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様々な照度において開路電圧を測ったとき開路電圧は飽和しました。なぜ飽和するのですか?この場合の飽和とはどういう意味ですか?

A 回答 (2件)

 シリコン太陽電池にあてる光を徐々に強くしていくと、開路電圧(無負荷電圧)はそれに比例して増加しますが、0.5V 位で飽和してそれ以上増えなくなります。

照度と電圧がどこまでも比例するグラフを期待する人にはがっかりな結果ですが、太陽電池の原理から言えば、仕方がありません。
 太陽電池のPN接合に光があたると、光のエネルギーにより電子が励起されてバンドギャップを飛び越えて電圧を生じます。光のエネルギーは波長が短いほど大きいので 1eV や 2eV のエネルギーを持った光も照射されているのですが、シリコンのバンドギャップが 0.5eV 位なので、余分なエネルギーは熱になってしまい、0.5V 以上の電圧は取り出せません。つまり、光の強さや波長に関係無く、光をあてれば太陽電池は約 0.5V の電圧を発生するというのが、基本的な特性です。
 では光が弱い時の比例領域は何かというと、これは太陽電池内部の漏れ電流の影響で電圧が下がっている状態です。発生した電流が少なくて、すべて漏れ電流として消費されている訳です。仮に太陽電池の負荷に100KΩや10KΩの抵抗をつないで、等価的に漏れ電流を増やして測定すれば、比例部分の傾きがもっと小さくなった同様のグラフが得られると思います。

 飽和とはどういう意味か、というのは、半導体の内部に注目して言えば、漏れ電流(あるいは負荷電流)をおぎなってあまりあるほどの光が照射されている状態で、PN接合のP型半導体には正孔が、N型半導体には電子が充満し、これ以上増えない状況である、というような説明もできるでしょう。

 太陽電池には、開路電圧の他に短絡電流というパラメータがあります。これは太陽電池の負荷として直接電流計をつなぎ、短絡させた状態で電流を測定します。光子があたって励起された電子が、ほとんどすべて電流計を通って流れるという状況なので、この照度と短絡電流はかなり広い範囲(3~4桁)に渡って比例します。室内などの明るさを測る照度計はこのような構造をしています。
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この回答へのお礼

詳しい回答をどうもありがとうございます。とても参考になりました。P.S返事遅くなってすみません。

お礼日時:2004/04/26 19:08

 #1です。

#1の発言で間違いがありましたので、訂正します。
 
 シリコンのバンドギャップは、常温で 1.12eV です。従ってこれより大きいエネルギーを持った光をあてないと、シリコン中の電子はバンドギャップを飛び越えることができません。これは光の波長に換算すると 1100nm 程度であり、近赤外線領域です。可視光線はこれより波長が短いので、太陽電池に電圧を発生させることができます。
 0.5eV は何の値かというと、P型領域の価電子帯(正孔がたまっている部分)とN型領域の伝導帯(光によって励起された電子がたまっている部分)のエネルギー差です。P型領域とN型領域は、接合面をはさんでエネルギーレベルに段差があるので、上記のエネルギー差は 1.12eV より小さくなり、0.5eV ほどになります。
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この回答へのお礼

わざわざ訂正ありがとうございます。参考にさせてもらいます。

お礼日時:2004/04/27 18:37

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