
■残ってしまったお寿司、さてどうする?
お寿司のネタは生ものが多い。そのため、他の料理以上に消費期限も短い。そもそも時間を置いて食べることは可能なのだろうか。
「基本的にはなるべく早く、その日のうちに食べるのがベストです。お酢には滅菌作用があるため、酢飯は普通のご飯よりも日持ちがするといわれています。しかし、冷蔵庫で保存する場合でも、生ものが入っているなら、翌日を目安に処分するのがよいでしょう」(徳永さん)
その日のうちに食べきれなかったお寿司を翌日に持ち越すのであれば、やはり冷蔵庫での保存は必須といえる。
■お寿司の冷蔵庫保存は乾燥に注意
冷蔵庫に入れたお寿司は、鮮度の点も含めてあまりおいしくないことが多い。それは、なぜだろう。
「お寿司を冷蔵庫に入れる時、気をつけて欲しいのが『乾燥』です。酢飯はそのまま置いておくと水分が抜けて乾燥してしまいます。残ったお寿司はパックのままか、シール容器などに入れて冷蔵してしまうことが多いのですが、容器の上からキッチンペーパーや新聞紙で包むと、水分の蒸発を抑えることができます。濡らしたキッチンペーパーなどで巻き、その上からラップで包んでもよいです。デンプンは冷蔵庫の冷気で劣化しますので、少しだけ温度の高い野菜室に入れると、パサパサになるのを遅らせることができます」(徳永さん)
ちょっとした工夫で、パサパサのお寿司を食べなくて済みそうだ。さらに残った寿司は、そのまま食べるだけでなく、アレンジすることもできると徳永さんはアドバイスしてくれた。
「ご飯とネタを分け、ご飯だけを温めてネタをのせれば海鮮丼になります。また、鰹節や海苔などをのせ、お茶漬けにするのもおいしいですよ。巻き寿司なら、天ぷらにして天つゆで食べるのもおすすめです」(徳永さん)
アイデアひとつで、残ったお寿司も飽きずにいただけそうだ。
■お寿司だけでなく、梅雨時は他の食材も気をつけて
梅雨のシーズンはお寿司のみならず、さまざまな食材が痛みやすくなる。この時期の湿気は細菌にとっては絶好の増殖機会、食中毒には注意が必要だ。
「この時期、ご家庭で気をつけていただきたいことは、『料理に使う食材は低温で保管する』『食品は中心部までしっかりと加熱する』『まな板や包丁、ふきんなどは、熱湯や漂白剤で殺菌すること』です。また、食べ物と調理器具・容器を分けて作業、保存を行うようにしてください」(徳永さん)
調理後の料理はもちろん早めに食べ、残ったらすぐ低温で保存したい。少し時間が経っているものは、思い切って捨てる必要もある。
お寿司も料理も、安全においしく食べたいもの。梅雨時に起こりやすいトラブルを防ぐためにも、徳永さんのアドバイスを参考にしてみてはいかがだろう。
●専門家プロフィール:徳永美香
ソフィアプロモーション所属の管理栄養士。ソフィアプロモーションは全国毎月1万店舗で「おいしい~食育」を広めている。公式Webサイトや管理栄養士ブログを運営。