No.4ベストアンサー
- 回答日時:
teyanさん、こんばんは。
すみません。前回の回答で『以上をご確認いただいたうえで本題ですが、NOPADを使わずに税引後利益を使うとすれば、それはつまり・・・』のくだりのところを『NOPADを使わずに税引後経常利益(支払金利控除後営業利益)を使うとすれば、それはつまり・・・』と訂正させてください。
さて、新たな疑問について『2年目,3年目のFCFを計算する際に何故、割引率を2乗,3乗とする必要があるのでしょうか?』とのことですが、
まず、企業価値を離れて、次の土地の例を考えてみてください。
(将来にわたって永続的に)500万円の収入(賃貸料)が得られる土地があるとします。この土地の購入を検討している人がこの土地に投資する場合に期待する収益率を10%(銀行の預金金利3%+リスクプレミアム7%)と予想するとき、この土地の値段をいくらで評価するでしょう?
この土地からは毎年500万円の収益が得られるので、土地の値段をSとすれば、
S=1年目の500万円の現在価値+2年目の500万円の現在価値+3年目の500万円の現在価値+・・・・(永続)
となりますよね。
ここで、
1年目(1年後)の500万円の現在価値をaとすれば、
a+a×10%=500万円 ∴a=500万円/(1+0.1)
2年目の500万円の現在価値をbとすれば、
bは1年後にb+b×10%=(1+0.1)bに、2年後には(1+0.1)b+(1+0.1)b×10%=(1+0.1)^2×bになり、これが500万円だから、(1+0.1)^2×b=500万円という等式が成り立ちます。
よってb=500万円/(1+0.1)^2
同様にして3年目の500万円の現在価値は500万円/(1+0.1)^3、4年目の500万円の現在価値は500万円/(1+0.1)^4となります。
そして結局、
S=500万円/(1+0.1)+500万円/(1+0.1)^2+500万円/(1+0.1)^3+500万円/(1+0.1)^4+・・・・(永続)と表せることになります。
この式の両辺に公比1/(1+0.1)を掛けて引くと
(1-1/(1+0.1))×S=500万円/(1+0.1)
∴S=500万円/(1+0.1)/(1-1/(1+0.1))
=500万円/0.1=5000万円
土地の価格は5000万円と評価されることになります。
一般に、(永続的に将来にわたる)毎年の収益をp、期待収益率をrとすると現在価値の総和は次のように表されます。
p/(1+r) + p/(1+r)^2 + p/(1+r)^3 +・・・(永続)
=p/r
この式は「永続価値モデル」と呼ばれる有名な式なので覚えておいて損はないと思います。実は、上記の土地の問題もこの公式にあてはめれば、500万円/0.1=5000万円と一発で答えが出てきていたわけです。
ところで、この問題の「土地」を「企業」に、「収入」を「NOPAT」と置き換えてみてください。企業でも同じ考え方でその価値を評価できることがご理解いただけるでしょう。
そして、2乗、3乗している理由は上記のとおり(簡単に言えば複利計算をしているからということですが)です。また、teyanさんのおっしゃる「係数」とは、この土地の例でいえば、500万円に掛けている、1/(1+0.1)や1/(1+0.1)^2、1/(1+0.1)^3のことですね。
No.6
- 回答日時:
No.5
- 回答日時:
現在価値(複利計算)について、もっと解りやすい例で。
今ここに10000円があるとします。金利が10%のとき3年後にはいくらになるでしょう?
1年後には10000円×1.1=11000円
2年後には11000円×1.1=12100円
3年後には12100円×1.1=13310円
つまり10000円×1.1^3=13310円と求められますね。
では、逆に金利が10%のとき、3年後の13310円は現在いくらの価値があるでしょう?
(上記により)13310円÷1.1^3=10000円ですね。
一般に金利がp%のとき、現在のa円は、n年後には
a×(1+p)^n 円となります。
また、逆にn年後のb円を現在価値に直せば、
b÷(1+p)^n と表せます。
そしてこの1/(1+p)^n を複利現価係数といいます。
yam113様
ありがとうございました。要するに、割引率は「金利」のようなもの、として理解すればよいわけですね。しかし、金利の場合は確かに銀行へ預け入れることで金利を手に入れることができますよね。その「機会ロス」を差し引くというのは良く分かるのですが、投資の割引率はどう考えればよいのですか?やはりその割引率相当分は
「他の案件に投資できてキャッシュを稼げたであろう」、と考えてその「損」した分を差し引くということで考えるしかないのでしょうか?
論点がハッキリしない可能性が高いと思いつつ、あえて質問させて頂きました。
No.3
- 回答日時:
すみません。
質問をよく読んでいませんでした。要するに、企業価値=NOPAT÷WACC(加重平均資本コスト)の意味についてのご質問ですね。
「企業価値」の算定方法は数通りあると思いますが、この方法は企業が将来にわたって生み出すCFから求める方法です。
わかりやすくするため、次の例で考えてみましょう。なお、ここでは税金は考えないことにします。
NOPAT=10(永続)、負債=30、負債利子=2%(永続、将来平均予測値)、株主資本=20、株主の要求する期待利益率(配当の将来平均予測値)=3%
この場合、WACC=2%×30/(30+20)+3%×20/(30+20)=2.4%
よって企業価値=10/0.024=417と算定されます。
この最後のNOPAT/WACCの意味は次のとおりです。
1年先のNOPATの現在価値=10/(1+0.024)
2年先の 〃 =10/(1+0.024)^2
3年先の 〃 =10/(1+0.024)^3
・・・・ ・・・・
と永続的に続くものを合計したものです。これをSとおくと
S=10/1.024+10/1.024^2+10/1.024^3+・・・・(1)式
両辺に1/1.024を掛けると
1/1.024S=10/1.024^2+10/1.024^3+・・・(2)式となり、(1)式から(2)式を引き、Sを求めると
S=10/0.024=417となるのです。
つまり、将来永続するNOPATからWACC(金利分と株主期待利益率分)を割り引いたものを合計しているのです。これは「企業の第一責任を金利支払いと株主への還元(WACCのクリア)」と考え、儲け(営業利益)から金利と株主配当を除いた最終的な企業の取り分(留保金=ネットキャッシュフロー)を、企業価値とする考え方です。企業が、最低限超えなければならない収益率の水準という意味でWACCは「ハードルレート」と呼ばれています。
以上をご確認いただいたうえで本題ですが、
NOPADを使わずに税引後利益を使うとすれば、それはつまり「支払金利を差し引いたものからさらに金利分を割り引く」というで、金利分の二重控除ということになります。また、二重控除としないためにWACCから金利分を除くという方法が考えられるかもしれませんが、この発想は、株主への配当分についても最初から控除するという発想(割引をしないという発想)で、上記の例でいえば、企業価値は、10-(30×2%+20×3%)=9.76のネットキャッシュフローの総和(S=9.76+9.76+9.76+・・・・=無限大)となってしまいます。これは負債や株主への配当が「将来」に発生するものであるという時間の概念を無視した考え方で妥当とは言えません。
以上のことからNOPATが用いられているのです。
最後に、企業の価値について、企業を買うという行為自体あくまでも投資(株を買うときのことを思い浮かべてみていただくとわかりやすいと思いますが)ですので、「将来の見込みや期待」に過ぎません。上記で使ったNOPATにしても、金利にしても、株主の期待利益率(配当)にしても(WACCにしても)、すべて将来の予測に過ぎないのです。要するに「企業価値」とは「企業の将来性」(tenyanさんの言われる(将来)「キャッシュを生み出す力」)の価値を現在価値に引き直しものの総和であり、決して絶対確実なものではありません。
なお、この予測にどれほどの意味があるのかとのことですが、経営の指標(自分の会社にどれほどの価値があり、価値を高めるためにはどのような方針を立てればいいか、今後配当政策や内部留保をどのようにしていけばいいか等)となるほか、M&Aや営業譲渡の際の対価の決定、株式価格の決定等大変大きな意味を持っています。
yam113さん、丁寧な説明ありがとうございます。かなりクリアになってきました。つまり、WACCを割引率とすることは、資本提供者である、銀行と株主への利益還元を考慮済みだということですね。だから、それをNOPATから差し引く必要があると理解しました。支払い金利考慮済みの利益では『金利の二重支払い』となってしまうとの理解です。
そこで新たな疑問が湧いてきました。2年目,3年目のFCFを計算する際に何故、割引率を2乗,3乗とする必要があるのでしょうか?割引率が、金利と配当を差し引くための『係数』だとすれば、それはその年に得られるFCFに『係数』をかければ良いのではないでしょうか?割引を続けていくことの意味をどのように見出せばよいのでしょうか?
時間価値と割引率の関係が見えなくなってきました。
No.2
- 回答日時:
フリーキャッシュフローの定義は確定的ではなく、用途により多岐にわたっているようですが、一般的には「(税引後営業利益+減価償却費+運転資金の増減)-設備投資額」と表されることが多いようです。
この式は、税引後営業利益+減価償却費+運転資金の増減(≒営業活動によるCFから金利、法人税等を除いたもの)と設備投資額(≒投資活動によるCFから有価証券投資等を除いたもの)との比較を意味しています。つまり、営業CFと投資CFから「真の営業活動」に関連するもののみ抜粋して計算した指標がフリーキャッシュフローなのです。
そして、一般的な考え方では、金利を「真の営業活動」とみていないので除去しているのです。
CF計算書をよく見ると必ず次のようになっていると思います。
税引後当期純利益 ○○
減価償却費 ○○
・・・ ・・・
(小計) ○○
利息配当金の受取額 ○○
利息の支払額 ○○
法人税の支払額 ○○
(合計) ○○
なぜ、一旦小計を出しているのでしょうか。これは、利息を「準」営業と捉えて、「真の」営業だけから得られるCFを小計として出しているのです。そして、その後に「準」営業といえる「利息・税金」を加減して最終的に「営業活動によるCF」を出しているのです。FCFでは、この「小計」の値(又はそれに近いもの)を用いています。
ただし、これは、あくまでも「一般的な式」の説明であり、「用途」によってはこれに受取利息、支払利息や法人税を加減した営業CFの最終値を使っても間違いとは言えません。
余談になりますが、FCFの真の目的は次のとおりです。
FCFがプラス(真の営業CF-営業に係る投資CF>0)なら、追加投資、借入金の返済、株主への還元等、余剰資金の使い途を検討する必要があり、
FCFがマイナス(真の営業CF-営業に係る投資CF<0)なら資金の追加調達や内部留保の取り崩しが必要となり、恒常的となれば、企業の存続に大きな影響を与えることになる。
ということを示す指標がFCFである、ということです。
ありがとうございます。
しかしながら、まだ「企業価値算定」の際に何故金利を除くのか、の答を見出せずにおります。NOPATの基準の場合、「キャッシュを生み出す力」をFCFを通じて認識することが出来ますが、それはあくまで「力」であり、「本当にそれだけキャッシュが残る」ということでありません。そのような「力」を現在価値に戻したところでどれほどの意味があるのでしょうか。また、現在価値に戻す際の割引率は、「有利子負債と資本提供者(株主)」の加重平均値を取りますが、その際に考慮される支払い金利率はなにをいみしているのでしょうか?この割引率は「将来支払われるであろう金利を考慮して」計算されているのでしょうか?
なかなか上手く説明できないのですが、なにがコメントいただければ幸甚です。
No.1
- 回答日時:
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