アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

話題の出来事のQ&Aをウォッチ(観察)しながら、コラム形式で皆様に紹介していくサイト

病院嫌いな高齢者を健康診断や病院に行かせる方法を特養に聞いた

病院嫌いな高齢者を健康診断や病院に行かせる方法を特養に聞いた歳を取ると頑固になる人が多いように感じる。それが理由かは定かではないが、これまで病気一つせずにきたからと「何も問題ない!」と言っては病院に関わることを拒む高齢者もいるようだ。とはいえ、定期的に病院に行かせたいと思う家族にとっては、頭の痛い問題である。「教えて!goo」にも「60歳をこえた親が何度言っても健康診断に行こうとしません」と、ユーザーからの投稿があった。そこで今回は、特別養護老人ホーム「裕和園」の入所サービス課課長である高橋秀明さんに、病院嫌いな高齢者を健康診断や病院に行かせる方法についてお尋ねした。

■本人の納得感を得ることが大切


受診を拒む理由は、人によってさまざまだろう。どのように説明していくべきなのだろう。

「一つめのポイントは、本人が病院を受診する『意味』や『目的』を感じられる説明をすることです。本人が受診の必要性を感じていないのに、『心配だから受診しましょう』、『最近忘れっぽいから早く受診したほうがよい』といった考えを押しつけてもうまくいきません。本人が『病院に行ってみようかな』と思えるような誘い言葉や理屈を見いだすことです」(高橋さん)

とはいえ、簡単にはいかなさそうだ。具体的なアイデアはないものだろうか。

「『近所で感染症が流行っているので、検査をするように通達があった』、『○○歳以上の人には市町村検診が義務付けられている』など説明をすることで納得される人もいます。嘘をつくことは心苦しいと感じるかもしれませんが、この場合は嘘も方便です。また、検診にお金がかかるのが心配な場合には、高齢者検診は自己負担が免除される制度もありますので、『検診料は無料』であることを説明すると本人が安心して受診することもあります」(高橋さん)

無料というキーワードが利くのは意外だった。試してみる価値はありそうだ。

■誰が受診を勧めるかも重要


高橋さんいわく、説得する人が誰なのかという点も重要だという。

「二つめのポイントは『誰が受診を勧めるか』です。本人を常日頃から『見下す扱い』、『何もできない、分からない人扱い』、『無関心、無視』で接している人が、急に受診を勧めても拒否される可能性があります。つまり、常日頃から本人との関係性を構築することが大事で、『あなたの言うことだったら聞こう』、『そこまで心配してくれるなら受診してみようか』と思わせる関係性の人が受診を勧めるとよいでしょう」(高橋さん)

普段からの関係作りが重要なのだ。

「また『早く死にたい』、『あの世に行って楽になりたい』という理由で受診を拒む人の説得にも関係性が重要です。『寝たきりや認知症になって介護を受ける生活は送りたくない』という思いからそのように発言されている人もいるでしょう。しかし、そのような否定的かつ悲観的発言の中にある真意は『自分は疎外されていると感じている』、『私の存在を認めてほしい』という承認欲求の裏返しかもしれません」(高橋さん)

現実的にはなかなか難しいかもしれないが、うまく共生していく道をみつけていくしかなさそうだ。

■第三者にお願いしたほうがよい場合も


家族や親戚でも説得できない場合は、どうしたらよいのだろうか。

「三つめのポイントは、公的機関に相談することです。関係性の距離が近すぎると、本人が言うことを聞いてくれないということもあります。その時はより客観的な立場の人が説明をしたり、公的な立場の人が説明をすることで納得される場合もあります」(高橋さん)

本人との距離が近すぎると難しいケースは、容易に想像できる。しかし、誰にお願いすればよいのだろう。

「各市町村が設置主体になっている地域包括支援センターの職員に相談するのも一つの選択肢です。特に認知症が疑われるが受診を拒否される人や、セルフネグレクト(医療やサービスの繰り返しの拒否などにより、健康に悪影響を及ぼすような状態)が疑われる場合は地域包括支援センターに相談してください。保健師(看護師)・社会福祉士・主任ケアマネージャーなど、知識や経験豊富な専門職員が配置されていますから、親身に相談に乗ってくれるうえ、解決策を提案してくれます」(高橋さん)

さらに、病院選びにも配慮が必要とのこと。可能であれば地域の医者の初期診断を受け、必要に応じて総合病院や大学病院を紹介してもらうという手順を踏むのがよいそうだ。

大切な家族にいつまでも元気にいてもらうためには、普段からの接し方や態度が非常に重要だということが分かった。当たり前のことではあるのだが、誰もが心に留めておくべきことといえるだろう。

●専門家プロフィール:高橋 秀明(たかはし ひであき)
社会福祉法人 穏寿会 特別養護老人ホーム「裕和園」入所サービス課課長。千葉市緑区の四季を感じる豊かな自然の中に、昭和62年4月に開設したベッド数181床の大規模施設。
敷地内には診療所(内科)・老人保健施設・ケアハウス・グループホーム・地域包括支援センター等の施設が立ち並び、誉田・高田地区における高齢者医療・福祉の拠点になっている。
当社は、本記事に掲載するすべての記事や情報の正確性に関して、常に万全を期すよう努力をしておりますが、記事や情報の内容を保証するものではありません。その他、当サイトのご利用により生じたいかなる損害についても責任を負いません。

この記事についてどう思う?

みんなの反応

6

BAD

NICE

みんなの反応

49

教えて!goo 教えて!gooで質問する

人気のコンテンツ

  • 専門家コラム

    恋愛・夫婦関係・健康・お金etcの悩みに専門家が回答!読みやすいコラムで配信中

  • せきらら女子会

    女同士でしか話せない年頃女性の本音が炸裂!

更新情報をチェック