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福島第一原子力発電所の事故の冷却水にホウ酸を混ぜる、とニュースでやっていました。
またどこかの国からホウ素何トンをもらった、というニュースもありました。
ホウ酸やホウ素を混ぜる意味は何なんですか?
教えてください。

A 回答 (2件)

 原子核に中性子が衝突すると、衝突して来た中性子と結び付く事で、原子核の中に中性子を取り込んで吸収してしまう事があります。


 中性子を吸収する確率は、原子核の種類によって異なっていて、中性子を殆ど吸収しない種類の原子核もあれば、良く吸収する種類の原子核もあります。
 一口にホウ素と言っても、全て同じ原子核を持った原子ではなく、原子核中に陽子と中性子を5個ずつ持つホウ素10と、5個の陽子と6個の中性子を持つホウ素11が存在します。
 ホウ素10はホウ素全体の中に19.9%しか含まれていませんが、中性子を吸収する確率が非常に高く、ウラン235の5.6倍も吸収し易いのです。
 このため、ホウ素全体の中性子吸収確率を平均すると、ウラン235の1.12倍と、天然にある物質の中では、高い確率になっています。
 核分裂反応が持続するには、核分裂反応で放出された2~3個の中性子の内、少なくとも1個が別のウラン235の原子核に吸収されなくてはなりませんが、ホウ素という、中性子を吸収し易い物質があると、中性子がホウ素10の原子核に吸収されてしまい、中性子の数が減るため、ウラン235の原子核に吸収される中性子の数が減って行き、核分裂反応が停止してしまいます。
 ですから、ホウ素を含んでいる化合物であるホウ酸を混ぜた水を原子炉の圧力容器内に注水すれば、核分裂が起きる心配が殆ど無くなります。

 因みに、中性子を吸収する確率が特に高い原子核を持つ物質には、ウラン235の59.8倍の吸収確率を持つサマリウム149、13.5倍のユーロピウム151、89.2倍のガドリニウム155、371.9倍のガドリニウム157等がありますが、これらはレアメタルで、資源量が少なく、高価なため、緊急時に大量に集める事は出来ませんし、水に溶ける化合物の形では、大量に保存されていません。(これらの物質が制御棒に使われていない理由は他にもありますが、注入する水に混ぜる事が出来ない理由にはならないため、割愛します)
 ウラン235の3.7倍の吸収確率を持つカドミウムであれば、ある程度の量を集める事は出来ると思われますが、水に溶ける化合物の形では、大量に保存されていませんし、ホウ酸よりも毒性が高いという短所があります。
 ですから、大量に直ぐ用意出来て、価格も安いホウ酸の方が便利な訳です。

 処で、原子炉の制御棒の材料にも、中性子を吸収し易い物質(ホウ素の場合が多いですが、カドミウムが使われる事もあります)が混ぜられていて、原子炉を運転している時には、制御棒を出し入れする事で、原子炉内部に存在する中性子の数を調整して、核分裂反応が進む速度を調整しています。
 そして、原子炉は、地震の様な異常事態が発生すると、自動的に制御棒が全て挿入されて、核分裂反応を停止させる様に設計されています。
 福島原子力発電所でも、地震の際に制御棒が自動的に挿入されましたから、ホウ酸水を注入するまでもなく、既に核分裂反応は停止しています。
 そして、制御棒を引き抜かない限りは、原子炉内で核分裂反応が再開する事はありません。
 ですから、ホウ酸水を注入する必要は無いのですが、万が一、何らかの予想外の事が起きた場合でも、核分裂反応起きる心配を減らす事が出来る様にするために、あくまで念のために注入する水にホウ酸を混ぜているのだと思われます。
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ホウ素は、中性子を吸収する性質があるそうです。



通常は、ウランが核分裂を起こした時に中性子を放出します。
その中性子が近くのウランに当たり、核分裂を起こしてまた中性子を放出する、というような連鎖反応で発熱させています。
その為、放っておけばどんどん発熱するので、軽水(真水)に浸し、制御棒で覆う量を調整し、無闇に発熱しないようになっています。
今回の原子炉の型では通常使用しないのですが、他の型では使用されているホウ素を混入させる事で、更に発熱を抑える処置をしているといったところでしょうか。
しかし水の量が少ない方が問題なので、苦肉の策とも言えるかもしれません。
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