No.12ベストアンサー
- 回答日時:
#11です。
少々、補足。
主人公に秘密があるか/否か?は
叙述ミステリーには関係ありません。
通常のミステリー作品においてのトリックは
犯人が探偵や警察に対して仕掛けるといった具合に
作中において完全に完結した形で用いられるます。
一方、叙述トリックというのは
作者が読者に対して、文章構造上のトリックなど
作外において仕掛けるモノを指します。
叙述トリックは、作中の人物の思考・推理とは
基本的に関係のないものですが
意図的に偽の情報を与えるといった行為はしません。
あくまでも与える情報は「事実」のみである事が重要で
後で読みかえすと様々な伏線(=記述上、嘘はないが
誤読を招くように書かれている部分)が仕掛けられていて
騙された!と思うトコロが魅力といってイイでしょう。
以下、蛇足。
叙述トリックは新本格系の作家が好んで使いますが
これは「後期クイーン問題」というのが大きく絡んできます。
後期クイーン問題とは、中期から後期にかけての
エラリー・クイーンの作品の大きな特徴の一つです。
元々推理小説における「探偵」とは
事件を一段上から俯瞰する神のごとき視点を持ち
事件に対して解決を与える存在でした。
しかしクイーンの中期以降の作品では探偵であるはずのクイーン自身が
事件に対して大きな関わりをもってしまいます。
それは、単に事件に巻き込まれる、というレベルではなく
犯人が最初から「探偵エラリー・クイーン」の存在を前提として
トリックを仕掛ける、というものです。
(http://www.ktr.to/Mystery/ellery.htmlより引用)
つまり「探偵は必ずトリックを見破る」という先入観から
「探偵と同じ視点を確保しようとする読者」を騙す
これがいわゆる「後期クイーン問題」と呼ばれるものです。
クイーンはそれまで「読者への挑戦」と題して
読者が探偵と同じ視点を確保できるように努めてきましたから
探偵が騙されると、一緒に読者が騙されてしまう。
このようなミステリーの可能性をより進めようとするモノのひとつが
叙述トリックだと考えてイイと思います。
色々ありがとうございます。
僕の頭ではついていけなくなりました。これ以上皆さんにご迷惑をかけても申し訳ありませんので、この辺で締め切らせて頂きます。
皆さんの回答をたまに見ながら、結局、叙述ミステリーとはなんだったのかと考えてみます。また自分の中で進展があり、もう少し整理できたら同じような(続きの)質問をするかもしれませんが、そのときはそのときでよろしくお願いします。
No.11
- 回答日時:
簡単に言ってしまえば
■ミステリー作品において、文章の言い回しなどを用いて
意図的に読者のミスリードを誘う手法
です。
こちらのサイトが参考になります。
http://hmc00.hp.infoseek.co.jp/m7/kasumi1.html
No.10
- 回答日時:
はじめまして。
「主人公は読者の知らないある事実を知っているけれども、その事実を読者に秘密にしている小説」=「叙述ミステリ」ではありません。
叙述ミステリとは、「叙述トリック」が用いられたミステリを指します。
この「トリック」は、作中の人物(例えば、犯人が探偵に対して)が仕掛けたものではなく、作者が、読者に対して仕掛けているものです。
本当はAについて書かれているのに、XとかYについて書いてあるのだな、と読者に思わせ、それがラストで明かされる事によって、ミステリとしての醍醐味(個人的には「騙される快感」と思っています)を与えてくれる小説。
それを、叙述ミステリというのです。
なんとなくわかります。ただ、だんだん物理トリックと叙述トリックの違いがわからなくなってきました。自分の中で整理してみます。ありがとうございました。
No.8
- 回答日時:
男女の例をあげている方がいますが、極端な話、その話の主人公が人間でなくてもいいんです。
人間を指し示す代名詞まで避けて書かれた短編を新本格で有名なある作家が書いています。主人公に特徴を求めるのではなく、地の文等の書き方の問題なのでは・・・・・
私もミステリの分類に詳しいわけではないので、この程度しか解説できないのですが・・・・・・
以上、参考にしてくださいね、これで失礼します。
>地の文等の書き方の問題なのでは
その「書き方」がどうだと叙述ミステリーなのか知りたいのです。皆さんからの回答で漠然とはわかりましたし、自分なりに叙述ミステリーの定義が固まりつつありますが、すっきりしたいものです。
ありがとうございました。
No.7
- 回答日時:
思ったことを書きます。
叙述ミステリーについてのこれまでの回答のなかには、個別作品のネタバレはありませんが、かなりそれにちかい感じになってしまっているものもあると思います。これから読む方にとっては、例えば、回答にあるような「男性だと思っていたのが、実は女性だった」とか、そういったことも伏せないと、この叙述ミステリーは面白みを削いでしまいます。「実はこうじゃないのか?」という可能性をまったく意識しないで(それをさせたうえで驚かせるのが折原一さんですけど)読むのがベストだと思うのです。叙述ミステリーの一ファンとして回答しました。おっしゃるとおりです。これは質問した側の僕にも責任があります。叙述ミステリーに関する質問をすれば、ネタバレしないでくださいとお願いしても、回答しようとするとどうにもならないことがありますから。不快に感じたら申し訳ありませんでした。ただ、皆さんのおかげで、なんとか僕のどうしても知りたかった疑問に対する光明が見えてきたようです。
No.6
- 回答日時:
叙述ミステリーの作家としては、「折原一」さんが代表ではないでしょうか。
「○○者」シリーズでお馴染みです。さて、同作家の短編集にも叙述物多数ですが、だんだんなれてしますのが、たまにキズ。作品の定義としてはNo.5さんに同感です。
変わったところでは、筒井康隆さんの中期作品に叙述物があります。ご質問者の方の意図を汲んで、あえて作品名は出しません。
折原作品はいくつか読んだことがあります。叙述ミステリーの代表作家ということも存じています。
ああ、なんとなくわかってきました。
確かに「主人公に秘密があるミステリー小説」というのはおかしな気がします。正確には「主人公は読者の知らないある事実を知っているけれども、その事実を読者に秘密にしている小説」という表現が正しいのでしょうか? うん、そんな気がしてきました。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
定義は人によって微妙に違うかもしれないですが、私の理解している叙述ミステリーは、
「重要な情報を文章に表現しないことで、結果的に読者の思いこみを誘い、謎を形成するもしくは謎の魅力を高めたミステリ」
という感じでしょうか。
よくあるパターンとしては、男だろうと思っていたら実は女だったとか(名前がどっちとも取れる、会話も男性的、しかし女性であると言われてもおかしくはない程度にしか描写していない等)。
あるいは、同じ場所だと思って読まされていたら、実は2つの違う場所が交互に描かれていたとか。
必ずしも主人公の秘密とは限りませんし、ミステリーのメインのトリックに関連しない場合もあると思います。あ、でもメインのトリックに関連しないと、叙述ミステリーに分類されないかな。
あなたの回答を見てまたわからなくなってしまいました。言われようとしていることはなんとなくわかりますし、僕の求めていた回答に近いことは近いのですが。
>重要な情報を文章に表現しないことで、結果的に読者の思いこみを誘い、謎を形成するもしくは謎の魅力を高めたミステリ
この定義だと、ほとんどの本格ミステリー小説があてはまってしまうような気がします。いわゆる物理トリックものにしても、作者はわざと重要な情報を隠して書きますし、当然それは読者の思い込みを誘うことを目的としています。そういった物理トリックものと叙述ものとの境がどうしてもわからなくて。結局「主人公に秘密のあるミステリー小説」ではないのかなと思ってしまう次第なのです。どこか間違っているのでしょうか?
No.4
- 回答日時:
>「主人公に秘密があるミステリー小説」という解釈でいいのでしょうか?
何とかこれに相当しない作品はないだろうかと、あれこれ考えました。
で、思い出したので、定義を少々変えさせていただきたく。
「作品の構成(記述方法)に秘密があるミステリー小説」の方がしっくり来るかな、と。
思い出した作品名を挙げられないのが残念ですが、主人公男女2人は高校生で、過去にいくつかの事件を解決した実績があります。
その2人がとある事件に関係し、その事件に関わるある人物から、「この事件のことを小説に書いてみないか」と言われ、承諾します。
作品はその小説が2人によって書かれ、それが出版された、という形式を取っています。
作品そのものは普通のミステリーとして十分面白く読めるのですが、なぜそういう構成にしているのか・・・というのがミソです。
あ、作品名を挙げなければネタバレOKなんですよね?
実は、出版された本の出版社社長(主人公2人に依頼した人物)が真犯人だったのでした。
ちゃんと末尾にはその出版社名で奥付もあり、凝った構成でした。
作者は「辻真先」です。
ありがとうございます。
こんな質問のために、あれこれ考えてくださって。
ご回答の内容からすると、やはり「主人公に秘密があるミステリー小説」とは限らない(例外もある)が、基本的には「主人公に秘密があるミステリー小説」とおっしゃっているように受け取れました。なんですよね?
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