No.6ベストアンサー
- 回答日時:
「発電機の損傷」ではなく「発電所の損傷」でしょう。
発電用の蒸気タービンは、通常「発電機の負荷」を「供給蒸気」で回し、50Hz の電源周波数なら 3000 rpm (1分間に3000回転、つまり1秒間に50回転)あるいは 1500 rpm (1分間に1500回転、つまり1秒間に25回転)という高速回転しています。
蒸気タービンは、高圧の蒸気がタービンで仕事をするにしたがって低圧の蒸気になっていく各段階で効率よく利用するために、羽根の長さや構造・形状を段階的に変えたものが多段に渡って軸に取り付けられています。
このように、タービンは、大型の機器でありながら、その細部は「精密機器」のような精度で作られることになります。
↓ こんな図を参照
https://www.mhps.com/jp/products/steamturbines/l …
従って、羽根の長さや構造によっていろいろな「共振振動数」が発生します。この「共振振動数」は、羽根の長さや構造がまちまちなので、広い回転範囲にわたって存在します。当たり前ですが、少なくとも「定格回転数」では共振点を外れるように設計されます。
このために、決められた定格回転数以外では、「高い側」(オーバースピード)にも「低い側」にも「局所的な振動」が発生する可能性があります。
そういった「局所振動」を設計の段階ですべて解析しておくことは困難なので、少なくとも「振動が起こらない」ことを確認した「定格回転数」周辺の運転範囲を逸脱したら「そこではタービンは運転しない」ということにしているのです。
送電線事故(送電線が切れるなど)が起これば、発電機の負荷が急にゼロに落ちますから、発電機は急に負荷が軽くなって回転数が急上昇します。ただでさえ高速回転しているものが、さらに「オーバースピード」になればタービンは壊れますので、この場合にはただちに蒸気を遮断してタービンを停止します。(オーバースピード側は、振動もありますが「羽根が抜ける危険性」の方が大きいかもしれません)
逆に、今回の北海道のように、どこかの発電相が故障で脱落すると、「発電機の負荷」が急に重くなります。脱落した発電所の分まで、残りの発電所の発電機の負荷にぶら下がってしまうからです。ということでタービンの回転数が落ちます。頑張って回そうにも蒸気量の上限は決まっています。通常は、多数の火力発電所がある程度の余裕をもって運転しているので、1基の発電所に事故があっても残りの発電所でカバーできますが、今回の北海道では1基の発電相が全負荷の50%近くを受け持つという「一極集中」状態で運転していたようです(通常はあり得ない運転かと思います)。
なので、1基の脱落で、他の発電所は「余裕」を全部出しきっても「重い負荷」を背負いきれずに回転数が落ちました。おそらく今回のケースでは 50Hz が 45Hz とか 40Hz 以下になる程度まで回転数が下がったのではないでしょうか。そのような回転数では、タービンの羽根のどこかが「共振振動」を起こす可能性があるので、各発電所とも「自分の発電所のタービンの振動からの保護」の観点で次々に運転を停止したのだと思います(そのように「自動インターロック」が組まれているので、次々に自動的に停止した)。
今回の北海道のケースでは、各発電所でそういった「タービン保護」の観点からの「正常な対応」がなされた結果の出来事であり、「発電機」のコイルが焼き切れるといった事象は全く関係ありません。
ただし、各発電所での「正常な対応」が行われた上で、電力系統全体で停電するという事態が起こったわけで、それは電力会社としての運用に大きな問題があったのが原因です。
通常は、1基の発電所が脱落しても、他の発電所で「ただちに供給できる蒸気の余裕分」を確保することで周波数を所定の範囲内に保持できるように運用するのが普通です。そうでなければ、何か緊急事態があったときに電力を供給できなくなっリスクがあるからです。
今回の北海道では、そのリスクを全く考慮していなかったのではないかと思います。
さらに、1基の発電所の脱落で負荷/供給間のアンバランスが発生したときには、過渡的な対応として、たとえば「最大の電力負荷である札幌市内を切り離す」(札幌市内を強制的に停電させる)など、供給と負荷のアンバランスを解消して残った発電所と残った負荷をバランスさせて系統の全停止を防ぐべきだったのではないかと思います。そういう「緊急時の対応」も誤ったではないかと思います。
このように、発電所や負荷の運用で、北海道電力ではダブルのミスを犯したのではないかと思います。
早速のご回答ありがとうございました。
タービンの羽根は、より高速になっても、より低速になっても、共振などの危険があるため、確認した「定格回転数」周辺の運転範囲を逸脱したら「そこではタービンは運転しない」>のですね。
今回の地震で、<1基の発電相が全負荷の50%近くを受け持つという>発電所が停止した。その分他の発電所に負荷が回ったのですが、その発電所(回転数の上昇を招き)も負荷に対応できず、<「保護」の観点で次々に運転を停止した>のですね。
適切な<負荷の運用>もできなかったようですが、<「一極集中」状態>が基の原因なのですね。
No.5
- 回答日時:
>おそらく回転数が上昇し、悲鳴をあげるのでしょうね。
逆でーす。
回転数が減少します。
タービンの羽根は飛行機の翼の様に風を受ける方向と直角に揚力が発生し回転するように出来ています。
負荷が増えて回転数が低下すると、羽根にもろに風が当たり折れてしまうのです。
再度のご回答ありがとうございました。
<タービンの羽根は飛行機の翼の様>に、<揚力)を発生させているのですね。
<負荷が増えて回転数が低下すると、羽根にもろに風が当た)るようになるのですね。羽根は過酷な環境で耐えねばならないのですね。
No.4
- 回答日時:
7日付けのある新聞記事の解説に、大略次の様に説明されていました。
<電気は、必要な分だけが発電所で出力を細かく調整されながら
供給される。そのバランスを見る指標が「周波数」だ。発電機の
回転数*にあたる。(東日本では50ヘルツ。)電気の供給が増えると
周波数は高くなり、需要が増えると周波数は低くなる**。
しかし、需要と供給のバランスが急激に崩れて周波数が乱れると、
タービンの故障やシステムの異常が起こりやすくなる。これを
避けるため、電力の供給を自動的に遮断する仕組みが元々備わって
いる。>
短くするために一部手直し。*、**は小生による注。
*周波数と回転数は比例しており、周波数が高いほど電気エネルギ
は高い。
**「回転数を上げると供給エネルギは高くなり、エネルギの使用
(減少)は周波数の低下を伴う」と言換えることもできる。
周波数(回転数)の乱れが何を引き起こすのかは次のHPに書かれて
います。
https://ameblo.jp/sayama554/entry-11395169230.html
<さらに蒸気タービンの莫大な慣性モーメントのおかげで、どれだけ頑丈に
発電ユニットが固定されていようと、その高速回転で常に振動している。
そして回転数が変動すると、蒸気タービンの固有振動数に接近して振動が
激しくなって亀裂を生じるとか、タービンケーシング(隔壁)と接触してタービン
翼を折るとか、隔壁を突き破って高速回転したまま、蒸気タービンが本体ごと
吹き飛ばされる等の大事故を起こす恐れが一気に高くなる。>
発電機コイルの焼損はその次の段階で、起こる事はほとんど(全く)ありません。
早速のご回答ありがとうございまいした。
次のように理解(したつもり)しました。
地震などによって、ある発電所の発電が停止すると、(おそらく、ネットでつながっている他の発電所では、その分発電量があげる。その際、周波数(発電機の(高速)回転数)があがる。そのままでは、<蒸気タービンの固有振動数に接近して振動が
激しくなって亀裂を生じる>などが発生するのですね。
紹介して頂いた資料によると、その<周波数の許容幅も±0.2Hz程度と大変狭>いのだそうですね。
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