■ミシン1号機の重さはなんと30キロ!
まずは、ミシンというものがいつ発明されたのか、おさらいをしたい。ミシンの発明者については諸説あるようだが、一番有力とされているのが、イギリスのトーマス・セントである。1790年にミシンを発明し、特許を取っている。彼が作ったミシンのレプリカは、「学研まんがでよくわかるシリーズ ミシンのひみつ」(株式会社学習研究所)の本で見ることができるが、外側が木でできており、現在のミシンとはまったく異なっていた。
その後、1850年にアメリカのアイザック・シンガーによって、本格的実用ミシンが発明され、これが現在のミシンのもとになっているという。ちなみにシンガーミシン1号機の重さは30キロもあり、はずみ車(=4キロ)を一回回すと、ようやく1針縫える。なお、はずみ車を外し、ギアのハンドルに足踏み装置を組み合わせて使えば、3針は縫えるようだ。
これだけの説明でも、発明されたばかりのミシンは、手縫いの方が早いのでは?と思ってしまうほど動かすのにも労力がかかり、かつ大がかりなものだったことが分かったのではないだろうか。
■最新ミシンができること
それでもミシンの発明により、家庭では手縫いの作業が楽になり、工場では衣服の大量生産が可能になった。日本では特に戦後(1945年以降)のモノ不足のなかで、ミシンは飛ぶように売れたと聞く。ミシンから、その時代背景が丸々見えてきそうだが――。
現代の最新ミシンはいったいどんなことができるのか? 蛇の目ミシン工業株式会社に、最新ミシンができるすごいことについて聞いてみた。
「まず、内蔵されている刺しゅうの他、デジタイザー(専用刺しゅうソフト)を使って、自分だけのオリジナル刺しゅうを作成することができます。自分だけのオリジナル刺しゅうとは、たとえば手書きのイラストやお気に入りの写真をデータ化することで、そのイラストや写真をそのまま刺しゅうにすることができます」(蛇の目ミシン工業株式会社)
それこそカワイイ飼い猫の写真を、刺しゅうにすることもできるというわけである。
「また、“おしえてムービー”で糸かけなど、基本的な使い方の動画をミシンの操作画面(タッチパネル式)によって確認が可能です。ほかにも、毛糸を使ったカウチング刺しゅう(毛糸ならではのふわっとした風合いの、立体的な刺しゅうに仕上げられる)や、水に溶ける芯地を使ってレース刺しゅう(ミシンが自動で布の厚さを感知するため、立体的に仕上げることもできる)を施すこともできますね」(蛇の目ミシン工業株式会社)
アイディア次第でオリジナルの作品も作れそうである。
時代の移ろいにより、最新ミシンではこんなすごいこともできるようになったのだ。ミシンと縁遠くなっていた人も、最新ミシンに触れると新たな世界が広がるかもしれない。
ちなみに「あなたのミシンにまつわる思い出を教えて!」というアンケートを「教えて!goo」で実施中。良かったら回答してみて。
【参考文献】
「学研まんがでよくわかるシリーズ ミシンのひみつ」(株式会社学習研究所)
【取材協力】
蛇の目ミシン工業株式会社