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民法の、制限行為者の法律行為の取り消し効果で、制限行為者は変換の時点で現に手元に残っている利益(現存利益)を返却すればよい、とありますが、浪費の場合は返却の必要がなく、必要費に充てられた場合は返却が必要である意味が分かりません。

浪費に使ってしまったものこそ返さなければならないのではないでしょうか。

どうしても理屈が分かりません。
どうか分かりやすく教えてください。お願いします。

A 回答 (6件)

 例えば,制限行為能力者が受け取った金銭を家の修理に充てたとすると,その金銭に相当する利益(修理した分だけ家の価値が回復する)が制限行為能力者の手元に残ります。

ですから,その利得は返還の対象になります。

 制限行為能力者が,例えば金銭の意味が理解できずに,ゴミとして捨ててしまったのであれば,それに相当する利益は制限行為能力者の手元に残りませんので,返還の必要はなくなります。盗まれた場合も同様です。

 競馬・競輪・パチンコなどですってしまった場合にも,利益は残らないと理解されます。風俗あたりでも同じようなことでしょう。

 返還しなくてよい浪費とは,このような場合を指しています。要するに,盗まれたり,捨ててしまったと同様な場合を考えているのです。

 同じ浪費でも,高価な物品を買い込んだような場合には,その物品の時価に相当する金額は返還の対象になります。

 素朴な正義感からすると,何とも理解できないところですが,制限行為能力者は,取引行為の意味を(十分に)理解できない者ですから,制限行為能力者自身も保護する必要があるとして,原状回復義務を軽減して,善意の不当利得者と同様に扱おうとしたものと考えられます。
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 貴方が指摘する内田貴・民法(1)120頁の設例は、不適切ですね。

未成年者保護、ひいては、保護者財産の保護という観点を明らかに逸脱しています。

 浪費した金銭に関して現存利益なしとした判例は、いずれも、「浪費者」である準禁治産者(現在では被保佐人または被補助人に該当する)の事案です。我妻・民法講義では、この点に言及しています。

 その判例とは、大判昭14・10・26民集18巻1157頁、最判昭50・6・17金融商事判例485号20頁です。この二つの判例が根拠であり、参考文献です。判例をよく分析すれば、内田さんの設例は不適切だということがいえるのです。

 ちなみに、私も大学教授(民法)です(但し、来年4月から。法科大学院も兼務)。判例をよく理解すれば、法律がよく理解できますよ。更に、故きを温ねて新しきを知るという意味で、我妻・民法講義を紐解くことをお奨めします。
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2及び4の回答は、浪費が現存利益なしとされるのは浪費が病的である場合だけだということでしょうか?


これは、私も今まで誤解してました。私の使っている基本書でも制限能力者の場合は浪費したら現存利益なしとひとくくりに書かれていましたから。
この理論について明確に書かれている文献をご紹介願えないでしょうか。

また、ほとんどの基本書で制限能力者とひとくくりで説明されているのは、不適切だということでしょうか。
内田民法では、17歳のXが売却代金をセームセンターで使ってしまった設例で、現存利益なしとしているのは間違いだということですね。
京大の松岡先生が授業のレジュメで、未成年者が売却代金をパチンコで使ってしまった事例と生活費に使った事例を対比させていますが、これも設例が不適切と言うことなんですね。

>>一般の司法試験受験生などに反論されるような理論ではありません

これは、一般の司法試験受験生の多くが使っている内田民法ですら間違っているからですね。
法律と言うのは奥深いもんなんですね。大学の民法教授が正確に理解していないなんて。

文献の紹介よろしくお願いします。kyoujuさま
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 単純に、浪費の場合には現存利益なしという考え方は明らかに誤りです。



 従来の判例は、「浪費者である準禁治産者」の事案において、「現存利益なし」と判示したのです。これは、「浪費者」という浪費が病的である場合について判示された判例です。つまり、病的な浪費事案に限定適用されるべき判例です。その他の浪費事例については、非適用とされるべきものであり、これが正解です。

 この理論に関しては、私の立論に誤りはありませんし、ましてや、一般の司法試験受験生などに反論されるような理論ではありません。全く、正当な理論です。
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例えば、得た利益が現金だったとします。


そしてこの現金を
1:預金
2:生活費
3:遊び
として使った場合をそれぞれ考えます。
1:預金の場合
 預金は銀行に預けてあるだけですから問題なく残っていると言えます。よって現存利益として認められます。
2:生活費の場合
 生活していくためにはお金が必要なので、たとえ制限能力者の法律行為によって現金が入ってこなかったとしても、別の方法でお金を稼いでいるはずです。
ですから、制限能力者の法律行為によって得た現金を生活費として使っても、「元々予定していた生活費」が残っているはずです。これが現存利益として扱われます。
3:遊びの場合
 これが浪費してしまった場合ですが、制限能力者の法律行為によって現金を得たからこそ浪費することができたわけです。予定されていたわけではないのでほかに財産があったとしても、それは別の目的のための財産です。よって「制限能力者の法律行為によって得た現金が残っている」ということにはならないのです。ですから、浪費の場合は現存利益は無いとされます。
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例えば、高齢者で被保佐人の認定を受けた人が、契約相手方から受領した金銭をギャンブルに費消してしまい、全く残っていないという場合には,現存利益はないのかという問題があります。


 この問題につき、判例は、制限能力者が、債務の弁済や生活費に費消した場合には現存利益があるものと判示し、賭博に浪費した場合には現存利益はないものと判示しています。
 本問をこれらの判例に形式的に当てはめた場合には,ギャンブルによる浪費ということで、現存利益はないということになりますが、この場合には、民法121条但書の制限能力者保護という制度趣旨を考慮しつつ判断する必要があります。
 現存利益の返還は、民法703条にも規定されており、一般能力者であれば、どんな目的に費消したとしても、自己の他の財産からの支出を免れているのであるから、現存利益があるということになります。
 しかしながら、民法121条但書は同法703条の特則であり、現存利益という考え方を狭く解しています。例えば、商品の返還義務を負う買主が一般能力者である場合には、703条が適用され、その商品を不注意で傷つけてしまっていたら、損害賠償義務までが現存利益に含まれますが、制限能力者である場合には、121条但書が適用され、損害賠償義務は現存利益に含まれないものと解されています。つまり、制限能力者は、傷ついた商品をそのまま返すだけで免責されるということです。
 また、制限能力者には種々の種類があり、それぞれ保護の対象が異なっています。例えば、民法改正前の浪費癖を理由とする準禁治産者のように、浪費癖のある者を保護の対象とする場合には,浪費をするのが常ですから,金銭の浪費後は現存利益なしとして取り扱うこともありうるのです。
 前掲した判例は、この趣旨から現存利益なしとの判断を行ったものです。しかし、浪費した者がその他の制限能力者であったとしたら、単に浪費を理由として現存利益なしとする根拠はありません。したがって、前掲した判例の考え方は、限定的に適用されなければいけません。
 冒頭の被保佐人は、若干の判断能力の低下はあるものの、単に高齢を理由とする被保佐人ですから、たとえギャンブルに費消したとしても、自己の他の財産からの支出を免れたことになり、現存利益があるということになります。
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