
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
今晩は。
そろそろ一月になりますので、いい加減この辺で参加します。こういう総合的な質問は結構答える方も大変でして (^^;
溝口のサイレント末期(「滝の白糸」辺りから後。要するに彼の作風が定まってから)以後の作品は、大体、女性を主人公とするものでもいくつかに大別することが出来るでしょう。
1.男がなんだ、世の中がなんだ。わたしはわたし。例え男に踏み付けにされようと、逆に踏み付けてでも生き抜いてやる。
2.男や社会、時には同じ女からさえも踏みにじられて落魄して行く哀れな女。
作品によってはもう少し詳しく分けた方が良いものも有ると感じますが、女性が主人公の作品では大体この二つが主な内容の分類です。3番目を挙げるとすると、
3.弱い者、虐げられる者への共感に満ちた作品(2と共通する場合も多い)。
となります。
1には、「祇園の姉妹」、「夜の女たち」が挙げられます。遺作「赤線地帯」にもこのタイプの女性が出てきますが、この作品についてはのちほど改めて記します。
2は、「滝の白糸」、「浪華悲歌」、「西鶴一代女」。
3は、「雨月物語」、「山椒太夫」、「近松物語」、「赤線地帯」。
およそこんな感じでしょうか。2と3の境界はやはり画然としたものではなく、3で挙げたかなりの作品も、2で良いのではないかと感じています。とにかくここで挙げた作品はいずれも彼を代表するものと言って良いでしょう。
溝口作品の魅力は、とにかく徹底的に本物を創り上げようとした点かもしれません。小道具やセット、演技、などなど。時代劇だろうと現代物であろうと、観ていて違和感を覚えることが有りません。これこそが彼の芸術ではないでしょうか。現在の映画でSFXを使って、本物らしく見せるなどというのとは全く考え方が違います。彼が創ろうとしていたのはまさしく本物だったのだと思います。
もう一つは、どの傾向の作品においても、人の本質を抉り出そうとしていたことでしょう。1の作品ではどうやっても共感など感じませんが、それだって人の真実の姿であることには違いありません。2や3の作品で哀れを覚え、心を打たれるのは人としては心を洗われる行為とも言えるでしょう。
まぁ、こういったことをあまり難しく書こうとしても役に立ちはしませんが。要するに、今まで挙げてきた作品はほとんどが名作なので、素直に一度、観て下さいと言うことです。強いて挙げると、「西鶴一代女」と「近松物語」が双璧ですが。
最後に「赤線地帯」です。この作品で彼は1、2、3すべての要素を取り入れた、それまでの彼の仕事を総合し、更にその先を目指そうかという境地に至りました。遺作とは言えかなり地味で、あまり取り上げられることもないと思います。しかしここに描かれた女たちは、生きていることの素晴らしさを、辛いことや悲しいことも含めて、教えてくれます。私は傑作だと思います。
買収防止法施行直前の混乱期に、初めての客を自らの力で見つけて商売をしなければならなくなった少女の姿は、哀れを通り越して鬼気迫るものさえ有ります。
尚、1番の方が言っている「包丁」は、正しくは剃刀で、女性関係がもつれての結果でした。女を描き続けた溝口らしい事件だったかもしれません。
No.2
- 回答日時:
もしかしたら、ちょっとマニアックかもしれないんですが、
『残菊物語』という映画が私は好きです。
1939年作品で、ストーリーは波瀾に満ちた人生を送った
歌舞伎俳優・尾上菊之助(多分六代目・菊五郎のことだった気が
するんですが…)を生涯支え続ける妻の話です。
切ない話ですが、主人公・尾上菊之助を花柳章太郎、
その親友の中村福助を高田浩吉という美形スターが演じていて、
とても美しい映画ですよ。
古きよき時代の梨園が描かれています。
私の溝口監督作品の魅力は、
スクリーンを通して映している映画の世界の匂いを
感じられる気がするところにあると思います。
例えば、歌舞伎の舞台のシーンだったら、
役者が飛び回る度に舞い上がる埃の匂いとか、
芸者と遊ぶシーンは、白粉の匂いに鬢付け油の匂い、
着物から香るお香の匂い、またアルコールの匂いなんかが
ふっと漂って来るような感じがします。
抽象的ではありますが、最近こういう映画が減ったなぁ、と思うので。
No.1
- 回答日時:
溝口、いいですよー。
「雨月物語」が、一般的には一番評価が高いのではないかと思います。
たしかヴェネチア映画祭でグランプリとってます。
個人的には、「近松物語」が超オススメです!
レンタルビデオだったのですが、あんまり面白かったので、二夜連続で観てしまうほどでした。
あと、クレジットに田中絹代(出演)、宮川一夫(撮影)、依田義賢(脚本)が載っている作品は、
どれもすばらしかったと思います。
いちおう、恵比寿のTSUTAYAの溝口健二コーナーは、なかなか充実してます。
溝口さんのすごさは、リアルな女性を描けることではないでしょうか?
もう、女性の美しさと情念の極致って感じです。
うわさでは昔、女性に包丁で背中を切りつけられたことがあるとか...(コワ~)
溝口さんの人となりについては、「ある映画監督の生涯」(監督:新藤兼人)
というドキュメンタリー映画で、いろいろ知ることができると思います。
では!
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