No.2
- 回答日時:
教科書は主に「無難な歴史」を載せますから、たいていは信頼が置けます。
ただ、学会の勢力図などで記述が変わることがあり、たとえば日本史では頼朝政権の設立は征夷大将軍任命の1192から、平氏を滅亡させ実質的な権力者となった1185年としています(これについては、別に学説が近年いきなり変わったものではないのですが、どうも4チャンネルなどでこういったのを喧伝している番組の悪影響で、いきなり変わったような印象を与えているかもしれません)。
世界史も、たまに記述が変わったりしますが、基本的には無難な歴史しかのっておらず、信頼して問題ないと思います(なお、本当に疑うつもりならば、学術書や当時の書物を読んで検証する・・ということになるのですが、これは大学以上でやることなので)。
ただ、今後大きく変更がある可能性があるのは、古代以下の考古学系の歴史でして、新発見で記述が一掃される可能性は十分にあります。たとえば、つい150年前まではトロイ戦争はホメロスのつくったフィクションだと考えられていました。で、結局シュリーマンという、考古学者と呼べないような素人考古学者が行った、私財を投げ込んでの、しかも遺跡を破壊しまくったため今の学者は大迷惑しているというおまけつきの発掘で、どうやら本当らしいことが実証されました。
また、つい100年前までは殷王朝は存在が実証されておらず、その後発見された10万点の資料から存在を確定しました。
さらに現在では、その前の夏王朝の存在は確実視されているものの考古学的発見がないため足踏み状態となっています。夏王朝などは、数年のうちに記述が変わる可能性のある箇所でしょう(ただ、見つかるともう20年以上言われているのですが、まだ見つからない)。
もうひとつ、逆に信憑性を置かないほうがよいのは100年から60年前の歴史でして、特にこれは日本史ですが・・・教科書問題とかが近年でも話題になり、ニュースにもなっていましたが、そういった部分がある箇所ですので、それなりに気をつける箇所はあるかもしれません。
ただ、日本史だとこの部分は真っ先に疑うべきなのですが、「広く広く浅く」が実情である世界史では、本当に事実列挙だけになる可能性もあるので、あんまり気にする必要はない箇所かもしれません。
この回答へのお礼
お礼日時:2007/12/28 20:44
そうですよね。世界の研究者が深く研究している中で、世界史の研究で浅い所で間違っていたら話にならないですよね。ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
歴史の勉強というのは本来ものの見方、解釈の仕方を学ぶための
学問であるべきで、事件や出来事を記憶するためではありません。
例えばスターリンは20世紀最大の悪人と言われていますが、
ではそういう人がなぜ大統領として国をおさめられたのでしょうか?
スターリンを「悪人」と覚えるだけでは片手落ちなんですね。
スターリンのリーダーシップはどこから生まれて来たのでしょう。
ってこれは実はイギリスの中2の歴史の授業の一つの章です。
そういう感じでそれぞれの章の一番のトピックについて推理小説の
ようにウラを読んでいくことをやってみると興味が出てきませんか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
基本的には、日本史であれ世界史であれ、教科書の内容は、現在の日本国内における「有力な仮説でしかない」と考えて貰えればと思います。
歴史というのは、そもそも自然科学や数学など、万人が受け入れられる「真実(法則)」を見つけるのが難しい(というよりほぼ不可能)な学問なのです。
歴史学というのは、基本的に誰かが書き残した文章記録から、「過去にあった出来事」を明らかにしようという学問なんです。
しかし、この「誰かが書き残した」というのがくせ者で、「誰かが書き残した=真実そのもの」とは限らないからです。
さらに、この「誰かが書き残した文章から、過去に○○という出来事があった」と解釈する人が居ます(これが主に歴史学者です)
これを分かりやすく言うと
1・誰かが書いたのだから、その時点で書いた人の主観が入る。(一次史料)
2・そして、その情報を読んだ人(研究者)の主観が入る。(二次史料)
3・最後に、その研究者の論文を読んだ人の主観が入る。(私)
「真実(出来事)→一次史料→二次史料→私」、という風に情報が加工されていくことになるんです。
言い換えると、この順番でそれを書いた人・読んだ人の「主観」が入る。
私は真実を知りたい、と望みます。
そうすると、「私→二次史料→一次史料→真実」、と遡ることになる。
もちろん、「私→一次史料→真実」、とする事も出来ます。
しかし、「私→真実」、という風には出来ないんです。(それをするには、現在進行形=今、まさに起こってることしか無理)
となると、どこまで一次史料や二次史料が真実を語っているかを見極める必要が出てくる。
その為には、第二、第三の一次史料・二次史料を参考に、それらの相違や正誤を精査していく事で、情報を真実に近づけていきます。
この過程で、考古学・古文書学・社会学・金石文学・民俗学etc,,,と歴史補助学と言われる学問の助けも借りて行われます。
こうして、出来るだけ「客観的」になるように努力がなされるのです。
はたして、これ(客観化すること)は可能なのか?という問いが何度も発せられ論争されています。
これは主に「歴史哲学」と言われる分野なのですが、悲しいかな日本ではあまりはやりません。
しかし、「歴史を見る目」を養うためには重要な学問であり、個人的にはまず「歴史の授業」をやる前に「歴史哲学の授業(あるいは歴史学の歴史)」をやるべきだと思っています。
ともあれ、歴史というのは「人間の主観」が入る余地が大きく、それ故に(「歴史教科書問題」に代表されるような)問題が多々起きる事になります。
「人間の主観が入る余地が大きい」というのは、同じ真実を語る場合でも、その人の「社会的・思想的・政治的な価値観」が(意識的であれ、無意識的であれ)入り、その結果余「歪曲・無視・捏造・偽造・誤謬etc,,,」が行われます。
なので、「社会的・思想的・政治的な価値観」に相違があるばあいに論争が起きることになります。
また、政治家や思想家、漫画家、作家、ジャーナリストなど、社会的影響力が大きいにも拘わらず、歴史学の訓練を受けたことのない人が発言した場合、それは「歴史の問題」ではなく「政治や思想の問題」にすり替わることが多いとも言えます。
本来の「歴史教育」というのは、こうした「政治や思想の問題」に歴史が利用され、それによって私たち個々人が欺されないようにするために成されなければならないと思っています。
しかし、現実は「国民意識・民族意識」を受け付ける教育がなされるのが、世界の主流と言えます。
長々と書いてしまいましたが、「教科書の内容は有力な仮説である」と考えてください。
そして、興味があれば是非、「真実は何か」を探求してみてください。
最後に、関連質問で私が以前回答したQ&Aを貼っておきます。
http://okwave.jp/qa3170977.html
http://okwave.jp/qa3142213.html
歴史哲学の参考書
渡邊二郎『歴史の哲学 ー現代の思想的状況』(講談社学芸文庫)
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81 …
http://club.pep.ne.jp/~y.hosoya/booksreview/reki …
No.6
- 回答日時:
教科書然り、その他の ものの本 も然り、描かれていることは、「事実」で経ったとしても、一面的・限定的で、全てが描きいれていることは少ない=いわゆる「群盲象を撫でる」偏りのあることをまずしっかり認識しておかなければなりません。
もうひとつ、時々の体制や施政者にとって「都合の悪いことは描かない」一方的な偏りが避けられないという問題もあります。
例えていえば敗戦後の日本では「太平洋戦争」を語るときに侵略者とか、日本人の極悪非道武備ばかりが描かれ、英雄的な働きをした人のことなど、全く描かれることはありません。これは、日本が勝利した日清・日露戦争の描かれ方とは全く正反対となっています。
日清・日露の戦争では太平洋戦争と同様、虐殺、非道のも数多くあったのに、「勇敢なる水兵」とか「広瀬中佐」「橘中佐」などの英雄的行為ばかりの記述が目立ちます。太平洋戦争では、この逆で英雄的行為が描かれることはありません。同じ戦争なのに、描かれる方向が全く正反対なわけです。
現在起こっている種々の中東紛争でも、自由陣営側(アメリカ側?)に立つか、イスラム世界の側に立つかによって、紛争の正邪は正反対となってしまうでしょう。
No.7
- 回答日時:
昔、私もそのように考えたことがありました。
もしかしたらいずれ反証されて覆されるかもしれないような仮説を、貴重な時間と労力を費やして学習する必要があるのだろうか、と。
しかし、学習を進めてゆけばいずれは気付くのですが、定説というものは、その確度に限らず常に反証の可能性にさらされている不安定なものであり、結局のところ、その反証を続けること自体が学問そのものである、ということです。
歴史学の場合、ある史料があったとして、それを基に定説が作られ、別の史料との比較によって傍証なり反証がなされ、また発掘や統計の成果により反証や実証がなされ、また同一の史料から複数の解釈が成立して検証が競われ、といった繰り返しで研究が進められ、その時点におけるもっとも多数の支持を得る定説が学問の成果として教科書に採用されます。
言い換えると、定説を学ぶことは学問のための前提であり、それ自体が学問なのではありません。
むしろ、定説を疑うことから学究的な思索が生じるものなのです。
信憑性に疑問があるなら、その疑問ごと頭に入れましょう。
疑うということは科学的・論理的な思考の始まりであり、実証や反証のための思弁法や科学的手法などの応用価値のある高度な能力を身に着けるためには不可欠です。そして単なる疑心を高度な能力に成長させるためには、今の定説がどのようなもので、どのようにして成立したのかを学ぶ必要があるわけです。
そもそも、研究者同士はそれぞれ同一の定説について熟知していなければ議論することすらできませんから、つまり定説とは学問の成果であると同時に共通言語であり、多くの研究者によって鍛えられたデータベースであり、また学究技術を試験するツールでもあるのです。
一般的な信憑性、という点についての回答にはなっていませんが、以上のように考えれば勉強の助けにはなるかもしれません。
この回答へのお礼
お礼日時:2007/12/28 20:17
ベースになる物ですから、やはり大事ですよね。疑問の念は消えないかもしれませんが、おっしゃられるとおりに疑問があるまま頭に入れてしまおうと思います。ありがとうございました。
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