H25第一回公認会計士短答試験の問題11の枝エについて、
どなたかご回答いただけないでしょうか。
【問題】
商品仕入高を翌期に繰り延べた場合、流動比率は上昇するが、売上高勘定比率とたな卸し資産回転期間には影響がない。
流動比率 = 流動資産 / 流動負債
売上勘定比率 = (受取手形 + 売掛金) / たな卸し資産
たな卸し期間回転期間 = たな卸資産 / 売上高
【回答】正しい
【疑問】
商品を仕入れるということはたな卸し資産の増加つまり流動資産の増加と
実務ではとらえると、はなはだ疑問です。
(1)流動比率は上昇するという点
増えるはずの流動資産が増えなくて、増えるはずの流動負債が増えなかった。
分子も分母も減少と解釈すると、誤りでは?
(2)売上高勘定比率に影響ないという点
分母の、増えるはずのたな卸資産が増えなかった。
つまり、分母は減少ととらえると、誤りでは?
(3)たな卸し資産回転期間には影響がない
分子の、増えるはずのたな卸資産が増えなかった。
つまり、分子は減少ととらえると、誤りでは?
仕入 → 商品 → 売上原価
となるはずなので、おかしいなーと思っています。
どなたか、教えてくださいませんでしょうか。
よろしくお願いします。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
こんにちは。
おっしゃるように解りにくい問題ですね。私も、ウェブサイトにアップされている問題11の問題文全体をよく読んで「エ」が明らかな誤りではないだろうという心証を得ましたが、試験本番でそこまで考えを及ばせるのは酷かもしれませんね。
それでは、本題。
問題では冒頭の文中において「粉飾決算あるいは逆粉飾決算との関連」と言及したうえで、あなたが抜粋した肢の文「商品仕入高を翌期に繰り延べた場合・・・」があります。
直感的な理解では、よくありがちな期末日直前の仕入計上もれ(当該商品は期末棚卸高を構成する)と考えられますね。
すると、とどのつまりは 期末商品棚卸高/買掛金 の仕訳があるか、ないか(在庫には影響するが、損益には影響しない)と理解しがちと思います。おそらく、あなたもそのように思ったのではないでしょうか。
しかしながら、損益に影響しないのであれば「粉飾決算あるいは逆粉飾決算との関連(ここでは、特に粉飾決算との関連)」はありませんよね。
とすれば「商品仕入高を翌期に繰り延べた場合・・・」の商品仕入とは、当該商品は期末棚卸高を構成するものではなく、既に販売済であると解釈すべきと思います。つまり、仕入/買掛金(仕入債務) の仕訳を先送りしたと考えるべきではないでしょうか。
すなわち、当期中に仕入れて売上済みなんだけれど見かけ上の利益をもっと捻出したいから、売上はその通り計上するけれど、売上原価の計上を先送り=商品仕入高を翌期に繰り延べ したい。
そうすると、
1 仕入債務が減る分、流動比率はアップします。
2 期末棚卸高、売上債権、売上高には手を入れていないので、売上勘定期間、棚卸資産回転期間には影響を与えません。
もう一つ、実務的な思考をしないと解りにくいかもしれませんが、出題者は、今回の商品の売上・仕入と粉飾との関連において以下の前提をおいているように思います。
a 粉飾に関連する売上計上は期末日間近なものである=当該商品の仕入に係る買掛金は未済である
・・・例えば小売店で「決算セール」をよくやっていますよね。そういった理解でよいと思います。
支払済みの仕入の計上を強引に繰り延べても粉飾は成立はしますが、現金預金に相違が生じては粉飾は直ぐにバレてしまいますよね。また、当該相手先に対する買掛金がマイナス残高にしたり、マイナス部分を前渡金に振り替えてごまかそうとしても、不明朗な残高は指摘されやすくなりますから、そこまで強引な粉飾は考えにくいと思います。
b 現金決済や貴金属のように個別法で在庫管理するような特殊業種は別として、一般的な商品販売業であれば、掛の計上はその都度というよりは1ヶ月ごとに締切日を設けてそれまではためておき、締切日が来るとそれまでの仕入高(返品等も)合算して 仕入/買掛金 等と合計仕訳するのが取引慣行というか記帳上の常です。その上で、仕入先から送られる請求書とこれらの買掛金を照合し、翌月末(翌々月末というケースも)に決済(現金、振込、小切手、手形など)することが比較的一般的です。
学習上は「商品を仕入れて代金は手形を振り出して支払った。 (答)仕入/支払手形 」という仕訳をよく見かけますが、実務上は(特定業種を除くと)不思議な仕訳です。
締切日までためておいてまとめて計上するというのは、企業法(商行為法)でいう交互計算を簿記の仕訳に反映したものと考えて差し支えないと思います。
・・・非常に回りくどい説明で恐縮ですが、要は、買掛金なり支払手形なりの流動負債が、支払によって解消されるまでには相当な時間を要するということです。ですので、今回の肢でいえば、(仕入/買掛金or仕入債務 を先送りすることにより)流動比率が上昇するというのはあまり不思議ではないと考えられます。
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