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スペクトル項の求め方が複雑でいまいちわかりません。スピンとか、磁気方位量子数とかの意味も理解できません。Cの基底状態のスペクトル項の求め方を知っている方がいたら、ぜひよろしくお願いします。

A 回答 (1件)

原子スペクトルと原子構造 第2版 エンジニアス・ライブラリー


G.HERZBERG (著), 堀 健夫 (翻訳)
出版社: 丸善 ; ISBN: 4621029770 ; (1988/03)

を一読されることをオススメします.
量子力学や他の分光の本に比較して,質問者さまのような要望に対して
よくまとまっていると思います.言わばそのバイブルです.

CI(シーワン,中性のC原子,分光学的な書き方です)は電子が6個です.
電子を一個一個みて行きましょう.

まず電子を下の準位から入れていきます.
下からとは,n=1では1s軌道のみ,
n=2では2sと2p(2px,2py,2pz)軌道があります.
それぞれの軌道には,パウリの排他律から,電子は2個までしか入れません.
何故2個かと言えば,電子は上向きのスピンと下向きのスピンの2通りが取れて,
電子はフェルミ粒子ですから同じ量子数の状態には成り得ないからです.
フェルミ粒子はスピン量子数が半整数で,電子の場合は±1/2です.
(ここでスピンとは,回転物体のスピン軸のイメージで宜しいかと思います.)

さて電子を入れていくと,1sに2個,2sに2個,2pに2個入ります.
s軌道は方位量子数l=0で,p軌道はl=1です.
Cの基底状態では,2p(l=1)に2個あるので,
全方位量子数L=l1+l2=2です.
従ってスペクトル項の記述ではS,P,Dの「D」に相当します.

さてスピン量子数ですが,3つある2p軌道の何処に入るかで異なります.
例えば2pxに2個入っているなら2個の電子スピンは+1/2と-1/2で,
全スピン量子数S=s1+s2=0ですが,
2pxに1個,2pyに1個ならば,
S=+1/2+(-1/2)=0とS=+1/2++1/2=1との2通りがあります.
つまり,S=0とS=1の状態があることになります.
スペクトル項の約束に従えば,S=0は一重項,S=1は三重項になるので,
「1/2」か「3/2」を上付きで書きます.
(量子化軸に対して,S=1は+1,0,-1の成分を持てるので3重項になります.)

全角運動量J=L+Sです.

それぞれの量子数は量子化軸への成分を考えます.
例えばJ=2ですと,量子化軸に対して0°,30°,0°,-30°,90°のとき,
量子化軸成分が整数となって,+2,+1,0,-1,-2です.
従ってJ=2の縮退度は2J+1=5となります.

などなどです.
記憶違いから間違いがありましたらすみませんが,
要は上記のように,電子がどのように入っているか,に注目して考えて行きます.

スピンの意味は古典的には,地球の自転,コマの回転と同じと考えて差し支えありません.
回転物体の角運動量は右ネジの法則で定義される向きになります.

磁気量子数は,上記のpx,py,pzの何処に入っているかに関係します.
ある量子化軸に対して,例えばpxは右ネジの方向に回転するp軌道の電子とすれば,
pyはその逆周りの電子,pzは量子化軸が直径方向のp軌道となります.
グロトリアン図ではなくカストラーダイアグラムで考えると分かりやすいのですが,
磁気量子数mの変化Δm=1のときは右回り偏光,-1は左回り偏光と言う具合に,
観測で検出されます.

いろいろざらざらと書きましたが,まずはヘルツベルグをどうぞ!
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