No.7ベストアンサー
- 回答日時:
ナニゲにこんな素敵な質問をされていたのですね、hikouさん。
見つけちゃいましたよぉ!嬉しくなっちゃいます。喜んでお応えしましょう。前の方々も黒澤に関しては相当強者だと思いますが、私も全30作すべて観ておりまして、1位 生きる(1952年:中国語だと「生之慾」)。志村喬の大ファンでもあり、当確。当時の「胃がんといえば死刑宣告」というセリフがあるくらいですから、「生きるとは何なのか」「生きる価値というものはどこにあるのか」といった内容も去ることながら1952年という時代にあって、通夜という舞台でほとんどすべてが「回想」で語られる、という手法も斬新でした、志村の死後某保険会社がCMでこの映画を使用して話題になりました。志村にとってもその家族にとっても他の多くの黒澤映画とは違う思い入れがあると聞きます。澤地久枝氏の「男ありて」という志村の伝記風の本もおすすめです。nekosimaさんは「公務員」云々と述べられていますが、舞台は昭和27年のことゆえ、今とは違うので時代考証的に鑑賞してもよいのではないでしょうか。
2位 天国と地獄。(1962年:中国語だと「天國與地獄」)。カラー映画が不可能だった当時、斬新な方法で重要な場面で1色だけ、ある色が(技術困難な中)使われています。(内容をご存じない方のためにここでは触れません)それと若かった山崎努の快演。綺麗だった香川京子(今もお綺麗です⇒天国の本屋 恋火 に特別出演)、ハンサム青年だった仲代達也、忘れてはいけない主役のミフネ。ミフネ抜きにはこの映画は語れません。江ノ島・腰越付近が別荘地帯だったというのも今となっては貴重な映像。映像といえば「明日の特急第2こだまに乗れ」と犯人に指示されて、場面はこだまの車内へ。これは知る人ぞ知るなので、この欄の前の方々はご存知とは思いますが、国鉄のこだま号(新幹線ができる前のお話しです)を走行する形で一編成そっくりそのまま借り切ってNG不可能一発撮影されました。すごいですねぇ。CGなんて夢にも思えなかった時代ですものねぇ。余談ですが、以前国鉄時代は今のように「下りは奇数号、上りは偶数号」ではありませんでした。ですからここの「第2こだま」というのは「東京をその日2番目に出るこだま」ということになります。狩人のヒット曲「あずさ2号」も同じ理屈ですね。東京紅團という方のサイトにこの映画のロケ地詳細があります。ものすごくマニアックで(紅團さんごめんなさい。誉めているんです)、すごく執念のあるサイトです。一見の価値ありです。
3位 デルスウザーラ。(1975年:中国語だと「徳蘇烏札拉」)。なんと言っても「カピターーーン!」と呼ぶデルスゥのかわいい声。それと当時の共産大国ソビエトとの合作。これは世界のクロサワでなければできなかった偉業でしょう。因みに、平凡社の東洋文庫になっている探検記「デルスウ・ウザーラ」とは時代がだぶりません。
これら3本はしょっちゅう観てます。何百回見ても飽きないでしょうね。
さて、黒澤にはまだあと27本の作品があるのですが、幾つか是非触れさせてください。時代順に見ていくとある時期に特に珠玉の作品を作った時期があるのです。それは1950年代の映画群です。醜聞・羅生門・白雉・生きる・七人の侍・生きものの記録・蜘蛛巣城・どん底・隠し砦の三悪人、です。七人の侍は、敢えて「ランク外・特別賞」としたいです。この映画抜きには黒澤は語れませんから。ベスト3に入らなかったけれど、大好きなものは当然沢山あります。用心棒、椿三十郎、赤ひげ、酔いどれ天使、静かなる決闘、野良犬、醜聞、羅生門、生きものの記録。これらは全部第4位にしたい映画です。
長くなりました。最後までおつきあいいただきありがとうございました。
参考URL:http://www.tokyo-kurenaidan.com/kurosawa-tengoku …
回答の中に ID を入れると後で検索できちゃうので
禁じ手です(笑)。ただいま生きるを観ているところです。
地味なんですが、じんわり魅入られますね。
ただ、一気に観れないので羅生門と共に鑑賞中です。
生きるは、シナリオの教科書? の本にもとりあげてました。
やはり、シェークスピアなみに後世のお手本として
残る作品なのでしょうね。
かみしめるようにじっくり観てみたいと思います。
面白いURLも教えてくださってありがとうございます。
No.9
- 回答日時:
No.7です。
たびたび登場して申し訳ありません。
”これはそうでもない”というのを見逃していました。
私のワースト1ってのが1作だけあるのです。
その映画は第24作目「どですかでん」(1970)です。
どうひいき目に見ても駄作・理解不能です。観るだけ損です。
「自殺未遂以降は駄作」と仰る方がいらっしゃいましたが、「うむ。辛口。これも同感」と思います。
逆に大甘で観てもこの「どですかでん」は理解不能です。
好きな方もいらっしゃるでしょう。でも、私の評価は「駄作」です。
参考URL:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=8 …
どですかでん
のタイトルからしてなんかヒットが望めそうになさそうですが、
>>どうひいき目に見ても駄作・理解不能です。観るだけ損です
こうまでいわれると、たけしの最新作並みに観たく(確かめたく)
なりますね。(笑)
No.6
- 回答日時:
黒沢映画は全作品観ましたが、おもしろいのは「野良犬」から「赤ひげ」までの中に大体入ってます。
「野良犬」より古い作品は余りおもしろくなかったです。「姿三四郎」とかフィルムがズタズタなので、名作といわれている割には???という感じでした。「赤ひげ」より新しい作品は作風がガラっと変わっていて、アクション風味の黒沢映画が好きな人はがっかりしそうなものが多いです。「影武者」や「乱」は壮大な様式美の映画みたいになってしまっていて、娯楽作品を期待すると、かなりきつい部分があると思います。「生きる」「七人の侍」「天国と地獄」がベスト3
次点で「赤ひげ」「用心棒」
でしょうか。
やっぱり「七人の侍」がいちばんです。
「生きる」は公務員批判の映画です。公務員やってる人が見ると、ああ、と身につまされると思います。
「天国と地獄」は「踊る大捜査線」が一部まねしたという、誘拐映画の金字塔のような作品。吉展ちゃん事件という誘拐殺人が、この映画に触発された犯人によって現実に起きたという話もあります。
「赤ひげ」は加山雄三が出てます。小さいエピソードが次々に起こるような展開なので、まあなんていうか、退屈はしません。男ばかりを殺す女患者に対して、幼い頃のトラウマが…、といった周囲の解釈をばっさり切って、三船赤ひげ先生、「あの女は色情狂じゃ」と断言。最近多い、トラウマネタのドラマや映画にうんざりしていたので、おお!という感じでした。
「用心棒」はイーストウッドの「荒野の用心棒」がまねをしたので、どっちか1本を見ればいいです。内容はまったく同じ。
ありがとうございます。こうしてリストアップしてくださると
助かります。とりあえず、フィルムがズタズタの姿三四郎は
一番後回しに・・・(笑)
ただいま、生きる、と、羅生門を観ている最中です。
最近、クロサワが静かなブームなのかレンタル屋でも
ほとんど借りられてました。^^;
じっくり大事に観賞したいと思います。
No.5
- 回答日時:
NO.1です。
NO.2さんへの回答のお礼の中で「キリン」について言及されていますが その「キリン」は われわれが普通によく知っている あのアフリカのキリンではなく 想像上の霊獣である「麒麟」のことだと思います。ここで詳しく述べる余裕はありませんが 国語辞典や百科事典を調べれば すぐに解ると思います。当たってみてください。ありがとうございます。
辞書によると、中国古代の想像上の獣。とありました。
「中国古代」ということなら、語り継がれて農民が知っていても
そう不思議はないかもしれません。
補足ありがとうございました。勉強になります。
No.4
- 回答日時:
みなさん、「赤ひげ」を忘れてませんか?
黒澤のすべてが注ぎ込まれた作品です。私にとってはNO.1です。
そして、「天国と地獄」。
ストーリーの展開はもちろん、カメラワークが凄い。例えば犯人からの脅迫電話に出る時の受話器に耳をあてる3人の動き、それに伴うカメラの動き、全く素晴らしい。すべての役者の動きが計算づくされている。
ベスト3は「乱」。
あのバトルシーンと音楽。ド迫力です。
回答ありがとうございます。
正直、「赤ひげ」「どん底」の類(アクションシーンがなさそうな)
ものは一番敬遠していたところがあります。
でも面白いという声があれば観てみたいと思います。
とても参考になりました。
No.3
- 回答日時:
「七人の侍」
言わずと知れた代表作。ハリウッドリメイクの「荒野の七人」や最近の「セブンス・ソード」などこの作品で影響を受けた映画人はかなりいるでしょう。
豪雨の合戦シーンは圧巻です。
「生きる」
ガンに侵され余命いくばくもない役人が人生を振り返る現代劇。黒澤作品の最高傑作とも言われているそうです。
今度ハリウッドリメイクも決定されています。
「影武者」
カンヌ映画祭でグランプリを獲った作品。
コッポラとルーカスが参加しているのも興味深いし、カラー作品なので見やすいかも。
他にもスターウォーズのC-3POとR2-D2の元ネタとなった「隠し砦の三悪人」や、マカロニ・ウエスタンにパクられた「用心棒」などもいいですね。
長時間作品が多いので気合を入れて見て下さい。
ありがとうございます。
おすすめいただいたもの片っ端から観て見たいと思います。
とりあえず、七人の侍は文句無いです。
カンヌ映画祭でグランプリを獲った「影武者」は
期待したいと思います。アカデミー賞ものには弱いので。
回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」、これが図抜けた傑作です。
それまでは、「羅生門」を最高峰として、その芸術性が高く評価されていましたが、東宝から「売れる娯楽作品を」と要請され、手がけたのがこの3作です。
シチュエーション、ストーリー、テンポと、娯楽作品に必要な要素をすべて備えた作品です。
芸術性での高い評価を、娯楽性で増幅する結果になりましたね。
これに続く評価の作品は、同系統の時代劇「隠し砦の三悪人」、更に「生きる」「天国と地獄」あたりでしょう。
「隠し砦の三悪人」は、「スターウォーズ」でルーカスが真似したように、登場人物の組み合わせの妙と、ストーリー展開が秀逸です。
「生きる」は、癌で余命いくばくもないことを知った、役所の一課長が、それまでの惰性の人生から目覚めて、小さい公園を作ることに「生きがい」を見出す・・・という、凄まじく陳腐な設定なのに、3時間以上画面にのめり込ませる、黒澤マジックです。
「天国と地獄」は、黒澤映画として評価できる、最後の作品です。
主人公以外に、犯人、刑事、運転手、それぞれの人間性が描かれた、犯罪ドラマの傑作です。
山崎努が、犯人役として抜擢され、好演しました。
これは評価できない作品で、特に有名なところでは、
「乱」・・・ここら辺りから、ストーリーの面白さより、画面の美しさ(絵画性)に傾注し始め、全くつまらない作品。(「影武者」もひどかったけれど)
「夢」・・・絵画性追求の終着駅。だから最悪の終着駅。
「八月の狂詩曲」「まあだだよ」・・・黒澤明という名前がなかったら、誰も見ないでしょう。
「まあだだよ」などは、所ジョージのよさが殺されてしまっている。
・・・きりがありませんが、とりあえずこんなところでしょうか。
詳細に回答いただきありがとうございます。
七人の侍はやはり、外せないところのようですね。
これは予想を越えた面白さでした。
隠し砦の三悪人には、しっかり観てなかったからでしょうか、
最初に七人の侍を観てしまったら、ちょっと物足りない
感じでした。
それと気になったのが、冒頭の方で身を隠すシーンで
「キリンのようにならなきゃ~」と言ってるようですが、
はたして、この時代の農民がキリンを知っていたのか?
と突っ込みたくなりました。検証サイトも探してみたのですが
ちょっと見当たりませんでした。
おすすめいただいたもの片っ端から観て見たいと思います。
回答ありがとうございました。
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