
大阪には戦前から「アホ」を売り物にするコメディアンが輩出し、人々に受け入れられて来ました。
2代目ラッパ(平和ラッパ)のアホぶりは大村崑、藤山寛美と共に「大阪三代アホ」と呼ばれるほど人気を博しました。芦屋子雁もアホ役を演じていましたし、坂田利夫も「アホの坂田」として人気を取りました。
実は芸人だけの話ではなく、私が経験してきたことがあります。
大阪では職場でも家庭でも、何かシクジリをした時「オレってアホやな」という態度を取ると、笑いになってその場の雰囲気が和んだのですが、
大阪以外(高知や北海道)で、こういう態度をとると、本当にお前は能無しだと見下げられてしまうので、特に職場では致命傷になりました。ですから、大阪以外では、自分が能無しであるなんて態度は絶対に取れないわけです。
こういう大阪の特殊性は歴史的にどうなんでしょう?落語でも江戸と上方では、上方のほうが笑いの要素が多いですね。河内の木綿畑で働いていた若者達が大阪の船場に奉公するようになって、大阪の笑いの土台というか、担い手であったとか読んだことがあるのですが・・・。
何故アホが評価されるのかを含め、大阪の笑いの発祥や経緯が分かりません。
ご存知の方宜しくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
もし大阪がお笑いで特別だとしたら、大阪の文化が他と比べて成熟した文化だと言うことになるでしょう。
でも、私の印象では大阪と限らず、成熟した文化ではどこでも洗練された阿呆や馬鹿の振る舞いは高く評価されていると思います。反対に、それを蔑む文化は未熟な文化だと宣言しているような物です。その文化の成熟度を測る上で面白いことを、日本に6年住み、その後アメリカに10年以上住んでいるイギリス人から聞いたことがあります。その方に言わせると、イギリス人はアメリカ人よりも日本人に近いと言っていました。彼が日本の飲み屋やバーで見知らぬ日本人の方と話しが弾んだとき、彼が日本人に向かって、貴方は何をやっている方ですか、と聞くと、殆どの日本人は「私はただのサラリーマンですよ、それほど大した者ではありません」と答えるそうです。そんなところが、イギリス人とそっくりだと言っていました。
ところが同じような場面で、アメリカ人は、「私は今本屋で働いています。でも、本当は私はライターなんで、本なんか書いているんですよ」なんて答えが返って来る。どうもアメリカ人は、全員が平均値より上の値を持っていないと気が済まないようだねって、そのイギリス人が言っていました。
では何故そうなのか。成熟した文化では、言葉では尽くし切れない人間の深みや多様性が良く理解されていて、謙遜とか謙譲が美徳とされています。ところが、弱肉強食の未熟な文化では、幾重に剥がしても剥がし切れない人間の裏が見えず、人間を単純に言葉通りで理解できると思い込んでいるようです。だから、自分を卑下するとその言葉通りに理解されてしまい、本気で馬鹿にされてしまう。だから、未熟な文化では、自分が阿呆だ馬鹿だと言うことが危険なのですね。
事実、イギリスのコメディーとアメリカのコメディーとは質が全然違いますね。イギリスのコメディーのお笑いは、例えばモンティ・パイソンなどを見ても、同じ阿呆でも、決してそれが知恵遅れの阿呆と言う形では表現されていない。ところが、アメリカでは例えば、ジェリー・ルイスで代表されるように、知恵遅れの真似で人を笑わせていますね。それだけ、イギリスの文化はアメリカよりも進んでいるのだと思います。
大阪喜劇でも、藤山寛美や大村崑あたりは一寸危なかったけど、花菱アチャコや芦屋雁之助や藤田まことなどの他の喜劇役者達は阿呆役はやっても、単に知恵遅れを看板にして笑わしていたとは思えない気がしますが、どんなもんでしょうか。
また、粗忽者のお笑いは戦前当たりから喜ばれ始めたわけではなく、能の合間にやる狂言では、阿呆や粗忽が大活躍しています。
貴重な回答と情報ありがとうございます。
昔、モリエールの守銭奴を読んだ時、笑いが止まらなかった経験があるのですが、笑いに関して余り皆さん興味がないのか、回答が貴方以外にありません。
能の発祥も上方ですかね?大阪という風土がなぜ笑いを評価するのか、自分で研究するしか答えは得られないのかも知れません。
No.3
- 回答日時:
大阪城内でお侍さんたちが、大阪弁でまつりごとの議論するところを想像すると楽しいですね。
お侍さんの中にも自虐的にアホを演じる方々がおったとすると、東京とは異なる大阪の文化が感じられますなぁ。
回答有難うございます。
確か大坂の侍人口は1%だったと思いますよ。
幕府の直轄領でしたから、江戸から来た侍たちが大阪城にも居たのではないでしょうか?
従って、城内で「それは儲かりまへんで」とか言った大坂弁の会話はなかったかと・・。
私の知識ではそうなんですが、もう一度確かめてみます。
No.2
- 回答日時:
他に回答者がいないようなので、もう一つ日本人の笑いに付いて参考になると思えることを書いて置きます。
笑いは必ずしも喜劇だけでない。人を侮辱するときにも笑います。江戸時代の昔の借金の証文の中に次のように、もしお金が返せなかったら、人前でお笑い下さい、と書いてありました。「恩借の金子御返済相怠り候節は衆人の前にてお笑いなされ候とも不苦候」
日本人の笑いには幾重に剥がしても剥がし切れない奥深い情報がしばしば隠れています。この日本人の奥深い笑いを柳田國男が詳しく分析していますので、図書館にでも行って『定本柳田國男集』(筑摩書房)で読んでみて下さい。今偶々手元に無いのでどの巻だった忘れましたが、別巻第5巻の総索引で「笑い」と引くと簡単にその巻が見付かります。
再度の回答ありがとうございます。
私も文化人類学系の領域が好きなので、割合読んで来たのですが、しばしば柳田國男さんの名前が出て来ました。色んなことを研究されてるお方ですね。
そう言えば、人を嘲笑する時、なぜ笑うのでしょうね?機会を見つけて柳田國男の分析を読んでみたいと思います。
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