よろしくお願いいたします。
私は資格はありませんが、税理士事務所の補助者を退職後、一般の法人の役員となりました。
いろいろな団体にかかわっている中で、税理士事務所が会計法人を運営しているのをいくつも見ています。
税理士関係の資料を見ていても、無資格事業者との業務提携等を否定し、税理士法違反だというような記載もあります。会計法人を税理士が運営していたとしても、税理士法人でない会計法人では、問題があるようにしか思いません。
また、見た事務所では、実際のオフィスはが一つしかなく、間仕切りもありません。たぶん、従業員はどちらかまたは両方に所属し、両方の業務を行っているようにしか思えませんでした。
このようなことを許せば、税理士法では守秘義務等を職員にも求めていたかと思いますが、税理士事務所の職員ではない人が税理士業務の補助等を行い、税理士法の適用下に置かれないような図式ができてしまうようにも思います。
税理士業務として請け負った業務でなく、会計法人との共同受任という形をとることも、税理士法上の無資格者との提携に思えます。
会計法人が税理士と提携をせずに、会計業務だけを請け負うのであれば、自由業務でしょうから問題ないとは思いますが、税理士自身や税理士の親族が経営する会計法人が同居したり、隣接するような状況は、税理士法人制度を空洞化させるようにも思います。また、会計処理部分に大きな間違いを起こした場合の責任の所在もあいまいでしょうし、職業賠償責任保険の補償も受けられないようにも思います。
私自身、税理士事務所を退職してだいぶ経ちますが、税理士が会計法人を活用するような法制度などができたのでしょうか?
詳しい方、よろしくお願いいたします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
>税理士が会計法人を活用するような法制度などができたのでしょうか?
私が知る限り、そのような法制度はできていないと思います。
確かに「(株)○○会計」などと看板を掲げてる税理士事務所は少なからず存在します。
質問者さんのおっしゃる通り、会計業務に資格は必要ありませんので、「会計は(株)○○会計で、税務は××税理士事務所で」と言われてしまうと、現在の法制度では問題がないことになってしまいます。
税理士事務所が会計法人を立ち上げる理由は一つだと私は考えています。
「後継者不在」
特に地方の田舎では、一人の税理士と数人の職員、という事務所が多いです。そして税理士の平均年齢からも分かるように、その一人の税理士は高齢であることが多いです。
無事にお子さんや職員が税理士資格を取得し、後継者が育っていれば問題はないのですが、そうそう簡単な試験でもありません。親である税理士は80歳、息子は実務はできるが資格がなく、もう50歳。なんていう例も少なくありません。
こうなってしまうとその息子さんが資格を取得するのはかなり厳しいでしょう、体力的にも精神的にも。
しかし親である税理士は、なんとか息子に事務所を継がせたいと考えます。実務はできるのですし。
そこで登場するのがいわゆるOB税理士です。ご存知かとは思いますが、税務署OBの税理士です。
OB税理士は確かに資格を持っていますが、実務を知らない人もいますし、年齢的にもゼロから開業というのも大変です。
そんなOB税理士を引っ張ってきて、形式上の後継者にしてしまう。しかし実態はただの名義貸しである場合も少なくありません。
頭(税理士)がすげ変わるだけで、税理士事務所としては存続するのだし、わざわざ会計法人を立ち上げる必要はないのでは?と思われるかもしれません。
しかし、税理士法上、事務所名は「(税理士のフルネーム)税理士事務所」としなければいけない。と定められています(税理士法人は別ですが)。
OB税理士を引っ張ってくれば、その人の名前の事務所にしなければなりません。しかしそのOB税理士自身も若くはありません、数年で引退するかもしれない。もしくは、そのOB税理士とはそりが合わないかもしれない。そういった理由でまた別の税理士を引っ張ってくることになれば、また事務所名を変えなければなりません。
お客さんにしてみれば、事務所に電話するたびに名前が変わってる…嫌ですよね?そんな事務所。
そこで、会計法人を立ち上げ、その法人名を通り名にしてしまえば、その問題は解決できるのです。
最初こそ「○○税理士事務所」から「○○会計」に名前が変わりますが、○○の部分は一緒だし、それ程違和感もないでしょう。
冒頭にも書いた通り、会計は会計、税務は税務、という理屈は一応通ってしまいます。
しかし、実務経験があればご存知かと思いますが、会計と税務は切り離して考えられるものではありません。
質問者さんが見てきた事務所というのが、私が例示したような事務所であるかどうかは分かりませんが、そういった事務所は確かに存在します。
質問者さんが危惧される通り、この現状は税理士制度そのものを否定しかねない由々しき問題であると考えています。
お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした。
大変参考になる回答でした。
後継者のためというところを見逃していたようですね。
やはり、放置すべきではない問題のようですね。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
大体は、質問者さん、No1の回答者さんのご発言の趣旨のとおりで相違ないと思います。
ひとつ付け加えるとすれば、会計法人は、税理士事務所側にとっての税制その他の法的な点でのメリットがあるものと思います。
以下、個人事務所を前提としてお答えします。
第1に、資金繰り上の優位点があります。税理士報酬を顧客から受領するさい、源泉所得税として10%(現在は復興特別税が付加されているので10.21%)を差し引かれます。一般企業や個人商店の資金繰りを念頭に置くとわかりやすいと思いますが、売上の10%を確定申告の時期まで無利息で保留(拘束)されるのは、結構厳しいものです。会計法人を設立して、会計業務部分の報酬をこちらで受け取ることにすれば、当該部分は満額受け取れることになります。
第2に、法的な手続を円滑にすすめたり、責任の範囲を限定しやすい点があると思います。前者は、例えば口座開設・解約など金融機関手続や事務所の賃借をするさい、本人確認等のために税理士本人が出向く必要が多くありますが、法人であれば印鑑証明なり登記簿謄本があれば本人が行かなくて済む局面が多くなるものと思います。
後者は、業務上の責任、その他の責任追及に関し、個人事務所であれば当然個人そのものに責任追及されることになりますが、会計法人の場合、あくまで会計業務部分に限られるものの、株式・有限・合同の各会社形態であれば(取締役の責任や個人保証の問題は別途生じますが)あくまで、第一義的責任は法人にあり、また、出資者の責任の範囲も限定されることになります。
さらに、個人事務所の場合、事業用に開設した預金口座やこれにともなう信用金庫への出資金であっても、預金利息や配当金は、事業所得ではなく、税理士個人の利子所得なり配当所得となること、また、経費の損金性に関し、事業専用割合の振り分けが常に必要となる点など、企業会計に慣れ親しんだ視点でみると理解しづらいものがあります。
平成14年の税理士法改正によって創設された税理士法人制度によれば、上記の問題は概ねクリアされることになります。しかしながら、税理士法人の設立のためには、税理士2名が必要であること、また、社員税理士は、税理士法人が履行できない債務がある場合、相手方に対し連帯して無限責任を負うという制約があります。
事務所内に後継者などしかるべき地位の有資格者がいればよいのですが、資格者が先生一人きりの場合、(税理士法の趣旨に照らしてあまりよい表現ではありませんが)業界仲間に名前だけでも社員になってもらう必要が生じます。しかし、万が一の責任問題を考慮すると、おいそれと社員就任を引き受ける訳にもいかないのではないでしょうか。これに対し、会計法人は、通常の会社形態として設立されますから、有限・株式・合同の各形態であれば、責任の範囲は出資額に限定される上に、取締役、社員は1名いればよいので、比較的容易に設立しやすいものと思います。
お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした。
大変参考になりました。
ただ、やはり税理士側の都合と法律で制限がされていない抜け道的なもののようですね。
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