■犬に野菜を与えてはいけない?
犬は肉食と言われているが、ズバリ、犬に野菜を与えることはNGなのか、OKなのか。
「まず、犬は肉食ではなく、雑食です。犬は生物学的に野菜を食べることができる動物です。しかし、玉ねぎ、ネギ、長ネギなどを食べると赤血球が破壊され貧血を起こし、重症な場合は死に至る場合もあります。また、野菜ではないですが、ぶどうを食べると腎不全を起こすというレポートもあります」(千田先生)
そうだったのか。野菜によっては死に至る場合もあるとは実に怖い話である。しかし、犬に野菜を与えることが完全にNGではなく、与えてはいけない野菜があるということのようだ。
たとえば、与えてよい野菜としてはキュウリがあるようだ。ほとんどが水分のキュウリだが、ビタミンCやカリウム、βカロテンなど、栄養素が豊富とのこと。生食、加熱ともに問題ないが、与えてよい量はほかの食材とトッピングすることを想定して、1回に15g前後のようだ。
つまりは、与えてもよい野菜もあるが、その量や与える頻度を制限する必要があるということだろう。
■犬が野菜を食べたがる理由
ちなみに、犬が野菜を食べたがるのは何か理由があるのだろうか。飼い主によっては愛犬の健康のため以外にも、「犬が欲しがるから」と、野菜を与えている人もいるのでは?
たとえば猫の場合、草を食べるのは胃の中の何かを吐き出したいとき、と聞いたことがあるが犬の場合は……? 子犬のときに食べたものが好物となり、その中に野菜がたまたまあり、食べたがっているのだろうか?
「犬はもともと雑食で、落ちているものを食べるスカベンジャー(scavenger:掃除屋)の食性があります。犬自身は、植物の細胞膜を消化する能力がないので、草食動物の消化管の中身や糞便を食べることで栄養を取っていました。食物を食べるのは、犬のもともとの習性です。つまり、犬が野菜を食べたがるのは、スカベンジャーの食性と、また犬が雑食性であるため、『植物性のものを食べたい』と思う習性が関係しているということです。したがって、そのまま与えるだけでなく、少し調理してあげた方が栄養を吸収しやすいでしょう」(千田先生)
犬が野菜を食べるのは、犬の食性と習性が大きく関係していたようだ。犬に野菜を与えるときは、与えてよい野菜と、与えてはいけない野菜を選別し、場合によっては調理などをして与えたほうがよい。
日頃から犬を飼っている飼い主のみなさん、参考になっただろうか。知識を正しく身に着けて、愛犬のために役立ててみてほしい。
●取材協力
ペット行動コンサルタントSENDA