No.4ベストアンサー
- 回答日時:
化学電池の成り立ちを考える時に分かりやすいのは
試験管で起こる酸化・還元反応を出発点にするということです。
※電極から発想している説明が多いですが混乱します。
電極は本来、反応の場を提供している(面積が大きくなった)電線の一部分でしかありません。
ところが電極物質が反応物質の1つになっていることがありますので混乱するのです。
(「小学生でもわかるように」というのは無理でしょう。酸化・還元反応が電子の移動に結びつくということが分からなければ電池は分かりません。)
(1)亜鉛は水素を出して希硫酸に溶けます。
(2)銅は希硫酸に溶けません。
(3)硫酸銅の水溶液の中に亜鉛を入れると亜鉛の表面に銅が析出します。
時間がたつと亜鉛の粒が小さくなり、水溶液の青色が薄くなっているのが分かります。
気体発生はありません。
(1)、(3)の反応が起こって(2)の反応が起こらないのは普通イオン化傾向の違いで説明されています。
イオン化傾向の順番が Zn>H2>Cuになるというのはどの教科書にも載っていることです。
(というよりはこの実験で教科書に載っているイオン化傾向の順番を確かめることができるというものです。実験は簡単です。実験結果の判断も難しくありません。)
(1)(2)は希硫酸の代わりに希塩酸を使っても同じ結果になります。
(1)、(3)の反応ではイオン状態が変化しています。
イオン反応式で書くと
(1)Zn+2H^+ → Zn^2++H2
(2)Cu+2H^+ → X(変化なし)
(3)Zn+Cu^2+ → Zn^2++Cu
正の方向にイオン状態が変化した場合、その変化は「酸化」と呼ばれています。
負の方向にイオン状態が変化した場合、その変化は「還元」と呼ばれています。
イオン状態が変化すればれば電子の移動が起こっています。
(1)Zn → Zn^2+ + 2e^-
2H^+ + 2e^- → H2
(3)Zn → Zn^2+ + 2e^-
Cu^2+ + 2e^- → Cu
電子が放出される変化が「酸化」、電子を受け入れる変化が「還元」であることになります。
酸化・還元反応が起これば電子の移動が起こっていることになります。
この電子の移動は亜鉛の表面で起こっています。試験管内で起こる直接反応です。
この電子の移動が外部の回路を通って起こるようにすれば電池になります。
直接反応を禁止すれば外部回路を回って移動する電子が多くなりますから電池としての効率が高くなります。
(1)はボルタ電池です。
(3)はダニエル電池です。
(1)ボルタ電池で使う銅板は電極です。反応物質ではありません。亜鉛が放出した電子を水素イオンがもらうという反応の場を提供しています。電線が広くなっているだけです。銅板の表面からは泡が出るようになります。電子の移動が起こっている証拠になります。直接反応が禁止されていませんので亜鉛の表面からも泡が出ます。効率が悪い電池だということです。豆電球が点灯します。でもしばらくすると消えてしまいます。少ない電流で動くモーター(私はソーラーモーターを使っていました)を使うと数分間回転するでしょう。
もし希硫酸と亜鉛板が接触しないようにすればずっと長くモーターが回るようになるでしょう。
隔壁を入れて内部を2つの部分に分けます。亜鉛板の周りには食塩水、銅板の周りには希硫酸があるという装置を作ればいいです。隔壁には素焼きの筒を使うと書かれていますが簡単にやる時は紙の封筒でも可能です。
(2つのビーカーを濾紙で作った塩橋でつなぐという方法ではモーターは回らないでしょう。電流が取り出せないのです。塩橋は起電力を測定する時に用いる方法です。)
(2)は隔壁を使って分離しています。Cuの析出が亜鉛板の上で起こらないようにしています。銅板は反応の場を提供しているだけです。幅の広い電線です。亜鉛板に接触している溶液は硫酸亜鉛の水溶液であると書かれていますが食塩水でもかまいません。亜鉛がイオンになって溶け込んで行く場という役割だけです。反応の主役は亜鉛と銅イオンなんですから。ダニエル電池だとソーラーモーターは数時間回っています。
ボルタ電池で水素が発生していた反応が銅の析出の反応に変わっています。銅板の上に溜まった水素の泡は反応の継続を妨害しますが、銅板の上に析出した銅は反応の継続の妨害にはなりません。
ある物質の組合わせが電池になるかどうかを判断したい時には対応する酸化・還元反応を考えてみればいいです。
>塩橋でつながれた2つのビーカーに片方は1mol/Lの塩酸,片方は1mol/L
の銅イオンの水溶液がはいっています.
銅イオンの水溶液のほうに銅、塩酸のほうに白金をつけた銅線でむすばれています.
銅イオンと銅と塩酸があります。直接接触させてもなにも起こらない組み合わせです。
直接接触させて何も起こらないものを分離してもやはり何も起こりません。
「化学電池は酸化還元反応に伴う電子の移動を外部回路に取り出して利用する装置である」ということから言えば酸化・還元反応の起こらないものは電池にはならないのです。
(「化学電池」という条件のある場合です。「濃淡電池」のような「化学電池でないもの」もあります。)
質問者様も、#2の回答者様も電池を酸化・還元反応と関連づけては考えておられないようです。
巷に流布している「イオン化傾向の異なる2つの金属と電解質溶液があれば電池になる」という説明に乗っかった発想をしておられるように思います。この考えは誤りです。ボルタ電池でイオン化傾向が関係するのは亜鉛と水素の間の関係です。2つの金属、銅と亜鉛 の間に成り立つ関係を使っているのではありません。銅と白金はイオン化傾向に違いがありますが塩酸の中に入れてもなにも起こりません。
(「小学生にも分かるように」という要望が結構あるということからこういう説明が出回っているのだという解釈もできそうです。「市民の化学」とか「親子の化学教室」のようなイベントではこの説明が盛んに使われているだろうと思います。)
この回答へのお礼
お礼日時:2011/08/09 19:32
小学生でもとはもうかかないようにします。すいません。。
塩橋の説明や
紙の封筒の話などとてもためになりました。
電気分解とまざっていた部分もわかりました。
どうもありがとうございました!!
No.5
- 回答日時:
No2です。
No3さんの言うように間違っていました。No3さん、ありがとうございます。
確かにその組み合わせでは反応が進行しません。
小学生にわかるように簡単に説明するとすれば、
「銅と白金は弱い酸をかけてもとけない金属だから」
でよいと思います。
質問者様のいうつなぎ方は電池のつなぎ方なのですが、
この電池のつなぎ方で反応が起こるには、
ざっくり説明すると
1.つないでいる2つの金属の種類が違うこと
2.どちらか一方の金属が弱い酸にとけるものであること
3.水溶液に塩などの「電解質」とよばれるものを十分にとかしていること
の三つの条件が必要になります。
銅と白金は弱い酸に溶けないので、2.の条件を満たさないため反応が起こりません。
小学生には難しい話ですがこんな感じでふんわり教えればいいのかなぁと。
No.3
- 回答日時:
銅イオン水溶液に銅板、塩酸に白金板では
酸化還元反応の推進力がないのではないですか?
推進力としては、イオン化傾向の差や酸化力のある溶液で金属板が溶ける
などが挙げられますが、上記の条件ではどちらにもあてはまりません。
銅イオン溶液に銅板を付けても(自然には)何も起こらず
白金板は塩酸に溶けません。
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