No.4
- 回答日時:
相続放棄したら、被相続人の遺留品の整理は
どうすれば良いですか?
↑
放棄したら次の順位の人が相続人になりますので
その人がやります。
全員が放棄したら、家裁に管理人を任命してもらい、
その人がやります。
あいにく、金めの物は無く、ごみ整理として、捨てて良いの?
↑
いけません。
管理行為として、法的に可能な場合もありますが、
放棄したいじょう、それは他人のモノになります。
他人のモノを勝手に処分する権限はそもそも無い
のですから、そんなことをしたら
トラブルの原因になります。
例えば、古いタンスや電化製品など、使えても、大型ゴミに出して、
いっさいお金には変えず、かえって有料で引き取って貰えねばなりません。
どうすれば良いのか、簡単な方法を教えて下さい。
↑
相続人にやってもらうか、管理人にやってもらうかです。
自分がやりたいのであれば、放棄などしない
ことです。
No.3
- 回答日時:
「管理行為」と「処分行為」を間違えるとえらいことになります。
何もしないか,するなら家裁に確認を取ってから行うべきです。民法940条1項には,「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」とされています。これによるとたしかに相続放棄をした人にも「管理義務」はあるのですが,ただそれは他の相続人または次順位相続人(それらがいない場合には,相続財産を引き継ぐことになる者のために相続財産の管理を行う相続財産管理人)が管理を始めることができるまでの暫定期間に限ってであり,また「自己の財産と同様の扱いで管理をする」のではなく,「自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産の管理をする」ことしか認められていません。「これ,ゴミだから処分していいよね」と勝手な判断をすることまで認めているわけではありません。
また,法律の難しさは,一部の条文だけを読んでそれだけで判断してはならない部分があることです。
民法940条1項は読めばそのままなので,わかっている人はそれなりにいます。でも2項の「第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。」はどうでしょう?
民法645条は,委任の場合の受任者の報告義務の規定です。準用読み替えすると「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者(注:相続財産管理人になる場合もある。以下同じ)の請求があるときは、いつでも管理事務の処理の状況を報告し、管理が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」ということになります。
民法646条は受任者による受取物の引渡し等の義務規定です。準用読み替えすると「1項:相続放棄をした者は、管理事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物をその放棄によって相続人となった者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。2項:相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者のために自己の名で取得した権利をその放棄によって相続人となった者に移転しなければならない。」ということになります。
民法650条は受任者による費用等の償還請求規定です。準用読み替えすると「相続放棄をした者は、管理事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、その放棄によって相続人となった者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。2項:相続放棄をした者は、管理事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、その放棄によって相続人となった者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、その放棄によって相続人となった者に対し、相当の担保を供させることができる。」ということになります。
まあここまではいいです。問題は次の民法918条2項及び3項の準用です。
準用読み替えすると,「2項:家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。3項:第二十七条から第二十九条までの規定は、民法940条1項の相続の放棄をした者について準用する。」ということになります。
民法940条1項により相続財産管理は「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」行えばよいとしながらも,家裁が必要なことを命ずることができるとしているので,相続財産の管理を行う「相続放棄をした者」は,その命令には従わなければならなりません(3項にある民法27条,29条は,その命令が出された場合の費用償還や報酬の規定です)。相続人の全員が相続放棄をした場合の相続財産は,相続債務の弁済に当たられるべきものです。相続放棄をした者が詐害行為したと相続債権者の訴えられることがないように,また民法921条による法定単純承認とみなされないように配慮するための規定と言えるので,民法940条2項の規定のこの部分は,わかりにくいけど非常に重要な規定だと言えるのではないでしょうか。
ということで,やるなら家裁に相談したうえでやるべき(そうすることで責任は家裁に移る)ですし,それが面倒ならやらないことです。
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