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誠に古い歌(童謡?)で恐縮ですが、サトウハチロー作詞/原六朗作曲で「イワン・イワノヰッチ・イワノフさんとイワン・イワノヰッチ・イワノフさん」があります。(唄:伊藤久男/伴久美子)
「イワノヰッチ」を伴久美子は当該曲を通して「イワノウィッチ」と明瞭に発音しています。伊藤久雄およびバックコーラスも同様に歌っているのでしょうが、部分的に「イワノビッチ」と聞こえたりします。(私だけかも)

さて、この「ヰ」は「ウィ」と発音するのが、"当時は"一般的だったのでしょうか?それともサトウハチローの趣向だったのでしょうか?

ちなみに「ニッカウヰスキー」社のホームページには商品としては「ニッカウイスキー」と書いています。「ヰ」は「ィ」でなく「イ」ですが、それはどちらでも今回は気にしていません。

A 回答 (6件)

これは、明治期から昭和期にかけて、外来語を少しでも原音に近く表記せようとした事と、現今の共通語では区別がなくなった音が当時は未だ区別されている事が多かったと云う事から来ます。


質問者の例とは違いますが解り易い例として、「ラヂヲ」があります。現今では「ラジオ」ですが、英音に近いのは「ヂ」です。今の人は「ヂ」と「ジ」との区別がつかない人が多数派の所為か戦後の文部省(当時)公布のローマ字表記からも「di」はなくなりました。
「ヰ」と「ヱ」と「ヲ」はワ行に配当されている通り、ローマ字書きすると「wi」「we」「wo」となるものです。
これは、昭和9年~昭和10年の坪内逍遥訳「新修シェークスピア全集」にも作品名だけみても「ヰ゛」とか「ヱ゛」とかが使われています。
従って当時は珍しい事ではなかったのです。
なお、当時から「ヴィ」「ヴェ」「ヴォ」派と「ヰ゛」「ヱ゛」「ヲ゛」派とがありました。
尚戦後文部省(当時)が外来語の表記の指針をしめした際に先人の苦労を無視して無学のの人にもよめるようにとの観点から「ヴィ」も「ヰ゛」も同じく「ビ」にしてしまったのは不見識と記者は思っています。参看:参考URLの「外来語の表記」
蛇足:
当時の表記には、今では?と思われるものがあります。「ギョェテ」(独逸の文豪「ゲーテ」)とか、「ラ゜」「リ゜」「ル゜」「レ゜」「ロ゜」(英語のL音を示す)などがあります。中には「マ゛」「ミ゛」「ム゛」「メ゛」「モ゛」と云うものがあった由です。(記者未見)

「ニッカ」のは社名は俄に変えられませんが、商品名のは方は今の人に馴染み易いように「ウイスキー」と「ヰ」を「イ」と直したのでしょう。

参考URL:http://www.bunka.go.jp/kokugo/frame.asp?tm=20081 …
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この回答へのお礼

「ラ゜」「リ゜」「ル゜」「レ゜」「ロ゜」「マ゛」「ミ゛」「ム゛」「メ゛」「モ゛」も使われたことがあったとは驚きでした。情報を感謝します。
金田一京助の辞典だったか、鼻濁音としての「か゜」「き゜」「く゜」「け゜」「こ゜」が使われていたことを思い出しています。(^_^)
(↑文字化けしていたらごめんなさい。「か」「き」…「こ」の右肩に「〇」を付けています)

お礼日時:2008/12/08 16:13

前の回答では、サトウハチローは “イワノウィッチ” のつもりで「イワノヰッチ」と書いたに違いなかろうと述べたつもりだったのですが、ちょっと結論を急ぎ過ぎたように思います。



その後ふと、森鴎外の『舞姫』の中でヴィルヘルム皇帝(一世)についての記述があったのを思い出し、どうなっていたか確認してみました。
同作品の中には「ヰ」が次の3つの外来語で使用されていました。

・ 瑞西(スヰス)
・ 維廉(ヰルヘルム)一世
・ 「ヰクトリア」座

最初の「スヰス」については、この国名は英語ないし仏語から日本に入ったと聞きますから、英語のSwiss(スウィス)と考えれば納得できます。しかし!・・・・・
「ヰルヘルム一世」と「ヰクトリア座」はドイツ語の固有名詞ですから、それぞれ “ヴィルヘルム”、“ヴィクトリア” と読ませるつもりで書いたはずです。となると・・・
当時「ヰ」は外来語の “ウィ” と “ヴィ” の両方の読みに当てられていた可能性も否定できません(鴎外以外の例は調べてませんが)。
件の歌詞の「ヰ」が “ウィ” か “ヴィ” かについては、どうやら書いた本人に尋ねる他はなさそうですね (笑)

以上、回答の訂正でした ( ^^
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「イワン・イワノヰッチ・イワノフ」は英語式ローマ字表記になおすと、Ivan Ivanovich Ivanov となります。

vはロシア語のキリル文字では в で、Ivanov の末尾の v は無声化してf音になります。英語・フランス語と同じようにカタカナにすると、「イヴァン・イヴァノヴィッチ・イヴァノフ」または「イバン・イバノビッチ・イバノフ」となるはずです。ところが、ロシア語には(ドイツ語も) wa(ワ) wi(ウィ) という音韻がありません。ということは、ロシア語では wa と va、 wi と vi を区別する必要がありません。それでロシア語・ドイツ語からの外来語はV音がワ行の仮名になる例が多いのでしょう。

サトウハチローが活躍したころ、「イヴァン・イヴァノヴィッチ・イヴァノフ」に相当する表記もありましたが、露独系の場合は、「イワ"ン・イワ"ノヰ"ッチ・イワ"ノフ」とする方が多かったようです。

ドイツ語系では「ヨハン・ヲ"ルフガング・フォン・ギョェテ」とか「若きヱ"ルテルの悩み」とか「音楽の都ヰ"ーン」とかの表記もありました。
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この回答へのお礼

「イワ"ン・イワ"ノヰ"ッチ」、「ヲ"ルフガング」の例を挙げていただき、ありがとうございました。
これで「ワ"」「ヰ"」「ヱ"」「ヲ"」の例も揃って、何だか嬉しいです。(^_^)

お礼日時:2008/12/08 15:55

追記です。



ご質問文でチャーさんの名前を「伊藤久男」、「伊藤久雄」と二通りに書いておられますが、正しいのは「久男」の方です。ご存知かもしれませんが、念のためお知らせしておきます。
ちなみにこの事実は、たとえ何百万人の人が彼の名を「久雄」だと思い込んだところで変わりません。

- 以下余談 -
伊藤久男は戦時中に『「戦陣訓」の歌』(佐藤惣之助 & 古関裕而)という曲をレコーディングしていますが、この時は声楽家の伊藤武雄という人が一緒に歌っています(一 ~ 四番を2人が交互に歌って、最終の五番はコロムビア合唱団によるコーラス)。

伊藤武雄と伊藤久男・・・・・ 何だか、非常に紛らわしいですね (笑)

この組合わせに惑わされてしまった人が、もしかすると何十年か後にこんなことを言ったかもしれません。

私の記憶では昔は「伊藤久雄」と称していたと思っています。
「伊藤久雄」を「伊藤久男」にした経緯についてご存知の方はいらっしゃいますか?

・・・・・(笑)
そういう事実はないのですが、一応昭和8年4月のデビュー当初の彼の芸名は宮本一夫でした(ちなみに本名は伊藤四三男)。それが同年12月からはリーガルレコード(コロムビアの大衆盤)では今まで通り、一方コロムビアレーベルでは新たに伊藤久男を名乗ります。両刀使いは昭和10年10月まで続き、その後は伊藤久男に統一したそうです。
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上田敏は訳詞『落葉』(1905年)で原作者ポール・ヴェルレーヌ(仏人)の名を「ポオル・ヱ゛ルレエヌ」と書き、かつ文中の仏語 violon(ヴィオロン)を「ヰ゛オロンの ためいきの」と書いているので、ここでは「ヰ(ウィ)、ヱ(ウェ)」ということになります。


また、森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』(1909年)はラテン語の vita sexualis ですが、ラテン語では virus(ウィールス)のように v は半母音[w]で発音するようですから、鴎外としては “ウィタ・セクスアリス” のつもりだったと思われます(Wikipediaとかいう怪しい辞典には “ヴィタ” と書かれいますけれど‥)。

これらはどちらも明治時代後期ですから、サトウハチローが「イワン・イワノヰッチ‥」を書いた時とはかなり隔たってはいますが、まあ変わらないでしょうね。

ただし、歌手が作詞家の思惑通りに歌ってくれるかどうかは別問題です。
チャーさん(伊藤氏)は『美はしの琉球』(昭和15年)の中で「那覇(なは)」を “ナワ” と言った前科?があるし、また藤山一郎なんて人はもっとたちが悪くて、『丘は花ざかり』(昭和27年)では「恋は真赤な 天竺葵(ゼラニウム)」と書かれている詞を作詞家に無断(多分)で勝手に “ゼラニアム” と英語もどきに変えて歌っています(英語なら本当は “ジレイニャム” ですが‥)。

以上ご参考までに ( ^^
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この回答へのお礼

「ヱ゛ルレエヌ」「ヰ゛オロン」と書いた例を挙げていただき、ありがとうございました。

お礼日時:2008/12/08 15:48

ロシア語を日本語に無理に記載すると、そうなるのでしょうね。



ロシア語のアルファベットでWに当たるもので、その次にIが来るとき、こういう表記になります。英語的な発音で、ウイとか、ドイツ語的発音だとVIの発音、ヴァイオリンのヴァ行のヴィとなります。もともと日本語にないものですが、近いものとなると、ワ行のイ段の音、旧字のゐの字となるのです。

だから、WIをウイスキーなら、ウヰスキー、ドイツ語式発音だと、ヴィスキーとなります。ロシア語だと、その中間音みたいだと覚えているのですが、地方により、差があるみたいです。

ということで、カナで無理やり記載したときの音、旧字の表現法というわけです。英語のローマ字式表記でWIというのがヰなのです。

この回答への補足

なるほど、
WI → ヰ(ゐ)、WE → ヱ(ゑ)、WO → ヲ(を)
というわけですね。

補足日時:2008/12/07 19:10
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