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何故、強磁性、常磁性、反磁性などの区別が生じるのでしょうか。

A 回答 (3件)

磁性を詳細に議論すると,「磁性」というような本一冊どころでは


とても済まない話になります.

磁性の元になっているのは,原子が持つ磁気モーメント
(軌道起源の部分とスピン起源の部分がある)で,固体内で磁気モーメントが
どのように配置されている状態がエネルギー(有限温度では自由エネルギー)
が低いかで決まります.

例えば

  ○─○─○─○
  │ │ │ │
  ○─○─○─○
  │ │ │ │
  ○─○─○─○
  │ │ │ │
  ○─○─○─○

のような格子の格子点(○で表現)に磁気モーメントSを配置して,
S同士の相互作用(隣同士のみに存在するとします)が
平行なSに対してエネルギーが得するようなものであれば
エネルギーの最も低い状態は強磁性状態

  ↑ ↑ ↑ ↑

  ↑ ↑ ↑ ↑

  ↑ ↑ ↑ ↑

  ↑ ↑ ↑ ↑

でしょうし,反平行が得するなら反強磁性状態

  ↑ ↓ ↑ ↓

  ↑ ↓ ↑ ↓

  ↑ ↓ ↑ ↓

  ↑ ↓ ↑ ↓

になるでしょう.
有限温度ではエネルギー最低の状態以外のものも混ざってきますから
そこも考えないといけませんし,
上の議論では無視している量子性も重要です.
磁気モーメント同士の相互作用の元になっているのは波動関数の重なりから来る
交換積分ですが,波動関数の様子も物質によって千差万別です.
上の図では磁気モーメントが止まっているようにしていますが(絶縁体と思っている),
鉄などでは電子が動き回っていますから根本から話が違います.

最も簡単と思われる一例だけお目にかけました.
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

どうやら磁性について理解するには、本腰を入れて取り組まなければならないようですね。すぐに誰かが教えてくれるだろうと安易な考えでした。他力本願だけではいけないようです。しかし、これだけ奥が深い現象だという事がわかったことは収穫でした。

磁性に関して考慮すべき重要な点は、エネルギーのようですね。すこし、調べたところによると、磁区という概念がキーワードのようでした。でも、それが生じる物質と、生じない物質の境界(区別)が分かりませんでした。そこらあたりが、今回の質問をするきっかけの考えでした。

お礼日時:2001/07/15 12:28

> フントの規則やパウリの禁制原理は、原子間や、分子間でも成立する原理なんですか。



物質が強磁性を発現するには,電子スピンの方向が一様に揃う必要があります。これには,電子スピン同士が平行になろうとするエネルギー,もしくは反平行スピンになろうとするエネルギーが必要です。フントの規則やパウリの禁制原理という言葉は,このことを説明するために使用いたしました。

正確な意味においてフントの規則やパウリの禁制原理という言葉が本当に適当かどうかは,私も自信はありません。ただし,例えば常磁性金属錯体の配位子場分裂エネルギーと,ハイスピンとロースピンとの関係を説明する際にもフントの規則やパウリの禁制原理という言葉が出てきますよね? 電子スピンが平行に揃うか反平行に揃うかを議論する上で,原子内に限らずより広い意味で一般的に用いられていると思うのですが…。いや,この点においては私もあまり自信はありません。

ちなみに,強磁性体でスピンが平行になろうとしたり反平行になろうとしたりするエネルギーのことを,交換相互作用と言います。スピン間の交換相互作用が正の時はスピンは平行に揃おうとし,負の時は反平行に揃おうとします。正の交換相互作用で強磁性が発現している場合,その強磁性体を「フェロ磁性体」と呼び,負の交換相互作用で強磁性が発現している場合,その強磁性体を「フェリ磁性体」と呼びます。例えば鉄やコバルトは前者,フェライトは後者に相当します。

ところで,ちょっと自己レスです。

> ほとんどの常磁性体はキュリー点という温度を境にして,その温度以下では強磁性体になります。

「ほとんど」という言葉には語弊がありますね。ここは「ある種の」としておいて下さい。ただし,すべての強磁性体はキュリー点以上では常磁性体になります。
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物質中に対をなしていない電子(例えば遷移金属のd電子や希土類のf電子,ニトロにルニトロキシドなどの有機ラジカル)が存在する場合,この物質を常磁性体と呼び,すべての電子スピンが相殺されていてスピンモーメントがゼロである物質を反磁性体と呼びます。



ほとんどの常磁性体はキュリー点という温度を境にして,その温度以下では強磁性体になります。常磁性体は各電子スピンの方向がバラバラですが,強磁性体はこの方向が(部分的に)一方向に揃っています。エントロピー的にはバラバラになる方が安定ですが,低温ではエントロピーによる影響よりもフント則やパウリの禁制原理による影響の方が強くなるためです。というわけで,強磁性体と常磁性体とは基本的に同じものです。

この回答への補足

回答、ありがとうございました。新たな疑問が沸いてきました。
 
フントの規則やパウリの禁制原理は、原子間や、分子間でも成立する原理なんですか。私の知っているそれらの原理は、原子内の電子に対してでした(勉強不足です)。

補足日時:2001/07/15 12:12
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