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 英国国教会 の イギリス社会への影響を勉強したいと思います。
 なにかいい本、またはサイトがありましたらご紹介いただけませんでしょうか?

A 回答 (2件)

先ず、前の回答では


「英国教会は現代イギリス人に影響ありますか?」http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3228953.html
というタイトルになっていましたが、質問者様の質問の趣旨としては
英国におけるキリスト教会全般の役割を質問されたものだったのではないでしょうか?

私は前回の回答で、勝手に英国国教会のことだと思ってしまったのですが、実はご存じのようにキリスト教には色んな教派・宗派があって、勿論英国も例外ではありません。つまり、伝統的なカトリックとルター・カルヴィンなどの宗教改革者の提唱したプロテスタントそして英国国教会更には東方正教会(ギリシャ正教会、ロシア正教会など)もあって、千差万別なのです。
キリスト教の教派・宗派の詳細については
Wikipedia 「キリスト教」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%AA% …
をご覧ください。

さてその中で英国で一番優勢なのは英国国教会(Church of Englandなので、正確にはイングランド国教会)です。(「聖公会」という呼び名は、イングランド外における英国国教会の姉妹教会(アングリカン・コミュニオン)全体の日本語訳)

これは一応プロテスタントに区分されるようですが、他のプロテスタント諸派と異なり、教義的な問題でなく政治的な問題からローマ・カトリックから分裂したため、典礼的にはカトリックとの共通点が多いのです。16世紀の国王ヘンリー8世が離婚禁止のカトリックに反発して離婚を強行するため、ローマ教皇庁から離反し、自ら首長となって創設したのが最初で、今でも英国国王が首長です。

従って、国家に対する発言権という意味では、英国国教会が圧倒的に強く、カトリックなどは長い間冷遇されていたようですが、英国国教会の中にも伝統的にカトリックに近いHigh Church(高教会)派と、福音主義つまり福音を信仰の中心におこうとするプロテスタントの考えに近いLow Church(低教会)派が長い間対立し、やがて1830年ごろのOxford Movementと呼ばれるカトリックへの歩み寄りの運動を契機に、英国国教会も徐々にカトリック的色彩を帯びるようになったり、カトリックへの改宗をする聖職者も増えていきました。

20世紀以降、英国国教会は、世界中に広がるアングリカン・コミュニオン(聖公会)のネットワークの中で彼らと連携を深め、又カトリックやプロテスタント諸宗派などともエキュメニズム(キリスト教の教会一致促進運動)への模索を続けながら、共に手を携えて、現代社会のさまざまな問題、例えば、貧困・格差・民族間差別・女性問題・同性愛・中絶或いは世界平和などあらゆる問題に取り組んでいます。

ただ長年の宗派間の対立は現代にも受け継がれ、今でも英国社会の中では、宗派間で夫々の教会を中心にした別のコミュニティに参加し、相互に交流はあまりないものとも見受けられます。

しかし一方ではどれだけその教会(宗派)でなければいけないと頑なに思っている信者が多いのかといわれると疑問です。私は数年前、英国南部に3か月滞在し、カトリックの信者なので、カトリックの教会に通っていましたが、ホストファミリーはプロテスタントのようでした。(でも子供の学校関連でたまたま所属していた節もあり、あまり熱心そうではありませんでした。)

今日の英国国教会の信者には色々な考えをもつ人々が混在し、人々は自分が生まれおちた教会に引き続き所属するよりも、常に自分に合った教会を選ぼうとする風潮があると後記の英文参考書にも記載があります。
いずれにしても、英国には伝統的なChurchgoer (教会にいつも通っている人)が減少し、洗礼名などは一応持っていても、ほとんど教会に行かない人々も増殖しているのは事実だと思います。

このテーマについて、私が毎週1回英会話を学んでいる英国人男性に聞いたところ、彼もそういった人の一人で、英国の教会(主に英国国教会)の英国社会に与えている影響はあまりない、なぜなら彼らはその教派に所属している人々に対しては影響力があるが、そうではない(外部の)人には影響力を行使しない。つまり他宗教・教派の人にはあえて布教をしたり、教えを押し付けないからだ、という意見でした。
十字軍以来古くはキリスト教はその御旗をかかげ、世界侵略の道具に使われたことが多いですが、現在、カトリックの基本姿勢は「来るものは拒まず去る者は追わず」というものであり、プロテスタントに比べてもあまり外部の人をあまり熱心に布教するという習慣はないようです。カトリックにも近いところのある英国国教会の姿勢も似たり寄ったりであり、あまり社会に影響を行使しないこと・・・これが現在の英国の教会、特に英国国教会の強みであり、又同時に弱みでもあるのだと思います。しかし、目立たぬ所で、社会へのさりげない影響力を行使している部分も多いとは思います。

≪参考サイト≫
Wikipedia 「イングランド国教会」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE% …
Wikipedia「聖公会」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E5%85%AC% …

≪参考図書≫
・小嶋 潤「イギリス教会史[付 東方教会史要]」(人間科学叢書13)
刀水書房 1988年4月刊 ISBN4-88708-093-X
http://tousuishobou.com/ningennkagaku/4-88708-09 …

・Linda Proud ‘2000 Years Christianity in England’ (the Pitkin Guide)
(英国で買ってきた英文小冊子で、今回のコメント作りの参考にしましたが、日本では入手不能のようです。)
その他キリスト教専門書店例えば「教文館書店」や「サンパウロ」或いは国立国会図書館などの大きな図書館に行き、館員に相談されてはいかがでしょうか。

関心分野で思わず長文になりました。お役に立てれば幸いです。

この回答への補足

 ありがとうございました。
 あまりに立派なご回答ですので、びっくりしました。
 とりあえず一度読み、考え、またご返事させていただきます。

 心より感謝申し上げます。

補足日時:2007/08/13 11:29
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この回答へのお礼

 再度、読ませていただきました。
 たいへん参考になります。

 ひとつの結論としては
 「英国の教会(主に英国国教会)の英国社会に与えている影響はあまりない」
 という英国人男性の言葉になりましょうか。
 
 それにしても立派な内容を書いていただき、本当にありがとうございました。

お礼日時:2007/08/16 10:20

前の質問に回答したものですが、その時頂いた追加質問にお答えしていなくて申し訳ありません。

→今日か明日中に回答しようと思っていましたが(ちょっと内容が濃いので時間がかかる)、待ちきれず、新しい質問をされたのですね。お待たせして申しわけありませんでした。

申しわけありませんが、同時期の同内容の質問を並立させることは、「マルチポスト」に当たり、当サイトの禁止事項&削除対象です。
どちらかを削除して一本にまとめてくださるようお願いします。

今後、古い質問に回答があまり来ない時は、一旦その質問を〆切り(既に回答がある場合は、出来れば御礼、そしてポイント付与もよろしく)、回答が得られそうなカテゴリーに変えて、質問の切り口・質問文も変えて質問されることをお勧めします。

この回答への補足

 ご丁寧にありがとうございます。
 前回の質問は締め切りにさせていただきました。
 
 よろしくお願いします。
 

補足日時:2007/08/09 16:13
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