女神たちに追われ続ける,という事になっています(最後は一応円満に解決するようですが)。


また,ご存知かもしれませんが,この物語にはさらなる前置きがあります。

・アガメムノンは,トロイア出征(これは,所謂「トロイの木馬」作戦が出てくる戦争のこと)のために,実の娘を生贄にしている。これが自分の妻クリュタイメストラに恨まれ,殺される理由。
(つまり,エレクトラとしては,父殺しの母は憎いけれども,姉殺しの父は愛している,という事)

・しかし,アガメムノンのトロイア出征にも,自分の兄嫁ヘレネがトロイアに連れ去られた,という理由がある。

・アガメムノンの父アトレウスとアイギストスの父テュエステスは兄弟にして政敵。政争に勝ったのはアトレウスだが,テュエステスはアトレウスの妻(アガメムノンの母)と不倫関係であった。これに気づき怒ったアトレウスは,テュエステスの子供(アイギストスの兄)を殺し,テュエステスに食べさせる,という暴挙を犯す。
つまり,アイギストスにとってのアガメムノンは,「自分の兄を殺して自分の父に食べさせたヤツの息子」であり,これが恨みを抱く理由です(ちょっと逆恨みっぽいですが)。

・そして,そもそもの事の発端となった,アガメムノンの兄嫁ヘレネをトロイアに連れ去った張本人,そして,トロイア出征のために生贄を求めた張本人,これらはなんと,ギリシア時代の「神様」,ということになっています。

・・・と,回答している私も訳が分からなくなるくらい,単純な善悪ではとても割り切れない複雑な関係になっています。

こちらにエレクトラを巡る因果応報についての詳細な解説が,家系図つきで載っていますので,よろしければご参考に。
http://homepage3.nifty.com/operasuzume/Elektra.htm

その他,このあたりも参考になると思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AC% …
http://www.page.sannet.ne.jp/kitanom/geiron/geir …
http://www.page.sannet.ne.jp/kitanom/geiron/geir …


総合的に理解するには,ギリシア神話の全体像の把握が必要になってきそうですが,正直,そこまでは私もきちんと分かっていません。

私にとっても大変勉強になりました。ご質問ありがとうございました。
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この回答へのお礼

ギリシャ神話は私も好きで、特にトロイに関する登場人物に感心があります。Elektraはオペラでは主人公ですが、神話では脇役に過ぎないのがまたおもしろく感じられ、このStraussの傑作に興味を持ったのです。

確か原作ではElektraは生き延び結婚までするのではなかったでしょうか。きっと、オペラ用の台本は当時のHofmannsthalによるものなので、その辺りは劇作家として書き換えたものなのでしょう。考えてみれば、あの様な環境で育ったElektraが立派に結婚出来るとは思えない。狂気でヒステリックな女を誰が嫁に迎えるか。あれほど復讐に燃え、燃え尽きたElektraを行き延ばせるのは反対に無残だと解釈できますね。

Hoffmansthalの台本では、Orestは最後に宮殿の扉を閉め、Chrisothemisの呼び声にも答えないまま、幕が下ります。そこの解釈が曖昧になっているのです。それとも「曖昧」で終わらせ、そこを観客それぞれに想像させると言う目的なのかも知れませんね。

ギリシャ神話でも噛み合わないところが沢山あるので(あなたがきちんとわかっていません、と言うのもこれでは仕方ない!)、20世紀初めのHoffmansthalの話がかわっていても当然のことですね。Oresteiaは5世紀BCですからねえ。SophoclesはこのPlayでGrand Prixを取ったらしく、あの頃から既にコンクールがあったということに更に関心しました。

ギリシャ神話っておもしろいですね。一度、トロイにはまってしまい、生き延びたAeneasを追って、義父の火の神が剣を鍛造した場所Vulcano島に行ってきました。ギリシャ神話を肌身に感じ、それは壮大な気分に浸れました。今回はAgamemnonの軌跡を辿っていて、Straussのオペラに遭遇したわけです。

ご丁寧に書いてくださり、本当にありがとうございました。

お礼日時:2005/11/17 23:07

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