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厚み10ミクロン程度あるいはそれ以下のポリオレフィンフィルムの絶縁破壊強さ(BDV)を測定したいと考えています。特にBDVの温度依存性(23~180℃程度)を測定したいと考えています。BDV測定には油中と大気中の2通りの測定法があり、薄膜では大気中測定がいいと聞きました。厚いシートの場合は、空気の絶縁破壊が先に起こるため、BDVの大きい油中で測定した方がいいと理解しております。そこで質問なのですが、薄いフィルムのBDVを油中で測定することは可能なのでしょうか?それとも何か技術的に問題があって困難なのでしょうか?またこれに関連して、油中と大気中では絶縁破壊形式が異なると聞きました。この詳細について教えていただけないでしょうか?用途は明白かもしれませんがコンデンサ用フィルムです。

A 回答 (1件)

昔、UL関係の絶縁破壊試験などを担当していたものです。


ただ、だいぶ昔の話なので、ややうろ覚えな面や勘違いもあることをご承知おきください。

10ミクロン(0.01mm)以下の厚みのフィルムの絶縁破壊試験では、まず空気間リークは発生はあまりない電圧(せいぜい0.5~5kV)程度ですから、手間のかかる油中で試験するメリットがありません。
ちなみに空気間リークを防ぐため、試験サンプルは電極用の丸穴を開けたシリコンシートに挟んで行っていました。

ある程度厚みのある積層板やプラスチック片などで、破壊電圧が20kVを超えると想定され、なおかつ形状が平坦ではなく、直径3cm程度の電極が密着しないサンプル(当方熱劣化試験も行っていましたので、熱劣化により曲がってしまサンプル)に対し、球面の電極を用い、油中試験を行っていました。
つまり、通常の太い電極をとシリコンシートをはさんで測定できないサンプルに限り、油中による絶縁破壊試験を行っていました。

油中の場合は、シリコンオイルを使用しますが、粘度のあるシリコンオイルに薄いフィルムを入れようとしても、うまく入らなかったり、途中で破けてしまう可能性もあります。
当然サンプルもオイルで汚れますし、絶縁破壊するたびにシリコンオイル自体も汚れ、吸湿もするために定期的に交換が必要です。

つまり、油中で試験するメリットがない上に、シリコンオイルの手間がかかるため、あえて薄いフィルムを油中で試験は行わないのです。


油中と空気中での破壊の仕方については、うろ覚えですが、空気中の場合は、電極から離れた場所の弱い部分で破壊する可能性があります。特に厚みのあるサンプルほどそのような傾向でした。
例えばサンプルに傷があった場合や、わずかに薄くなっている部分絶縁破壊します。
油中は、電極付近で破壊する場合が多いのです。ただ、シリコンオイルが汚れたり劣化している場合は、オイル自体の絶縁効果が薄くなり、電極から離れた場所で破壊する可能性もなく無ないです。

詳しくは、該当する規格の規格書に試験方法が記載されているかと思います。
参考まで。
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この回答へのお礼

御丁寧な回答いただき有り難うございます。非常に貴重なコメントでとても参考になります。薄いフィルムをあえてオイル中で測定するメリットがない、ということなんですね。分析依頼の際に提示する条件設定で悩んでいたのでとても助かりました。

お礼日時:2012/07/11 21:51

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