第51条1 罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
2 罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、10年以上15年以下において言い渡す。
少年法51条2項に無期懲役を科すときであっても、有期懲役もしくは禁固を科すことが「できる」と規定してあるんですけど、これって当然のような気がするんですけど、なんでこのような規定をおいたのか分かる方おしえていただけませんか?
そもそも「できる」という文言ではしなくてもいいってことだから、51条2項を完全に無視することも出来ると思うんですが、そうするとこの規定無意味になると思うのです。
51条1項のように「する」という文言だったら意味をなすと思うのですが。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、処断刑(法定刑に刑法上の加重減軽を加えたもの)が無期懲役であるときでも、裁判所の裁量で10年以上15年以下の範囲で有期の定期刑を科すこともできる、という規定です。
たとえば、強盗殺人罪(法定刑は死刑か無期懲役)について犯情等に鑑み無期懲役刑を処断刑とする場合、成人や18歳以上の年長少年であれば、そのまま無期懲役刑を言い渡すことになりますが、14歳以上18歳未満の場合は、少年法51条2項の規定を適用せずにそのまま無期懲役を言い渡すこともできるし、少年法51条2項の規定を適用して、10年以上15年以下の範囲の定期の有期刑に減軽することもできる、ということです。
もう少し具体例に説明しますと、
(1)たとえば金を奪うために1人を殺害した場合(単純な強盗殺人)、通常であれば酌量減軽などの刑法上の減軽を施さない限り無期懲役刑が相当の事案になると思われますが、被告が犯行時18歳未満であった場合は、そのまま無期懲役刑にするか、少年法51条2項により刑を減軽するかを裁判官が選択できるということになります。
(2)また、たとえば、17歳の者が、無期懲役に相当するような犯情の殺人を行った場合、(1)と同様、そのまま無期刑にするか、少年法51条2項により刑を減軽するかを裁判官が選択できるということになります。
(3)さらにまた、たとえば、心身耗弱下で4人を殺害した場合、通常であれば無期刑が相当ということになりますが、被告が犯行時18歳未満であれば、(1)(2)と同様、そのまま無期刑にするか、少年法51条2項により刑を減軽するかを裁判官が選択できるということになります。
51条1項との最大の違いは必要的緩和か、裁量的緩和かという点です。
51条1項は「する」とあるので、死刑相当の場合でも無期刑に必ず無期刑にするということですが、51条2項は「できる」とあるだけなので、無期刑相当の場合、本来どおり無期刑にするか、刑を減軽するか選べるということになります。
どういう基準で緩和するか緩和しないのか決めるのかは明文で定められていませんが、犯行の内容や果たした役割、犯行時の年齢などを総合的に判断して決めているようです。
そうすると、強盗殺人で1人を殺害した場合、「主導的立場&17歳&執拗で残虐なリンチを加えた&被害金額20万」などの条件が揃えば本来どおり無期刑となる可能性が極めて高く、逆に、「比較的従属的な立場&16歳&被害金額5000円」という感じであれば、少年法51条2項により、懲役15年や懲役13年などに減軽される可能性が高いと言えます。
ただ、強盗殺人であっても、酌量減軽を施す場合は、有期刑相当の事案(有期刑が処断刑)ということになりますから、その場合は、少年法52条により不定期刑を科すことになります。
なお、「懲役○年」といった定期刑の実刑判決は、少年に対しては、51条2項により無期懲役を緩和する場合と判決時に既に20歳になっている者に対して有期刑を科す場合の2つを除いて、通常は言い渡すことができないことになっています。
詳しくは参考URLをご覧ください。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%AF%BE% …
No.6
- 回答日時:
>なんでこのような規定をおいたのか分かる方おしえていただけませんか?
51条2項は、昔は51条1項と同じように、必要的減軽の対象だったんです。
「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときは、有期の懲役又は禁錮を科する」
です。
したがって「無期刑が適当」と判断したときは、強制的に「有期刑に減軽」でした。
平成12年に裁量的規定に改正したのが現行規定です。
で、「最初から有期刑相当の判断」か「本当は無期刑相当だけど51条2項を適用して有期刑」なのかでは
法律上の意味には違いがあります(たとえば後者だと52条の適用なし)ので、
規定自体に意味がなくなっているわけではありません。
No.5
- 回答日時:
#4を少し修正します
法定刑が死刑又は無期又は5年以上の有期懲役と規定されている場合、裁判所は犯情等に鑑み、また刑法上の減軽事由があればそれを適用した上で、死刑を処断刑にするか無期懲役を処断刑にするか、5年以上の有期懲役を処断刑とするか選択するか決めます。
ですから、普通殺人(死刑又は無期又は5年以上の有期懲役)の場合も、犯情等に鑑み無期刑相当と評価された場合は、酌量減軽などの刑法上の減軽を施さない限り、処断刑は無期懲役となりますので、このような場合にも少年法51条2項は十分な意味を持ちます。
ここで、少年および成人の刑事事件の量刑について少し説明を加えておきます。
◎死刑クラスの犯罪を行った場合
*犯行時成人または18・19歳の場合
・刑法上の減軽事由(心神耗弱など)がない場合、処断刑は死刑→言い渡される刑も死刑(ただし、S58.7.8の最高裁判例により、年齢は有利な事情の一つとなるので、犯行時18・19歳であった場合は成人に比べて死刑が処断刑とされることは比較的少ない)
・心身耗弱であった場合は処断刑は無期懲役→言い渡される刑も無期懲役
*犯行時18歳未満の場合
・刑法上の減軽事由(心神耗弱など)がない場合、処断刑は死刑→言い渡される刑は少年法51条1項により無期懲役(ただし、処断刑が死刑なのでこれ以上減軽することはできない)
・心神耗弱等であった場合は処断刑は無期懲役→言い渡される刑は無期懲役or少年法51条2項により10年以上15年以下の範囲での定期の有期懲役
◎無期懲役クラスの犯罪を行った場合
*犯行時成人の場合
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がない場合、処断刑は無期懲役→言い渡される刑も無期懲役
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がある場合→処断刑は7年以上の有期懲役→言い渡される刑は7年以上の定期の有期懲役
*犯行時18・19歳の場合
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がない場合、処断刑は無期懲役→言い渡される刑も無期懲役
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がある場合→処断刑は7年以上の有期懲役→言い渡される刑は有期の不定期刑。※この場合の最長刑は「5年以上10年以下の不定期刑」。ただし判決時に成人になっている場合は、7年以上の定期の有期懲役刑を科される(ただし、犯行当時少年であったことは有利な事情として斟酌されうる)
*犯行時18歳未満の場合
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がない場合、処断刑は無期懲役→言い渡される刑は無期懲役or少年法51条2項により10年以上15年以下の範囲での定期の有期懲役
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がある場合→処断刑は7年以上の有期懲役→言い渡される刑は有期の不定期刑。※この場合の最長刑は「5年以上10年以下の不定期刑」。ただし、判決時に成人になっている場合は、7年以上の定期の有期懲役刑を科される(ただし、犯行当時少年であったことは有利な事情として斟酌されうる)
◎有期懲役クラスの犯罪を行った場合
*成人の場合→有期の定期刑
*少年の場合→有期の不定期刑。※ただし判決時に成人になっている場合は、定期刑を科される(ただし、犯行当時少年であったことは有利な事情として斟酌されうる)
No.4
- 回答日時:
法定刑が死刑又は無期又は5年以上の有期懲役と規定されている場合、裁判所は犯情に鑑み、また刑法上の減軽事由があればそれを適用した上で、死刑を処断刑にするか無期懲役を処断刑にするか、5年以上の有期懲役を処断刑とするか選択するか決めます。
ですから、普通殺人(死刑又は無期又は5年以上の有期懲役)の場合も、犯情に鑑み無期刑相当と評価された場合は、酌量減軽などの刑法上の減軽を施さない限り、処断刑は無期懲役となりますので、このような場合にも少年法51条2項は十分な意味を持ちます。
ここで、少年および成人の刑事事件の量刑について少し説明を加えておきます。
◎死刑クラスの犯罪を行った場合
*犯行時成人または18・19歳の場合
・刑法上の減軽事由(心神耗弱など)がない場合、処断刑は死刑→言い渡される刑も死刑(ただし、S58.7.8の最高裁判例により、年齢は有利な事情の一つとなるので、犯行時18・19歳であった場合は成人に比べて死刑が処断刑とされることは比較的少ない)
・心身耗弱であった場合は処断刑は無期懲役→言い渡される刑も無期懲役
*犯行時18歳未満の場合
・刑法上の減軽事由(心神耗弱など)がない場合、処断刑は死刑→言い渡される刑は少年法51条1項により無期懲役(ただし、処断刑が死刑なのでこれ以上減軽することはできない)
・心神耗弱等であった場合は処断刑は無期懲役→言い渡される刑は無期懲役or10年以上15年以下の有期懲役
◎無期懲役クラスの犯罪を行った場合
*成人の場合
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がない場合、処断刑は無期懲役→言い渡される刑も無期懲役
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がある場合→処断刑は7年以上の有期懲役→言い渡される刑は7年以上の定期の有期懲役
※18・19歳の場合
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がない場合、処断刑は無期懲役→言い渡される刑も無期懲役
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がある場合→処断刑は7年以上の有期懲役→言い渡される刑は有期の不定期刑。この場合の最長刑は「5年以上10年以下の不定期刑」。ただし判決前に成人になっている場合は、定期刑を科される(ただし、犯行当時少年であったことは有利な事情として斟酌されうる)
※犯行時18歳未満の場合
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がない場合、処断刑は無期懲役→言い渡される刑は無期懲役or10年以上15年以下の範囲での定期の有期懲役
・刑法上の減軽事由(酌量減軽や心神耗弱など)がある場合→処断刑は7年以上の有期懲役→言い渡される刑は有期の不定期刑。※この場合の最長刑は「5年以上10年以下の不定期刑」。ただし、判決時に成人になっている場合は、7年以上の定期の有期懲役刑を科される(ただし犯行当時少年であったことは有利な事情として斟酌されうる)
◎有期懲役クラスの犯罪を行った場合
*成人の場合→有期の定期刑
*少年の場合→有期の不定期刑。※ただし判決前に成人になっている場合は、定期刑を科される(ただし犯行当時少年であったことは有利な事情として斟酌されうる)
No.2
- 回答日時:
#1の回答で十分ですが、逆に言えば、「する」にしてしまうと無期刑が言い渡せなくなるということになります。
つまり、必ず有期刑にしなければならないことになります。#1項の意味は、「死刑は言い渡せない」ということでもあります。
「無期刑をもって処断すべき」というのは処断刑(法定刑に加重減軽をして出てきた量刑の基礎となる刑の範囲)が無期刑となるということですが、これは言い渡す刑は必ず無期刑でなければいけない(死刑は言い渡せないので無期刑よりも重い刑はありません)ということです。処断刑が無期刑なのにそれより軽い有期刑の言い渡しを裁判所が勝手にすることはできません。多分ここがわかっていないのだと思います。いいですか?裁判所の言い渡す刑は法律によって上限だけでなく「下限も決まっている」のです。そこで下限を下回る刑を勝手に言い渡すことはできないのです。ですから、このような下限よりも軽い刑を言い渡すことが「できる」という規定には意味があります。この「できる」という規定が存在して初めて下限よりも低い刑を言い渡すことができ、且つ、「下限よりも低い刑を言い渡さなくてもよい」ことになります。で、「する」の場合は、最初に戻ります。
No.1
- 回答日時:
>少年法51条2項に無期懲役を科すときであっても、有期懲役もしくは禁固を科すことが「できる」と規定してあるんですけど、これって当然のような気がするんですけど・・・
ということですが、当然ではないのではないでしょうか?
例えば強盗致死罪の場合、死刑か無期懲役しか選択できませんが、無期懲役を選択した場合にこの規定がなければ有期懲役にすることはできませんよね。
もちろん法律上の減刑または酌量減刑が可能であれば別ですが、そのような事情がない場合にも有期懲役を選択できるという点で同規定には十分な意味があると思われます。
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