H18年会社法施行(H18.5.1)の際の整備法に関連しての質問です。
対象は、非公開で譲渡制限ありの商法時代でいう小会社の例です。
整備法には、「定款に記載されているものとみなす」という条項がいくつかありますが、「監査役の監査の範囲」を例にとって質問します。
新会社法によると、”小会社”といえども監査役の監査の範囲は、デフォルト(=定款に何も記載なき場合)では、「事業・会計」の両分野を監査することとなっており、もし、旧商法時代のように、会計だけに限定したい場合は、その旨定款に記載しなければならないこととされていますね。商法時代は、小会社においては”ハナから”(何も記載しなくても)「会計のみ」と法律上規定されていました。
で、整備法53条では、「新株式会社の定款には、”会計に限る”旨の記載があるものとみなす」という趣旨の規定があるのですが、これはどういうことを言っているのか、いまさらながら混乱しています。そこで関連して質問です。
(質問1)従来の定款について、なんら変更手続きをしない場合は、H18.5.1以降は、その定款に「会計に限る」という記載があるものとみなされる、という理解でよいでしょうか。
(質問2)もし会社法施行を機に、「事業・会計の両分野を監査する」ように変更したい場合は、株主総会でその旨の議決を得、その旨変更登記をしなければならないのは当然ですが、定款の条文に「事業・会計の両分野を監査する」旨の文言を追加して明記しなければならないのか、それとも、新会社法のもとではデフォルトが「両分野」なので、なにも定款に条項追加して文言を明記する必要などないのか、どちらでしょうか。
(文言を明記すればなんら紛れがないことは承知していますが、敢えて”スレスレ”のところをお尋ねしています)
以上、古い話ですが、詳しい方いらっしゃいませんでしょうか。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
>(質問1)従来の定款について、なんら変更手続きをしない場合は、H18.5.1以降は、その定款に「会計に限る」という記載があるものとみなされる、という理解でよいでしょうか。
そのとおりですが、ここでいう「定款」というのは、定款の内容が書かれている紙や電磁的記録そのものではなく、会社の規範としての定款を指していることに注意して下さい。
>(質問2)もし会社法施行を機に、「事業・会計の両分野を監査する」ように変更したい場合は、株主総会でその旨の議決を得、その旨変更登記をしなければならないのは当然ですが、定款の条文に「事業・会計の両分野を監査する」旨の文言を追加して明記しなければならないのか、それとも、新会社法のもとではデフォルトが「両分野」なので、なにも定款に条項追加して文言を明記する必要などないのか、どちらでしょうか。
みなし規定の廃止の決議をすれば良く、第何条を追加する形での定款変更決議をする必要はありません。ただし、みなし規定があるのか、それとも廃止したのか、定款が書かれた紙だけをみても分かりませんので、第三者が定款を見る場合もあることを考えると、条文として明記したほうが望ましいと思います。なお、会計限定を外した場合、監査役は任期満了退任になりますから、あらためて監査役の選任をする必要があり、監査役の退任及び就任登記をする必要はありますが、会計限定があるか否かは登記事項ではありません。
なお、27年に施行予定の改正会社法では、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨」は登記事項になります。
この回答への補足
>紙や電磁的記録そのものではなく、会社の規範としての定款を指していることに注意して下さい。
↑
「規範としての定款」という意味を、噛み砕いて教えていただけたら幸いです。
早速のご回答ありがとうございます。
>第何条を追加する形での定款変更決議をする必要はありません。
↑
ここは私の予想通りで、安心しました。
>紙だけをみても分かりませんので、第三者が定款を見る場合もあることを考えると、条文として明記したほうが望ましいと思います。
↑
御意。「必須ではないが望ましい」という理解のもと、議案書には、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めを廃止する。なお、その事柄を定款書面上明示するため、変更案第○○条(監査役の監査の範囲)を新設する。」と、わざわざ「定款書面上明示するため」という文言を入れ、「本当は○○条の新設は必須ではないんだが」という趣旨を暗に匂わせた記憶があります。これでよかったわけですね。
>定款が書かれた紙だけをみても分かりませんので
↑
仮に条文として明記しない場合は、整備法77条にいう「定款の閲覧・抄本を求められた時は、定款に定めがあるものとみなされる事項を示さなければならない」旨の規定を逆手にとり、"示さない" ことにすればよいわけですね。なんか危なっかしい規定のような気がしますが・・・。
>会計限定を外した場合、監査役は任期満了退任になりますから、あらためて監査役の選任をする必要があり、
↑
これは承知しておりました。当時、その通り実行しました。
>会計限定があるか否かは登記事項ではありません。
↑
あっ、そうでしたね。
担当者に当時の経緯を説明するに際し、法令上の論理を思い出していたのですが、なにぶん過去のことゆえ自信がなく、質問した次第でした。でも、おかげさまで間違いはなかったようです。
No.2
- 回答日時:
>仮に条文として明記しない場合は、整備法77条にいう「定款の閲覧・抄本を求められた時は、定款に定めがあるものとみなされる事項を示さなければならない」旨の規定を逆手にとり、"示さない" ことにすればよいわけですね。
なんか危なっかしい規定のような気がしますが・・・。確かにそうですね。実務的には「会社法施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により、当会社の定款には監査役の権限を会計に限定する定めがあるものとみなされていましたが、何年何月何日開催の株主総会の特別決議により、当該みなし規定は廃止されました」という形で示した方が親切でしょうね。
>「規範としての定款」という意味を、噛み砕いて教えていただけたら幸いです。
野球で例えると、ルール(公認野球規則)とルールブック(公認野球規則が書かれている本)の違いです。「定款の変更は株主総会の特別決議により行う」における定款の意味は、「規範としての定款」ですから、ルールのことです。一方、「定款は本店に備置しなければならない」における定款の意味は、規範としての定款の内容が記述された紙又は記録された電磁的記録のことです。これはルールブックの意味です。
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