開発経済学の初学者です。
途上国の開発が先進国の経済にどのような影響(プラスorマイナス?)を与えるのかということについての質問です。
開発経済学の目的は、一般には「途上国の貧困を解消すること」といわれます。それは納得できます。ただ、私のような素人が考えるには、途上国が貧困から脱出することは現在の先進国にとって自分たちの地位が脅かされることにつながるのではないでしょうか。例えば、アフリカの貧しい国々が急速に経済発展を遂げて先進国並みに産業を発展させた場合、それまでに先進国が持っていた市場をそれらの国々に奪われ、先進国の産業に打撃が与えられるといったことはないですか?
ただ、先進国でも開発経済学の研究が進んでいることを考えると、上のような考えは素人的意見であり、途上国の開発は先進国の経済にも好影響を与えるものなのかな、とも思っています。
そこで質問なのですが、途上国の開発によって、先進国の経済にどのような影響が、どのような過程で与えられるのでしょうか。究極的には、途上国の貧困が解消されるのが先進国の経済にとっていい影響を与えるのか悪い影響を与えるのかといったことを知りたいです。あまり予備知識はないので分かりやすく説明していただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
No.1
- 回答日時:
今年から経済学を学ぶことになったibm_111です。
簡単に言うと、
途上国が開発される→途上国の所得があがる→
輸入も増える→先進国からの輸出も増える→
先進国経済も潤う
途上国が開発される→途上国のマーケットも大きくなる→
先進国の資本家も潤う
途上国が開発される→途上国ではインフレ→
途上国の通貨価値の上昇→先進国の相対的な通貨価値の下落→
先進国ではデフレ
ぐらいが考えられるんじゃないでしょうか。
どうもありがとうございます。
ただ、ご回答の最初の2つのようにうまく先進国が恩恵をこうむるのかというのはまだ少し疑問です。途上国の中から第2の中国が出てきて、知的労働者と安い賃金を武器に、先進国の脅威になるということはないでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
なるほど、私も同じようなことを考えていました。
>一般には「途上国の貧困を解消すること」といわれます。それは納得できます。ただ、私のような素人が考えるには、途上国が貧困から脱出することは現在の先進国にとって自分たちの地位が脅かされることにつながるのではないでしょうか
私が一番関心を持っているのもまさにこの点です。私の結論は、今の経済学という学問は「先進国を発展させる道具」でしかないという点です。「途上国の貧困を解消すること」とうのは表面上の理屈です。その証拠に、今経済学の主流となっている考え方は「新古典派」と呼ばれる人達の考え方です。その考え方とは(1)自由貿易(2)規制緩和(3)完全競争(4)それによる完全資本主義です。要するに、政府は国家に介入せず、経済を市場に任せる。簡単に書けばこういう考え方です。
97年にアジア通貨危機が起こって以来、アジア各国はそれまで継続してきた経済体制(日本型経済)に原因があり、その体制を壊して米国(新古典派)の主張する「完全資本主義」、「自由競争主義」を取り入れないと経済がうまくいかないという意見が外部(EU、米、IMF)からもアジア各国の国内(米国の大学で新古典派を学んで来た者や米国の親派)からも主張されるようになり、ついにアジア各国は欧米型の経済体制(自由競争主義)を導入しました。しかし、その完全資本主義経済体制はアジアの途上国に発展をもたらしませんでした。それどころか、せっかくこれまで回復しつつあった貧困が急速に広がり始めました。この経済混乱に乗じて欧米各国はアジアの企業を買収しまくったのでした。
これが欧米の策略であることは明白なのですが、しかし、それが欧米の戦略の一環だとしても、完全資本主義経済が本当に貧困を解消する社会科学なら、すくなくともあれほどの混乱は起こらないはずです。むしろそれまで続けていた日本型経済体制の方がうまくいっていた。それを規制緩和させて準備がととのうと、金融的な攻撃により資本を一気に引き上げてアジア危機へと落とし入れたのでした。では、欧米はウソをついていたのでしょうか。結論は「まっかな嘘」だったのです。完全資本主義に言えることは生産効率が上がることによりGDPが上昇しやすくなる、ということだけで、安定的な成長も、貧困も、失業問題の解消も、その経済体制では解決できないのが実際の現状です。むしろその役割を果たしてきたのはそれまでアジア各国が導入していた日本型経済だったのです。
ここで考えると、欧米はアジアの発展途上国を「発展させるため、貧困を解消するため」にアジア危機を起したのではない。ということが分かります。むしろ現状はその逆で、アジア途上国を蹴落とすためにしか見えません。
戦後、日本と米国に貿易摩擦という問題が生じましたが、1980年代後半からアジア各国からも米国への輸出が拡大し、米国の貿易摩擦は拡大する一方でした。1989年頃になると、米国の貿易赤字の約7割強が日本からの貿易赤字で、アジア各国を含めた貿易赤字はなんと9割近くにまで達していました。ちょうどその時期は、ソ連が崩壊が確実になり、日本が米国の物件や企業を買収しまくっていた時期で、米国は日本を盟主とするアジアに恐怖しました。
そして、驚異的なアジアの攻勢に対抗するため、米国はアジアの経済を潰す戦略を計画しました。90年代米国は強行に規制緩和をあらゆる会談で要求し、国をある程度オープンにさせておいて97年、資本を一気に引き上げ、アジアにおける大恐慌を引き起こしました。その結果、アジア各国は欧米の商品を買うようになりました。アジアの企業はことごとく買収されました。途上国においては貧困が再び拡大し、失業率は増加、GDPはマイナス成長で、ほとんどどうしようもない状況になりました。
欧米はソ連が崩壊した時点で、アジアを野放しにできないと判断し、弱いところから踏み潰したということです。その点では何らかつての植民地支配と変化がありません。
結論は途上国の発展は「欧米の利益になる発展」なら容認、黙認されます。しかし、そうでない場合は先に見たように容赦なく自国に従属させるのです。従属させられる国に拒否権はありません。そのどちらかであると言えます。
詳しいご説明をどうもありがとうございます。
やはり世界は米国のエゴで動いていますから、世銀・IMFも米国にとって有利なようにしか政策を打ち出さないのが現状なんでしょうね。残念なことです。
No.3
- 回答日時:
>ご回答の最初の2つのようにうまく先進国が恩恵をこうむるのかというのはまだ少し疑問です
ええと、標準的なマクロ経済学なら、
恩恵をこうむることは間違いないと思います。
問題は誰が潤うか、です。
途上国の発展により、先進国の物価が下がれば消費者は利益を得ます。
しかし、生産者には不利益になるわけです。
そして、一般に生産者は消費者より団結していて
自らの論理を政治家に伝える業界団体があったりします。
また、生産者団体は、マスコミにも登場しやすい、
ナショナリズムを煽りやすいという性格を持っています。
日本の例でいうと、米・牛肉・オレンジなどの問題がかつてありました。
したがって、先進国側の論理としては
途上国の発展に寄与した場合の自国の消費者の得る利益+生産者の利益・不利益と、
発展に寄与しなかった場合の自国の消費者の被る不利益+生産者の利益・不利益
のどちらが大きいかを算定する必要があります。
一般にどちらが大きいかは私には分かりません。
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