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 医療検査において、検査結果が「非特異的だった」というのは、どういう意味なのでしょうか?
 単に特異的の逆で、特別なにもなかったと考えてよいのでしょうか?

A 回答 (2件)

いつも素晴らしい回答をしておられるblackleonさんに追加で…。



質問者の方の「非特異的」であったという検査項目がどのようなものかが、少し漠然としていたので、blackleonさんのご紹介いただいた例の他に多く検査結果で表記される場合に、血液型検査をはじめとする血清学的(免疫学的)手法を用いた場合に見られる「非特異的現象」による結果について簡単にご説明します。

血清学的検査というものは免疫反応(抗原抗体反応)を用いた検査で、代表的なものには血液型検査があり、その他にも色々なウイルスに対する抗体検査や毒素に対する抗体検査、あるいは生体試料(血清、尿、組織等)に存在する抗原を検出する検査等、その応用範囲は多岐に及びます。

一番親しみやすいABO式血液型検査について例をあげます。
A型の人の赤血球膜表面には、A型の特徴を示す抗原(この場合は糖鎖)が存在するため、この人の赤血球にA型抗原に対する抗体を作用させると、赤血球同士が手をつないだような状態になり、ぎゅっと凝集しますが、B型抗原に対する抗体を作用させてもこのような状態にはなりません。
しかし、血球を長期間放置したりしていると、試料中に細菌が繁殖し、その作用で、どんな検査をしても赤血球を凝集させてしまうよな現象が起こることがあります。そう、この状態は「非特異的反応」です。

また、逆にA型の人の血清中にはB型抗原に対する抗体が存在しますので、B型赤血球を作用させるとこの赤血球を凝集させますが、O型やA型の血球を作用させてもこのような凝集は起こりません。しかし、感染や疾患等による抗原抗体反応により「補体」というものが活性化された状態にある試料では、特に輸血前の厳密な検査をした場合に、どの型の赤血球も凝集してしまったりすることがあります。(この血液試料を赤血球と血清とを分離しないで冷蔵庫に保存した場合にも起こります)そう、これも「非特異的反応」です。

ややこしいですが、「非特異的反応」という表現は、試料や検査手技に何らかの変質や不手際により起こった可能性があるものにも用いられます。それはその患者さんの疾患や輸血事故等に関連して起こる場合もありますし、明らかに術者や機械の不具合等に起因するものもありますが、検査結果にそのように表記される場合は、ほとんどの場合前者による影響が考えられた場合であるといえます。しかし、具体的にどのような変化が起こったためにそのような結果となったのかということは、特定できていない場合が多いです。しかし、そういった曖昧な表現を残すのは、決して「白(安全)」という結果を示すとは限らないという注意を残す意味があります。

余談ですが、私が学生の頃、検査部で実習講義を受けている時に技師に「非特異反応」と言われたことを書き取る際に、「人食い反応?」とノートに書いて、友達に笑われたことがありました。でも主人は(医師ですが)研修医時代に、私に電話で「ヒトクイハンノウ」っていうデータが検査結果に書いてあるけど、これって「人を食う反応」って訳じゃないよな、と電話で聞かれて怒ったこともありました。
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この回答へのお礼

ご主人との心温まるエピソードまで乗せていただいて、リラックスして読めました。ご丁寧な回答有難う御座いました。

お礼日時:2001/08/28 22:25

例をあげます。



急性の肝機能障害でGOT,GPTが上昇したとします。
この状態で、IgM-HA抗体という検査をしてこれが陽性に出れば、「A型肝炎」という診断がつきます。

このとき、IgM-HA抗体の検査はA型肝炎の診断に特異的な検査ですが、GOT,GPTという検査は、A型肝炎の診断に特異的な検査ではありません。

GOT,GPTが上昇する疾患は多数あり、他の疾患でも上がる可能性があるため特異的とはいえないわけです。したがって、GOT,GPTは病状の経過をみるには有用な検査ですが、診断をつけるためには不十分な検査ということになります。

一般的には、臨床検査値をある疾患との関係で考えたとき、その大半は特異的でない検査ということがいえます。
異常がなったとか、特別何もなかったという意味ではありません。
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この回答へのお礼

回答有難うございました。

お礼日時:2001/08/28 22:19

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