先月自動車事故で父が亡くなりました。
やっと落ち着いてきたのですが、父が入っていた任意保険の人身傷害保険についてどのようになっているか保険に詳しい方に教えていただきたいです。
事故は父の不注意によるもので、過失割合は9対1か10対0になる可能性もあるとのことで、自賠責によっては保障されない可能性があるため、人身傷害保険がおりることになっています。
相手の方の損害は車体くらいで保障は任意保険ですべてカバーできたということです。
そこで、質問は二つあるのですが、
(1)父は55歳(高校中退)で、妻である母と、私含めて子4人(一人未成年)で、上限5000万円の人身傷害に入っていたのですが、自営業のためここ5年ほどは非課税収入であったため、逸失利益がどのように計算されるか。その年齢における平均収入によって換算されるのか、実際の収入で計算されるのか、その場合の額など教えていただきたいです。
(2)人身傷害保険は相続財産ではなく、民法に規定する損害賠償請求権を保険会社が支払うという性質のものであると聞いたのですが、そのため、民法711条の損害賠償請求権者である法定相続人ではない父の両親(祖父母)も受取人にあたるとのことで、委任状をもらってこいと言われ、もらってきました。
法定相続人であれば、母2分の1、子供が8分の1ずつだと思うんですが、両親も含めると混乱します。。。
人身傷害保険は前述のとおり損害賠償請求権の性質とすれば、どのように分配されるものなのでしょうか?
民法上は遺族全員が同質の損害賠償請求権を有すると考えられるので、同額で分配となるのでしょうか?
人身傷害保険は逸失利益も含めた保険金全額の分配は法律等に規定はなく、親族間で決めてよいということでしょうか?
もし保険金を受け取った人が他の権利者(父の両親はそもそも権利者?)に渡さない場合には請求されることになると思うのですが、その場合にはどのように分配額が決まっていくのでしょうか?
それとも請求はできず、一度受取を委任した以上受取代表者に保険金を譲渡したという扱いになるんでしょうか?
父の両親と母とはあまり仲が良いとは言えないため、問題となりそうなのです…
保険に詳しい方どうかご教授お願いします。
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
遺族年金は、遺族の生活保障を目的とするものと解され、受給権者の固有の権利とされ相続財産とはなりません。
死亡保険金は、受取人がお母様となっている場合には、保険契約における受取人の資格に基づいて受領するものですから相続財産ではありません。(最高裁昭和40年2月2日判決)
しかし、死亡保険金は相続財産ではなく、不公平が著しい評価できる特段の事情がない限りは民法903条遺贈や贈与には当たらないとする一方、特段の事情の有無については「保険金の額や遺産の総額に対する比率、同居の有無などを総合考慮し判断すべき」とし、「相続人間の不公平が到底是認できないほど著しい場合は、保険金を相続財産に加えるのが相当」としています。(最高裁平成16年10月29日判決)
特別受益として相続財産に加算された判例
東京高裁平成17年10月27日決定(家庭裁判月報58巻5号94頁) 遺産約1億134万円、保険金約1億円
名古屋高裁平成18年3月27日決定(家庭裁判月報58巻10号66頁) 遺産8,423万円、保険金5,454万円
遺産分割協議は、任意の話し合い、遺産分割調停、遺産分割審判の方法があります。
当事者間の任意の話し合いで合意できない場合、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てることができます。
任意の話し合いで解決した場合には、遺産分割協議書に遺産の明細と分割の内容を記載し、各自が自筆で署名し、実印を押印します。これがあれば、遺産分割後の、法務局での登記や銀行での名義変更等の手続きができます。(公正証書を作成する必要はありません)
ただし、質問者様のケースでは、未成年の相続人がいますので、全員が成人になってから遺産分割協議を行うか、家庭裁判所に未成年者の特別代理人の選任を申し立て、特別代理人が参加して遺産分割協議を行うかのどちらかとなります。
特別代理人はも分割協議の当事者以外であれば、誰でもよいので、たとえば母方の祖父や伯父の選任を申し立てることもできます。実務では、申し立ての際、家庭裁判所に遺産分割協議書(案)の添付が必要となります。
遺産分割調停は、家庭裁判所で、調停委員という第三者が入って相続人間で遺産分割について話し合いを行います。
遺産分割審判は、最終的に相続人間で話し合いがつかない場合に、裁判所が遺産分割の内容を決めます。もう話し合っても無駄だという場合には、調停をやらずにいきなり審判の申し立てを行うことができます。審判の結果に不服があるときは、審判の告知を受けた日翌日から起算して2週間以内に、審判をした家庭裁判所に即時抗告の申立てをします。抗告審は高等裁判所で行われます。
質問者様のケースでは、生命保険金の額が、相続財産の額と比較してどの程度かということで、生命保険金を相続財産とみなすかどうかになります。
相続財産に対して保険金が3分の2以上であれば、名古屋高裁の判例からも特別受益とみなされる可能性が高くなります。
もっとも、ご質問の中心である人身傷害保険金の分配については、法律や保険約款に具体的な基準はありません。
問題の父の両親(父方の祖父母)は、人身傷害保険金の請求権を持っているとはいうものの、民法711条の規定によるものですから、人身傷害保険金のうち慰謝料相当分に限定されると解釈すべきですし、その額の算定については、同居の有無や被相続人との日常的な関係など、遺族それぞれの事情によって勘案するというのが民法の規定です。
私見ですが、子の死亡に対する親の精神的苦痛と親の死亡に対する子の精神的苦痛を比較すれば、前者の方が大きいと考えます。4人の子の間では、婚姻の有無、同居・別居の別、扶養関係の有無によって精神的苦痛は異なると考えます。
ですから、配偶者、父の父母(祖父母)、同居の子、独立し別生計の子の順に差を設けるべきだと考えます。
慰謝料以外の部分については、法定相続人で分割すべきと解すべきですから、法定相続割合を軸にそれぞれの事情を考慮して、協議すればよいのではないでしょうか。
たとえば、大卒・専門学校卒の子があり、未成年の子が大学・専門学校への進学を希望している場合であれば、学費等の額を母または末子に優先的に分配するなどといった子の間で不公平を是正する方法です。ただ、これはあまり細かい話をすると、収拾がつかなくなります。
話し合いの順序としては、死亡にかかる人身傷害保険金の請求権者に、父の父母が含まれているのは、民法711条による近親者の慰謝料請求権に基づいている点から、人身傷害保険金のうち慰謝料相当額を算出し、請求権者それぞれの分配割合を決め、父の父母の分配額を決める。
残りの人身傷害保険金は、相続財産に加え、法定相続人で遺産分割協議を行うという手順がよいのではないでしょうか。
No.2
- 回答日時:
(1)有職者の逸失利益の計算は、だいたいどこの損保でも
(現実収入額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
(年齢別平均給与額の年額-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
のいずれか高い方と規定しています。
現実収入額は、「所得」ではありませんから、課税所得金額が0であっても、現実収入額が0とは限りません。年齢別平均給与は、55歳男性は490,300円/月となっているはずです。
生活費は死亡した人が扶養していた家族の人数によって控除率が約款に規定してあり、多くの場合、被扶養者0で50%、被扶養者1人で40%、被扶養者2人で35%、被扶養者3人以上は30%となっています。
ライプニッツ係数は55歳の場合、9.899(就労可能年数14年)です。
これらの数字は、いずれも約款に記載されていますから、加入先の保険会社の約款で確認してください。
被扶養者の人数が不明ですが、妻と未成年の末子の2人とすると、
(490,300×12×(1-0.35)×9.899=37,857,141 となります。
(2)人身傷害保険の分配については、法的な規定はありません。どのように分配しようと自由です。しかし、分配の方法によって、相続税、所得税、贈与税が課税されます。
そもそも人身傷害保険金の請求権者は、被保険者(死亡した場合は法定相続人)と被保険者の父母、配偶者または子となっていますが、請求権者が複数の場合には代表者を選定して請求することになります。
よって、代表者以外の請求権者から委任状が必要となりますが、これは請求事務を受委任したにすぎず、他の請求権者が自己が受け取るべき保険金まで譲渡したわけではありません。
また、保険金の課税関係は、加害者からの損害賠償金と認められる部分(損害額のうち加害者の過失割合に応じた部分)は非課税ですが、それ以外の部分は保険料負担者・被保険者・保険金受取人の関係によって、相続税、所得税、贈与税が課税されることになります。
ご質問のケースでは、相手過失が0~10%とということですから、仮に5,000万円が支払われたとすると、5,000万円~4,500万円が課税対象となります。
保険料負担者が死亡されたお父様であれば、相続税の課税対象となり、死亡保険金にかかる相続税の非課税限度額2,500万円(500万円×法定相続人の数)を控除した2,500万円~2,000万円が他の相続財産と合算して相続税額を計算することになります。
税金の問題以外では、保険金の分配に関して法的な規制は一切ありませんから、当事者間での話し合いということになります。
請求権者を法定相続人のほかに、被保険者の父母、配偶者、子と規定しているのは、保険金に慰謝料相当額が含まれるため、民法711条を適用しているからです。(自賠責保険も同様)
ご質問のケースでは、まず死亡されたお父様の両親(祖父母)が慰謝料請求権を行使するかどうかの意思確認をしてみましょう。請求意思があれば、慰謝料相当額の分配を協議するという手順で良いと思います。
人身傷害保険では、一家の支柱の慰謝料は2,000万円となっていると思います。(これも約款でご確認ください)
しかし、保険金額が5,000万円ですから、死亡に至るまでの治療費等や葬儀費用、逸失利益、死亡の慰謝料を合計すると、保険金額を超えるでしょうから、保険金が5,000万円支払われたといっても慰謝料相当額が2,000万円になるわけではありません。
治療費等や葬儀費用などの実費は最優先で填補されるべき損害ですし、逸失利益も遺族の生活費としての性格を有するところから、慰謝料より優先されると解すべきです。
そうすると、支払われた保険金5,000万円から治療費・葬儀費用等や逸失利益を控除した額を、慰謝料相当額とすべきです。
また、自賠責保険では本人慰謝料350万円、請求権者が3人の場合の慰謝料750万円、被扶養者がある場合200万円としていますから、人身傷害保険の慰謝料にも本人慰謝料が含まれていると解すべきでしょう。
本人慰謝料は法定相続人で相続するのが妥当でしょう。
これらを勘案して、被害者の父母への慰謝料相当額を算出したらいかがでしょうか。
こんばんは。
とても詳しく丁寧な回答ありがとうございます!
(1)に関しては約款を確認したところ、ご指摘の通りになりそうですので安心しました。
(2)については、突然の事故ということで、当初は母に対して皆協力していたと思うんですが、事故から時間が経つにつれて、最近では遠方に住む兄2人や父の両親が人身傷害保険金についてどうなってるんだという感じでちょくちょく話題に出すようになっている状況でして…。
相続であれば相続分が決まっていてすんなり決められると思っていたのですが、、、
Tomo0416さんの回答によりますと、逸失利益と慰謝料は別物と考えていくとのことですが、逸失利益が3000万円になるとしたらそれは母、同居の子2人(1人未成年)、別居の子2人、父の両親それぞれどのように分配されるものなのでしょうか?
逸失利益は父の両親がもらえないとして、母と4兄弟とでは同居別居関係なく等分(それぞれ600万)されるんでしょうか。それとも相続分で分配でしょうか。
人身傷害保険金の帰属割合について裁判や調停になったような場合に分配基準があるんでしょうか?
また、人身傷害保険金の分配を協議する際に、母は生命保険金を受け取っていたり、遺族年金を受け取ることになっていますが、そのことも考慮する必要があるのでしょうか?相続財産の分割もこの保険金の行方を含めて分割するのが普通なんでしょうか…?
そして、分配を協議する場合、その協議が終了した後に納得しない人が請求してくることもあり得ると思うのですが、分配協議は遺産分割協議のように証書として作成しなければならないのでしょうか?そのような協議書を作るのは公証役場などにお願いすることになるんでしょうか。
父が突然亡くなり、そして急に大きなお金が絡んできて、それが明確な分配基準がないという状況ですと、家族関係がこじれてしまいそうでとても不安です…
公平な分配が協議によって成立して、それが覆らない、そういう解決ができるといいと思っているのですが、どうかご教授お願いいたします。。。
No.1
- 回答日時:
(1)人身傷害補償の計算はご加入の保険会社の約款によりますので、
よく調べてください。
不明ならご加入の保険会社に聞いてください。
(2)お父さんの過失が大きいと、その過失相当分も補償する人身傷害補償
では、その部分は死亡事故の場合には傷害保険と同じ扱いになります。
仮に、5千万円が損害額(逸失利益、治療費、慰謝料など)とし、
お父さんの過失が1割なら、500万円は損害賠償金として非課税、
残る9割の4千5百万円は傷害保険として扱われ、課税対象です。
課税は保険料を支払った契約者、被保険者、保険金受取人の関係
の中で、相続税や贈与税、所得税のどれかになります。
次に問題となるのは慰謝料の事です。
逸失利益部分は相続人が受取人ですが、慰謝料は民法の規定で、
相続権のない両親にも請求・受領権があります。
保険会社はすべてを一括して損害額の計算をし、その中に慰謝料
部分も含まれていますので、一括受領すれば、当然被害者の両親から
その中の慰謝料相当分の請求があっても法的には正当な権利の
主張になります。
こんばんは。
とても詳しく丁寧な回答ありがとうございます!
(1)に関しては約款を確認しましたら上限までおりそうでしたので安心いたしました。
(2)については、逸失利益について相続人が受取人ということですが、それは法定相続分に従って分配されるのでしょうか、それとも相続人が受取人としての身分を有し、それぞれが等分して受け取る権利を有しているということでしょうか?
また、慰謝料についても同様に、額は法的にはどのように定まっていくと考えればよいのでしょうか?示談や裁判の場合の基準があると、協議の際に話し合いがスムーズに進むと思うのですが…
人身傷害保険金の分配については、いろいろ調べてもなかなか見つからないのです…どうかご教授よろしくお願いします!
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