y=f(x)×g(x)の微分は,(dy/dx)=(df/dx)g+f(dg/dx)だと思います。(微分そのまま+そのまま微分)と暗記しました。この公式の証明として,次のような説明を見付けました。
(y+dy)=fg+gdf+fdg+dgdf y=fgより dy=gdf+fdg+dgdf 両辺をdxで割ると
(dy/dx)=g(df/dx)+f(dg/dx)+(dgdf/dx)
よって,微分そのまま+そのまま微分が成り立つ。(右辺第3項 dgdf/dxですが,dgdfは微少量同士のかけ算ですから無視しているようです。)
質問1
右辺第3項は無視しても良いのでしょうか。
次に,右辺第3項を無視したまま,上記の式をxで積分したときに元に戻るかどうか試しました。
y=fgより,f=y/g g=y/f
(dy/dx)=(y/f)(df/dx)+(y/g)(dg/dx)
積分記号(1/y)dy=積分記号(1/f)df+積分記号(1/g)dg
log|y|=log|f|+log|g|
log|y|=log|fg|
y=fg となり,元の原関数が導けました。
質問2 右辺第3項を無視したままxで積分して元に戻るかどうか試したのですが,元に戻りました。
私のした積分の計算はあっているのでしょうか。(右辺第3項を無視したまま計算を始めたことが気になります。)
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
<質問1
質問に書かれている説明は証明ではありません.都合の良い暗記法です.もう少しマシな(ただし厳密ではない)説明をしてみましょう.
導関数の定義から f'(x) = lim (f(x + h) - f(x))/h です.したがって十分小さな h ≠ 0 に対しては
f'(x) = (f(x + h) - f(x))/h
と思ってよいでしょう.したがって
f(x + h) = f(x) + h f'(x)
です.同様にして
g(x + h) = g(x) + h g'(x)
です.さて積の微分を計算します.まず
f(x + h) g(x + h) - f(x) g(x) =
(f(x) + h f'(x))(g(x) + h g'(x)) - f(x) g(x)
h f'(x) g(x) + h f(x) g'(x) + h^2 f'(x) g'(x).
を計算しておきます.定義から h → 0 のときに
(f(x + h) g(x + h) - f(x) g(x))/h =
f'(x) g(x) + f(x) g'(x) + h f'(x) g'(x) →
f'(x) g(x) + f(x) g'(x)
となり積の微分が得られました.この導出だと第3項が落ちる理由がよくわかるとおもいます(単に導くだけならalice_44さんの回答の方が厳密です).
## 都合の良い暗記法も"微分形式"と呼ばれるものだと思えば意味を持ちます.しかしその場合でも y = fg の外微分をとって
(dy/dx)dx = dy = d(fg) = g df + f dg = g (df/dx)dx + f (dg/dx)dx
なので係数を見比べて
dy/dx = (df/dx) g + f (dg/dx)
とするべきでしょう.
もう少しマシな説明は大変明解だと感じました。(第3項が落ちる理由がよくわかります。)
y=fgの外微分をとる説明も明解で分かりやすいです。大変助かりました。
No.7
- 回答日時:
ANo.5のお礼について
一つ訂正20行目以降ぐらいの
>d{f(x)g(x)}={df(x)/dx}g(x)+f(x){dg(x)/dx}
の左辺ははもちろんd{f(x)g(x)}/dxです.失礼しました.
さて,ご質問の
>「合成関数の微分公式の証明に納得できます。」とは
>例えば,y=(2x+3)^5の微分をするとき,u=2x+3として
>(du/dx)=2 (dy/du)=5u^4
>(dy/du)(du/dx)=(dy/dx)=10(2x+3)^4
>とする計算方法の説明のことでしょうか。
についてですが,それは合成関数の公式の適用例です.私はもっとおおもとの公式そのものの証明法について述べました.高校以下のレベルの教科書などでは
dy/dx=(dy/du)(du/dx)
という非常に分かりやすいイメージで解説していると思います.でも,duは0になることが理論的な可能性としてあります.例えばy=f(u),u=g(x)であるとしましょう.
dy/dxを考えるときは極限をとる約束からdx≠0としますが,このxの変動dxからくるuの変動
Δu=g(x+dx)-g(x)=g'(x)dx+o(dx)
の主要部du=g'(x)dxが0でないとは言い切れません.xによってはg'(x)=0でdu=0かもしれないのです.だから次のようにして証明します.
Δy=f(g(x+dx))-f(g(x))
=f(u+⊿u)-f(u)
=f(u)+f'(u)du+o(du)-f(u)
=f'(u)du+o(du)=f'(u)g'(x)dx+o(g'(x)dx)
=f'(u)g'(x)dx+g'(x)o(dx)
※g'(x)o(dx)はdxより高次の微小量なのでo(dx)と書いてよい.
dy=f'(u)g'(x)dx+o(dx)
これから主要部
dy=f'(u)g'(x)dx
をとりだせます.dx≠0なのでこれを
dy/dx=f'(u)g'(x)=(dy/du)(dx/du)
と書いてよいのです.これはg'(x)=0となり主要部du=g'(x)dx=0となっても通用する公式の証明法です.
要するにy=f(x)の導関数が存在することはある関数f'(x)があって
f(x+dx)=f(x)+f'(x)dx+o(dx)(dx→0)
が成り立つことというのをまず出発点にすると,
Δy=f(x+dx)-f(x)の主要部:dy=f'(x)dx
を定義でき,分数計算によって
dy/dx=f'(x)
となるわけです.
改めて御回答くださりありがとうございました。
du=g'(x)dxが0でないとは言い切れません.xによってはg'(x)=0でdu=0かもしれないのです.だから次のようにして証明します。
御指摘のとおり,ゼロでないとは言い切れないですね。そのための証明法まで示してくださり大変勉強になりました。お返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
No.5
- 回答日時:
Landauの記号はご存知でしょうか.つまりh≠0でわってもh→0のとき0に近づく量を一般にo(h)と書いてhよりも高次の微小量と言います.つまり
lim_{h→0}o(h)/h=0
です.また,主要部の意味をご存知でしょうか.f(x+dx)-f(x)の主要部をdf(x)とかきます.つまりfが微分可能なら
☆f(x+dx)-f(x)=f'(x)dx+o(dx)(dx→0)
が成り立つので,この右辺の主要部f'(x)dxを
df(x)=f'(x)dx
と書くわけです.
するとd{f(x)g(x)}は
f(x+dx)g(x+dx)-f(x)g(x)={f(x)+df(x)+o(dx)}{g(x)+dg(x)+o(dx)}-f(x)g(x)
=df(x)g(x)+f(x)dg(x)+df(x)g(x)+g(x)o(dx)+f(x)o(dx)+df(x)o(dx)+g(x)o(dx)+o(dx)^2
の主要部です.この右辺のうち
g(x)o(dx)+f(x)o(dx)+df(x)dg(x)+df(x)o(dx)+g(x)o(dx)+o(dx)^2
=g(x)o(dx)+f(x)o(dx)+f'(x)g'(x)(dx)^2+df(x)o(dx)+g(x)o(dx)+o(dx)^2
はdxでわると
g(x)o(1)+f(x)o(1)+f'(x)g'(x)(dx)+df(x)o(1)+g(x)o(1)+o(dx)
はdx→0のとき0に近づきます.つまりdxより高次の微小量です.したがってf(x+dx)g(x+dx)-f(x)g(x)の主要部d{f(x)g(x)}は
d{f(x)g(x)}=df(x)g(x)+f(x)dg(x)
となります.
これが
d{f(x)g(x)}={df(x)/dx}g(x)+f(x){dg(x)/dx}
の意味です.
有名な解析概論はこのスタイルで微分を論じています.とくに合成関数の微分公式の証明に納得できます.
>右辺第3項を無視したまま計算を始めたことが気になります。
これは微分可能性の定義☆によって正しいことがわかります.ご質問1,2ともにこれで解決したでしょうか.
Landauの記号は知りませんでした。しかし,回答者様の説明を見て納得できました。
ところで,「合成関数の微分公式の証明に納得できます。」とは
例えば,y=(2x+3)^5の微分をするとき,u=2x+3として
(du/dx)=2 (dy/du)=5u^4
(dy/du)(du/dx)=(dy/dx)=10(2x+3)^4
とする計算方法の説明のことでしょうか。
もしそうだとしたら,私は合成関数の微分法の証明にとても納得した記憶があったので,微分係数の定義にしたがった導出でなく,dx,df,dgなどを使って積の微分を説明したウェブサイトに興味をもったのです。
No.4
- 回答日時:
f(x)=f(a)+p(x)(x-a) . p(x)={f(x)-f(a)}/(x-a) . p(a)=f'(a)
g(x)=g(a)+q(x)(x-a) . q(x)={q(x)-q(a)}/(x-a) .q(a)=g'(a)
f(x)g(x)=f(a)g(a)+p(x)(x-a)g(a)+f(a)q(x)(x-a)+p(x)(x-a)q(x)(x-a)
(f*g)(x)=(f*g)(a)+{p(x)g(a)+f(a)q(x)+p(x)q(x)(x-a)}(x-a)
(f*g)'(a)=p(x)g(a)+f(a)q(x)+p(x)q(x)(x-a)|x=a
=p(a)g(a)+f(a)q(a)+p(a)q(a)(a-a) = f'(a)g(a)+f(a)g'(a)
No.2
- 回答日時:
>右辺第3項は無視しても良いのでしょうか。
数学的にはナンセンスの一言で
証明どころか説明にもなってない感じです.
そもそも「dy」とか「y+dy」ってなんですか?
微分係数の定義にしたがって
y=fgの「変化量」
f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)
の計算をすればいいんです.
f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)
=(f(x+h)-f(x))g(x+h)+f(x)(g(x+h)-g(x))
の両辺をhでわって,h->0の極限をとれば
期待した公式を得ることができます.
「微小量の積を無視する」とかいう「怪しい操作」は不要です.
y+dy = (f+df)(g+dy) ってことなんでしょうけど
「dy」「df」「dg」が明確に定義されない限り
そもそも計算することなんかはできません.
じつは「d」と呼ばれる演算(外微分という)が定義できて
「df」とかは定義できるんですが,
それを正しく定義するには
d(fg)= df・g + f・dg
という「積の微分」に相当する式(実際はもっと一般化されてて
形はもうちょっと違う)が必要なので,
この「d」を使って積の微分を証明するのはナンセンスというか
できて当たり前なんです
ちなみに「微小量の積」dfdgを無視するというのも
実は「外微分の積」というもの(「微分形式の外積」)が
あるので正当化はされます.
が・・・それは「積の微分に相当する式」があってのことです.
ここらへんは
線形代数の上級な部分,テンソルとかを知ってると
比較的容易に理解できます.
直感的には「微小量の積dfdgを無視する」というのは
微分は「関数の一次近似」なんだから「二次」に相当するものは無視する
ということで,応用上は大きな問題はないのかもしれませんが
数学ではこれじゃあ証明にはなりません.
「無視する」とはどういうことかきっちり考えないといけないのです.
なお,(fg)'=f'g+fg'という式自体は正しいので
積分すれば元に戻るというのは
積分定数とか分母が0になったらどうするの?という
よくある部分を処理すれば問題ありません.
直感的にはdfdgを無視するということが応用上問題ないが証明にはなっていないという指摘に納得しました。
ちなみに私は,これまでそこらへんはあまり深く考えず,「まあ小さそうだから無視しちゃえ」というあいまいなやり方で困ったことがないので,こうした安易な発想が生まれたのだと思います。
無視するとはどういうことかを考えることが大切だと知りました。(なお,テンソルという言葉は聞いたことがありません。もしよろしければまた教えてください。)
No.1
- 回答日時:
質問1も、質問2も、
dx や dy を使った、そういう大雑把な式変形は、
公式の暗記や、暗記内容の検算の役には立っても、
証明にはなりません。
微分係数の定義に返って、地道に計算してみましょうか。
y(x) = f(x)g(x) であれば、
dy/dx = lim[h→0] {f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}/h
= lim[h→0] {f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)}/h
= lim[h→0] {f(x+h)-f(x)}g(x+h)/h + f(x){g(x+h)-g(x)}/h
= lim[h→0] {f(x+h)-f(x)}/h lim[h→0] g(x) + f(x) lim[h→0] {g(x+h)-g(x)}/h
= f'(x)g(x) + f(x)g'(x) です。
早速御回答くださりありがとうございました。
多くの本を調べましたが,回答者様と同一の説明がしてあるものばかりです。(回答者様が示した微分係数の定義の計算は一応理解できたつもりです。)
ただ,私が質問した式(右辺第3項(dfdg/dx)を無視する)は,斬新な証明に感じました。
証明にはならないが検算には役立つという回答者様の回答に納得です。ありがとうございました。
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