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真空って何もないんじゃなくて、マイナス電子がびっしり、つまってる状態だと聞いたことがあるんですが、ホントデスカ?

A 回答 (4件)

 


  真空空間には、負のエネルギーの粒子がぎっしりと詰まっていて、ガンマー線などが、この空間の一点に衝突し、エネルギーを与えると、エネルギーが十分大きければ、負のエネルギー粒子が、正のエネルギー粒子となって飛び出し、この粒子が飛び出した後の空間には、「孔」ができるだろう。そして、この「孔」が、独立した「粒子」として観察されるだろうというのが、ディラックの相対論的電磁気学での方程式を解いて得られた結果の、物理学的解釈です。
 
  ディラックが予想した、この「孔」に当たる粒子が、実際に、ディラックが理論で予想した通りの電荷や質量などの性質を持って発見され、そういう「孔」の粒子が実在することが分かったので、ディラックの理論は、「宇宙のモデル」として妥当だとなりました。それ以来、ディラックの理論で、モデル化される、「真空空間はマイナスのエネルギーがぎっしり詰まった空間」だというイメージは、「ディラックの海」と呼ばれています。(この孔の粒子は、電子が飛び出す場合は、電子の「反粒子」で、陽電子と呼ばれる粒子です)。
 
  しかし、注意しなければならないのは、物理学は、色々な「モデル」で、空間などを表現しているということです。「ディラックの海」のモデルは、ディラックの方程式の解から出てくるイメージ・モデルで、別の真空の理論では、別のイメージに真空空間はなります。
 
  陽電子を導く時に使ったディラックの理論では、真空空間が、マイナスのエネルギー粒子でぎっしり充填されているということになりますが、一旦、反粒子の存在が確認されると、色々な粒子にはみな、反粒子が、基本的に伴うということが理論的に予測され、実際に、反粒子があることが分かります。
 
  例えば、陽子の反粒子は反陽子で、その他の色々な素粒子も、反粒子が存在することになり、今度は、こういうたくさんの反粒子がある素粒子とは何か、どうして反粒子があるのかという話になり、粒子を「チャージ変換」すると反粒子になるとか、陽子、反陽子は、中性子も含めて、「核子」という基本粒子が、特別な空間で自転している状態で、自転の方向や大きさの違いで、核子が、陽子、中性子、反陽子として姿を現すのだというようなモデル理論が出てきます。
 
  この「特別な空間の自転」を、アイソスピンと呼んだのですが、こういう風に、反粒子を説明するモデルでは、空間は、真空で何もなく、マイナスのエネルギー粒子などが詰まっているというイメージにはなりません。もし、そうなら、存在する素粒子の数や種類の分だけ、真空は、異なる種類のマイナスのエネルギーの粒子で詰まっていることになりますが、それは、どうもおかしいからです。
 
  真空空間というのは、何もない空間でも、ディラックの海のようなものでもなく、実は「物質の一つの形態」で、逆に物質とは、「空間の一つの形態」だということにもなります。
 
  真空では、場の揺らぎで、無数の素粒子が、対創生されてはまた消えるという「仮想過程」を繰り返しているというのは、実験的に確認されています。それは例えば、チェレンコフ放射という現象で、証明されるのです。
 
  真空空間が、マイナスのエネルギーの粒子が充填されているだけの空間なら、何故こんな現象が起こるのか理解できません。真空空間は、もっとダイナミックな、複雑な構造を持っているのだということになります。
 
  そういう訳で、ディラックの理論から考えられる、真空空間のモデルとしては、「ディラックの海が真空だ」というのは妥当です。しかし、別の理論から出てくるモデルのイメージがまた複数あり、色々なモデルのイメージが重なっているのが真空空間だということになります。
 
  こう言った色々な理論を統一してできる理論のモデルが示す、真空空間のイメージが、もっとも適切なイメージだということになります。
 
  だから、「ディラックの海」は、「モデル」だと思ってください。実際に、マイナスのエネルギーの粒子が、ぎっしりと詰まっているのが、真空ではないのです。そもそも、マイナスのエネルギーの粒子を観測することができないのですから、それは「ない」のと同じです。
 
  真空にエネルギーを与えると、粒子と反粒子が対創生されるというのは、実験的に確認されているので、この現象を説明するのに、必ずしも、ディラックの海を考える必要はないのです。
 
  ディラックの海は、「真空空間は、そういう風に考えることもできる」という意味なのです。ディラックの海だと考えることは間違いではありませんが、別の考え方もできるのです。
 
  前にも別のことで使った比喩なのですが、円錐を考えてください。ある方向から見ると、円錐は、「三角形」に見えます。ところが、別の方向から見ると、「円」や「楕円」などに見えます。この場合、「円錐は三角形に見える」というのは、間違いではないのです。しかし同時に、「円錐は円にも見える」のです。
 
  真空は、「ディラックの海」にも見えるし、「何もない、しかし、仮想過程が起こっている空間」にも見えるのです。物理学がもっと発展すると、もっと不思議なイメージ、不思議な「見え方」が見つかるかも知れません(いま現在で、いい加減、たくさんの不思議な「見え方」の理論がすでにあります。ただ、それはどういうイメージなのか、イメージとして表現しにくいので、何かよく分からない状態なのです。「超弦」が素粒子だと言われても、何のことかよく分からないというのが実状です)。
  
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この回答へのお礼

「モデル」の一つだということですね。円錐の例で言われると、とても分かりやすかったです。勉強不足なのでディラックの海についてもうちょっと自分で調べてみたいと想います。ありがとうございました。

お礼日時:2002/04/29 20:46

 「ディラックの海」ですね。

まず参考文献をあげておきます。「真空とは何か」(講談社ブルーバック)という本ですが、私のようなレベルの低い人間でも結構ゾクゾクしながら読めますのでお勧めします。

 私たちは普通真空というと物質など何もない空間と思っています。逆に物質とは何かと言うことを考えると「真空」の意味が見えてくる部分もありますので、少し触れておきます。物質は分子でできており、分子は原子の集まりとされます。その原子は原子核と電子で構成されており、中心の原子核の周辺に高速で運動する電子が存在すると思われています。原子は原子核の大きさの概ね十万倍ほどあり、物質はいわば隙間だらけということが言えます。

 ではなぜ、隙間だらけの物質が互いに別の物質を空間的に排除できるのか、言い換えれば人間の体が地面にめり込んでいったりしないのかと言えば、その電気的性質によります。有名な作用反作用の法則が成り立つのも、根元的にはそれが理由であると考えられます。

 では、真空が電子のような負の電気的性質をもつなんらかの素粒子で満たされているとしたら、物質など存在できないではないかという疑問が生じます。ディラックの考えた真空は電気的には属性を持たない、負のエネルギーを持った素粒子で満たされていると説明されます。負のエネルギーとは生活感覚では実感しにくい概念ですが、相対論や量子力学の一つの答と考えてください。ディラックはむずかしい方程式を解いて得られた結論を現実とあわないとして一度は捨てようとします。しかしありそうもない答から発展させて、この理論を完成に近づけたといいます。

 さて「ディラックの海」ですが、その素粒子を電子で考えた場合、強いエネルギーを持ったガンマ線の作用で、この電子の海に「穴」があき陽電子と電子という物質がペアで生成されます。「真空」に電磁波などの強いエネルギーがはたらくと、エネルギーが持ち上げられ、プラスのエネルギーを持つ電子がたたき出され、後には「穴」が残ります。そしてその穴は素粒子として観測されるだろうとディラックは予想し、「反電子」と名付けました。1933年には宇宙線の中にそのような素粒子「陽電子」が発見され、ディラックの理論の実証に寄与します。(宇宙線の簡単な説明は#258855をお読み下さい。)相対論ではエネルギーと物質が等価とされますので、このようにして、物質と反物質の生成がくりかえされたと予想されています。

 冒頭で紹介した「真空とは何か」によるとディラックはこの理論を導入することによって相対論的運動方程式から導かれた一つの答である電子の負エネルギー状態に関して、信頼できる回答を与えたといいます。もちろん、私にはこの運動方程式を実際に解く能力はないので、これ以上の説明はできませんが。

 ただし、「真空を満たす物質」が何らかの観測にかかるかというと、その特性からそれはあり得ないそうで、完全犯罪は存在したんだという主張と半脈通じるところがあるのかもしれません。しかしこの真空論は机上の論理かというと、あながちそうでもなく、非常に短い間に素粒子の対創生と対消滅を繰り返す真空空間の揺らぎがある現象に与える理論上の作用が、実際観測される作用とよく一致することもあるそうです。(具体的に何のことかは参考にあげた本を読めば分かると思います。)

 真空とは非常に奇妙な存在です。重力や電磁波などの力を伝え、何もないところから物質を生み出す、考えてみると何もないと思われている空間の性質が根元的にすべての物性を与え、ひいては私たちの目にする世界や我々自身の存在、意識活動を存在せしめていると考えるととても不思議です。この本の中で私が一番興味深いと思った言葉をご最後に紹介しておきます。

 「真空とは自然そのものである」 


http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~miyake/D/QM …

参考URL:http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~miyake/D/QM …
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この回答へのお礼

たくさん説明書いて頂きありがとうございます。素人なので、ちょっと理解が難しいんですが、なんとなく分かったような気がします。でも観測にかからないということなので、私にとっては、相対性理論のいろんなパラドックスのように、普通の感覚では理解できないとおもってしまいました。ありがとうございました。

お礼日時:2002/04/28 21:38

> 私が聞いたのはやっぱり嘘だったんですかね



嘘じゃありません.
本当です.
真空という言葉の定義とも関係しますが
ディラック(物理学者,ノーベル賞受賞)以来,
このような表現が使われています.

http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=159847
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=153469
をご覧ください.
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この回答へのお礼

ありがとうございます。負のエネルギーをもった電子って事ですか?
私は、単純に原子核の周りを回ってるあの電子がビッシリだと解釈してました。これはまちがいですよね

お礼日時:2002/04/28 21:35

絶対真空というのはまったく何もない状態のことをいいます。

ただし人類が作ることができない理想状態のことを言います(科学計算などに使用しました)同じように絶対零度も人類は造ることのできない理想状態のことを言います。
ですからtaurus4さんの質問でマイナスイオンが詰まっている状態と言えば絶対真空とは言いません
真空の定義によってはそんな考え方があるのかもしれません
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この回答へのお礼

ありがとうございます。私が聞いたのはやっぱり嘘だったんですかね

お礼日時:2002/04/28 20:37

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